2020年11月22日、愛知県春日井市に量り売りとイベントスペースのお店「aida」がオープンしました。

築130年の先祖邸を受け継いで始めた量り売りとイベントスペースのお店

主宰・川口さんのお父さんもこの家で育ったそう。

aidaは築130年の古民家。「おじいちゃんのおじいちゃんである幸太郎さんが建てた」と主宰の川口陽子さん。先祖代々川口家の自宅として使われていましたが、2014年に改装して飲食店に。閉店後2年の時を経て川口さんが受け継ぎ、量り売りとイベントスペースのお店として生まれ変わりました。

入ってすぐが量り売り商品の販売スペース。

量り売り体験してみました

計量器で量ってくれます。

筆者もミックスナッツを買いたいと思い、お願いしました。「30gずつぐらいで良いですか?」と聞かれましたが、自分がどれくらいの期間でどれくらいの量を食べるのかが想像つかなかったので「お任せで」と返答。川口さんに相談しながら購入できるため、無理なく始めたり試したりすることができます。

4種で152g・税込901円のミックスナッツに。

手間や不便を楽しむ時間も選択肢に

aida主宰の川口陽子さん。

川口さんは、カナダ留学や東京でのゲストハウス勤務を経て富山の実家に帰り、2020年9月から愛知の春日井に移住。高祖父の家を受け継ぎ、量り売りとイベントスペースのお店を始めました。

量り売りに興味を持ったきっかけはカナダ留学。オタワで友達になった学生たちの環境意識が高いことに影響を受け、自分でも何かしたいと思うように。「オタワの通りを歩くと、マクドナルドやコストコもあればオーガニックのスイーツを提供している小さなカフェもあった。人々はマクドナルドを選ぶこともできるしオーガニックのお店を選ぶこともできた」と川口さん。その後、今まで当たり前だと思っていたことにも疑問を持つようになり、「パッケージがない時代もあったはず」「安さや便利さの恩恵や必要性もあるけど誰かが犠牲を払ってやしないか」という考えに至ります。こうした経験から「誰かが安い賃金でつくっている負担に思いを馳せるきっかけになったら良いな」と、量り売りの可能性を感じ始めました。

2020年1月に高祖父邸を継ぐことが決まり、5月に「量り売りのお店をつくる」と決断。翌6月には講座や研修を受け、9月には富山の実家から移住して春日井での生活をスタート。量り売りだけでは持て余す空間をイベントスペースとしても活用すべく準備を進め、11月22日に晴れてオープンしました。

「店名のaidaには2つの意味がある」と川口さん。「間」と「愛だ」。「間」は人と人との間、古いものと新しいものの間、日常と非日常の間の3つから。「愛だ」は大好きなビートルズの「All you need is love」という曲から。「結局すべては愛だ」と川口さん。「わざわざ自分で容器を持ってきて自分で量って買う手間の豊かさもある」「『不便だけどそっちも楽しいじゃん』と工夫するおもしろさを体験してほしい」と語ってくれました。

「自分がそうだったように、まずは知ってもらうことから始めたい」。今後は、しばらく不定期オープンを重ねながら、イベントスペースを活用して量り売りとの相乗効果を高めたり、愛知県内外の人とコラボレーションしたり、愛知県外に行商へ出かけたりもする予定。「量り売り」が地域の人々の暮らしの新たな選択肢になることを目指しています。

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