緊急帝王切開により661gで生まれた娘。その後ダウン症と診断されるも…生後1年たった現在の様子に迫る

緊急帝王切開により661gで生まれた娘。その後ダウン症と診断されるも…生後1年たった現在の様子に迫る

@oto_m0925さんの娘さんは、わずか661gという超低出生体重で生まれました。さらに、ダウン症候群でもあり、多くの課題を抱えてのスタートに。そこから小さな体で一つひとつの課題を乗り越え、家族や医療スタッフ、周囲の人々の支えを受けながら、無事に1歳の誕生日を迎えることができました。

今回は、そんな娘さんのこの一年間の歩みについて、@oto_m0925さんに話を聞きました。

救急車で搬送、そして緊急帝王切開に…

23週の妊婦健診で、@oto_m0925さんは「これまで大きめと言われていた赤ちゃんの頭が小さくなっている」と告げられ、翌週も同じ結果だったため、周産期母子医療センターのある専門病院で詳しい検査を受けるよう勧められました。

受診予定までの妊婦健診では、頭部の小ささに加えて血流不良が見つかり、栄養が十分に届いていない可能性が判明。胎児発育不全が疑われ「予約を待たず、すぐに専門病院へ向かった方がいい」と指示されます。

そのまま救急車で搬送され、到着後のエコーで羊水量の著しい減少もわかりました。危険な状態のため、最適な方法として緊急帝王切開が選択されたのです。

お昼すぎの搬送からすごいスピード感で準備が進み、2024年9月25日15時23分、在胎25週4日、661gの小さな娘さんが誕生します。本来の予定日は翌年1月4日でした。

661gで誕生した娘さん(@oto_m0925さんより提供)

手術室は先生や看護師さんなどの「おめでとうございます!」であふれていましたが、@oto_m0925さんは複雑な気持ちでいたといいます。

「このまま健やかに育ってほしい」

娘さんとの初対面は、出生直後。呼吸サポートを受けながら保育器ごと、産後処置中の@oto_m0925さんのそばに運ばれてきました。小さな頭に触れた瞬間「ちゃんと生きている」と実感して涙があふれます。

歩けるようになってからは、毎日NICUへ面会に通いました。本来ならまだお腹の中にいるはずの娘さんが、保育器の中で懸命に生きようとしている姿を見るたび、涙が止まらなかったそうです。

生後23日、初めての抱っこ(@oto_m0925さんより提供)

生後23日目、体重815gで初めて抱っこすることができました。

その後の検査で、娘さんはダウン症候群であることが判明。合併症として、心房中隔欠損症・甲状腺機能低下症、慢性肺疾患・肺高血圧症、未熟児網膜症、喉頭軟化症などがあり、退院前には右小脳出血と両側中等度難聴の疑いも伝えられました。

一つひとつの課題をクリアして(@oto_m0925さんより提供)

@oto_m0925さんは驚きはあったものの、早産や合併症などがつながって理解できたことで、受け入れるまでに時間はかからなかったといいます。
「とにかく、このまま健やかに育ってほしい」と、その一心だったと振り返っていました。

NICUからGCUへ、そしてすくすくと育ち退院

娘さんは出生直後こそ人工呼吸器で管理されていましたが、無事に抜管し、以降は順調にサポートを減らすことができました。

酸素も軽いサポートに(@oto_m0925さんより提供)

栄養は生後4日目から搾母乳を1mlずつ経管で開始。消化も問題なく、体重も母乳量も順調に増加。哺乳瓶での授乳もできるようになり、退院前には胃管も外れました。

哺乳瓶で飲めるように(@oto_m0925さんより提供)

医師からは慎重に経過を見る必要があると言われていましたが、そうした予測をよそに娘さんはすくすく成長。体重が一度も減ることなくNICUからGCUへ進み、一般病棟を経ずに退院することができました。面会のたびに、その生命力に励まされていた@oto_m0925さん。

娘さんは現在、在宅酸素療法を続けています。重度の慢性肺疾患による肺高血圧症があり、薬は9種類。治療法がないため、身体と肺の発育を妨げないよう感染予防を最優先にし、人混みを避け、外出は病院と近所の散歩程度にとどめ、なるべく家で過ごすようにしています。

超早産児・超低出生体重児の記録を共有

@oto_m0925さんが娘さんについてSNSで発信を始めた理由は、はじめは情報がほしかったからでした。

娘さんが生まれた直後は、超低出生体重児について調べるのが怖く、病名を聞いても自分で検索できなかったといいます。生後1ヶ月にダウン症候群と告げられたとき、“知らない世界に急に放り込まれたような気持ち”になり、そこで初めて調べてみる決心がつきました。

Instagramには同じダウン症候群の子を育てる親の方々が多く、出会った人たちは皆あたたかく、励まし合える存在だったそうです。
「娘の頑張りだけでなく、毎日の搾乳や面会を続ける私のことまで応援してくれました」と、同じ悩みを共有し、繋がることで大きな力をもらえました。

生きててくれてありがとう(@oto_m0925さんより提供)

こうした経験から、超早産で超低出生体重児という症例の少ない娘さんの成長を発信することで、同じ状況で生まれた子や家族の希望になれたら…そんな思いで投稿を続けるようになりました。

「当たり前なんて何ひとつないんだ」

@oto_m0925さんは、NICUで日々頑張っている子どもたちを見て、妊娠出産は本当に奇跡の連続で「当たり前なんて何ひとつないんだ」ということを実感しました。

また「障がいがあることで不安は尽きませんが、壁を乗り越えて元気に生きてくれるだけで100点満点です」と語り、同じ境遇の人たちに少しでも希望を届けられるよう発信を続けたいと考えています。

1歳になりました(@oto_m0925さんより提供)

娘さんについては「焦らずゆっくり見守りたいです。体がもっと強くなって大きくなったら、一緒にいろいろなところに行き、たくさんの経験をして好きなことや得意なことを見つけたいと思います。まだまだ私もママとしても未熟なので一緒に成長していきたいです」と語りました。

661gで生まれた娘さんが、すくすくと成長し、1歳となった姿に感銘を受けた人も多いのではないでしょうか。その素敵な笑顔で、これからも育っていってほしいですね。

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