アイスクリームの自動販売機前で起きた、7歳の優ちゃんと3歳の弟・怜くんの心温まるやり取り。でんちゃんファミリー(@denchan_family_)さんが投稿したこのエピソードは、「見習いたい」「お姉ちゃん凄い」とSNSで大きな反響を呼びました。
いったいどんな対応を取ったのでしょうか?
元保育士で、ベビーシッターや子育て講師として活動するお父さんの子育て哲学が詰まったこのご家庭で、子どもたちはあれから2年を経てどのように成長したのでしょうか。現在のご家族の様子や、子育ての中で起きた変化について、改めてお話を伺いました。
SNSで話題を呼んだ、旅行帰りの「アイス騒動」
話題となったのは、家族旅行を終えて最寄り駅に着いた時のエピソードです。疲れた様子の怜くんがアイスクリームの自動販売機の前で立ち止まり、アイスを強く欲しがりました。
通常なら「だめ」「帰るよ」とすぐに否定してしまいがちな状況で、当時7歳だった長女の優ちゃんはまさかの行動を起こします。弟の目線に合わせてしゃがみ、弟の話をじっくりと聞くことで、まずは「買ってほしい」という怜くんの気持ちに寄り添ったのです。
「結果ではなく寄り添い」親が見習った7歳の優しさの理由
優ちゃんがとった対応は、頭ごなしに否定するのではなく、弟の気持ちを一旦受け止め、その上で「家で一緒にアイスを作ろう」と代替案を提案するというものでした。この優しさに満ちた対応に、怜くんも賛成し、一件落着。その後、疲れた弟を優しく抱き上げる優ちゃんの姿も感動を呼びました。
お父さんはこの行動を見て、「結果(買うか買わないか)ではなく、寄り添いを大切にしている」と感じ、「僕も見習いたい」と語っています。また、優ちゃんの優しさは、親が教え込んだものではなく、「娘が自分で考え、生み出した行動」であると、娘さんの成長を誇らしく感じていたそうです。
現在は優ちゃん10歳、怜くん5歳へ。「優しさの連鎖」の今
あれから2年が経ち、子どもたちは長女の優ちゃんが10歳(4年生)、真ん中の賢くんが8歳(2年生)、次男の怜くんが5歳(年中)になりました。
現在も「お姉ちゃんは、相変わらず優しく弟たちに声をかけてくれています」とのことですが、この2年で新たな「優しさの連鎖」が生まれたそうです。
「前は上の子が下の子に優しく声をかけてくれていたのですが、最近は真ん中の賢くんが下の子に声をかけてくれることが増えました!」
お姉ちゃんの優しさを見て育った賢くんが、今度は弟の怜くんを気にかける姿が増えたことは、ご家族にとって大きな喜びとなっています。上の子たちはお友達との関わりも増え、それぞれが順調に成長を続けています。
子育て講師として書籍を出版。「間違えていい」と胸を張る親の役割
元保育士というキャリアを持ち、現在はベビーシッターや子育て講師として活動するお父さんは、この2年の間に、著書『育児がラクになる言葉』を出版されました。
彼が子育てで一貫して心掛けているのは、「子どもに教えない」という哲学です。
「僕たち親は、子どもに何かを教える立場ではなく、教わる立場だと思っています。常に子どもから『学ぶ』という気持ちで子育てさせて頂いています」
この「子どもから学ぶ」という姿勢は、話題となった優ちゃんの「神対応」からも明らかですね。
父親が願う成長の形。間違ってしまう自分さえ「大切にできる子に」
最後に、子どもたちへの成長への願いと、親としての役割について語ってくれました。
「たくさん間違えてほしいです。子育ては、間違えていいんです。子どもたちも、間違えていいんです」
人生は一度間違えたら終わってしまうほど厳しくはない。だからこそ、親の役割は「間違えない育児をすること」ではなく、「間違えても幸せになれる」と子どもたちの前で胸を張ることだと語ります。
「時には、人に優しくなれない時があってもいいんです。それでも、間違ってしまう自分さえ大切にでき、価値を感じられる子に成長してもらいたいです」
自分自身を大切にできること。それができた時、子どもたちはきっと、自分にもまわりにも、心から優しくなれるはずだと、父親としての強い願いを教えてくれました。

