岡山理科大学の特担教授兼恐竜学博物館館長である石垣忍教授は、日本の恐竜学を大きく前進させた研究者の一人です。1993年から同じ志を持つ岡山の研究者たちとともに、モンゴル科学アカデミーの研究者と共同調査隊を組織し、ゴビ砂漠の恐竜調査を推進してきました。また、その研究成果を展示や本、放送を通して広く紹介してきました。そんな石垣教授に、恐竜研究の面白さ、そして子どもたちへのメッセージを尋ねました。

何十年も恐竜学を探求し続ける理由

「化石を発見して意味付けるのが研究者の仕事だと思っています。化石は過去の地球が書いてくれた手紙。古文書のようなもので普通の人が見ても読めないけど、私たち研究者が解読することでたくさんの人に伝わります。地球の過去を自分が一番最初に読み解くことができるんです。そこが面白いですね。大変な仕事ですが、わくわくする魅力があるので、今も、そしてこれからも研究を続けます」

岡山県にある岡山理科大学。特担教授兼恐竜学博物館館長である石垣教授は、日本の恐竜学を大きく前進させた研究者の一人です。1993年から同じ志を持つ岡山の研究者たちとともにモンゴル科学アカデミーの研究者と共同調査隊を組織し、ゴビ砂漠の恐竜調査を推進してきました。また、その研究成果を展示や本、放送を通して広く紹介してきました。
石垣教授の研究者としての思いを聞きました。
研究者としての思いを語る石垣教授

化石の魅力を語る石垣教授は楽しそうで、同時に研究者としての誇りも感じました。

恐竜や古代の世界に『びっくり』してほしい

恐竜化石の発掘作業をするときに使う道具

幼少期は外で遊ぶことが大好きだったという石垣教授。室内遊びもいいけれど、外に出て学ぶことはたくさんあると話します。

「コロナ禍で家にいる時間が増えている現在、子どもの成長は待ってはくれない。日々成長する子どもたちには恐竜や古代の世界をのぞいてびっくりしてほしい。そう、『びっくり』してほしい。不思議を感じてほしい。恐竜は、子どもが未知の世界に、そして科学に好奇心をもつ入り口だと思っています。子どもの時に大事なのは“論理”や“枠組み”などという大人の世界の話ではなくて、素直に驚いたり、不思議を肌で感じとったりすることだと思います。ぜひ大人にも楽しんでほしい。子どもも大人も一緒に楽しみ、一緒にびっくりしてほしいですね」

恐竜の出現直前の大型肉食動物!? プレストスクスの全身骨格と復元画を公開中

岡山県奈義町の『なぎビカリアミュージアム』では、毎年春に岡山理科大学と連携して恐竜などの化石展が開催されています。2021年は4月3日から5月5日の期間限定で、恐竜出現直前の陸上世界で最も強大だった『プレストスクス』の全身骨格と復元画の展示が行われています。プレストスクスの骨格は石垣教授が監修し、2人の岡山理科大学の学生が卒業研究として作成しました。

プレストスクスの全身骨格(全長約5m)

石垣教授の卒業研究指導は『自分の好きなことを思いっきりする』をコンセプトにしていますが、『今まで誰もやっていないことをする』という注文が付けられています。「授業で使うから取り外せるようにしてほしい」「展示場に応じて姿勢が変えられるようにしてほしい」という石垣教授の注文に応じて、学生たちが工夫を重ね、組み上げ骨格では珍しく骨の取り外しが可能だそうです。

プレストスクスの復元画

一緒に展示されている復元画は、『論文を読んで芸術家センスと科学を両立させる』という石垣教授の指導を受けた絵が好きな学生の卒業研究で描かれました。今回の展示は、大学以外で展示するのは初めてだそうです。

展示されているものを見るだけではなく、実際に化石の発掘を体験してみることを石垣教授は勧めています。実際にハンマーをふって石を割ることで、気が付くことがある。化石を発見してから復元するまでの過程も子どもにも大人にも楽しんでほしいと石垣教授は語ります。

化石発掘体験場で体験する子どもたち(なぎビカリアミュージアム)

2021年3月で学生を教える第一線から退いて「少し肩の荷が下りた」と話す石垣教授ですが、学生の努力の結晶である展示物を納得できるまで微調整して完成を見渡す姿は研究者であり、まさしく学生を思う教授でした。新型コロナウイルス流行のため、2020年からモンゴル調査に行けていないと残念な様子でしたが、これからもフィールドへ出て新しい発見をしてくれることを楽しみにしています。