岡山県立津山東高等学校で数学教諭として勤務する久常宏栄さん。10年ほど前から地域との連携に力を入れ、4年前から、高校生が自ら地域に出向き、地域で学ぶ探究学習「行学(ぎょうがく)」を始めています。地域の課題を発見し、解決方法を探り、実践する学習は、地域での学びを通して、高校生が「生きる力」を身につけることを目的にしています。

 「行学」とは何か、高校生にとっての「生きる力」とは何かを久常さんに聞いてみました。

久常宏栄さん

行学とはどのような授業ですか?

 高校生が地域に出向き、フィールドワーク(現地で取材・調査)を行い、自分たちの目線で地域の良さを発見し、課題解決に向けた提案を行政や地域の人たちに伝える、実践を主とした講座です。地域に出向いて直接社会に触れることで、働く意味や生き方を考え、目標や目的を持った進路を選択する力を養います。

行学に参加する高校生(氾濫した当時の川の水位を確認)

行学を始めたきっかけは?

 進学や就職した卒業生が、思いと現実にずれがあることに気付き、途中で進路を変更する場面に遭遇し、キャリア教育(社会の中で、自分らしい生き方をすること)の重要性を感じました。社会と関わる機会があれば、自分がしたいことを見つけ、社会で生き抜く力を養うことができると考えました。続けることができたのは、行学をはじめ、様々な高校生の地域活動に協力してくれた企業、地域の皆さんのおかげだと思っています。

行学に参加する高校生(地域の行事に参加し、住民交流のつなぎ役になる)

行学で生徒たちに学んでほしいことは?

11月18日に開催された発表会。発表者は2年生120人。1年生119人と一般の人も傍聴に参加した

 社会に出る前に、さまざまな成功と失敗を経験し、どうすれば改善できるかを考え、仲間と協力して行動できる力を身につけてほしいです。社会では自分の考えを相手にわかりやすく伝えなければなりません知識だけでなく、柔軟に対応できる人間力を身につけてもらいたいですそのために学び続けてほしいです。

11月18日の発表会で使われたポスター。このほかに18グループのポスターが掲示された

これからの展開を教えてください

 行学を通じて、自分が動けば世の中が変わることを実感してもらいたいです。そのためにも、わたしを含めた大人が、高校生が挑戦できる環境を作ることが重要です。高校生に寄り添い、背中を押し続け、世の中に挑戦し続ける人材を育てていきたいと思います。これからも高校生たちの応援をよろしくお願いします。

久常宏栄
岡山県生まれ。大学を卒業後、県立高校の数学教諭として採用され、2006年度から津山東高校に勤務。2011年度に岡山県優秀教員表彰、2012年度には文部科学大臣優秀教員表彰を受賞する。2016年度から地域で学ぶ課題発見解決型の学習 「行学」を始め、現在に至る。2017年度から始まった市内の公立高校4校が協力して開講する講座「地域創生学」に携わる。同講座は、経済産業省と文部科学省が主催する 「第9回キャリア教育推進連携表彰」で奨励賞を受賞。

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