@stopFuushinさんは、3人目を妊娠中に風疹に感染しました。妊婦が感染すると、胎児に聴覚や視覚などの障がいが生じるリスクがあります。自身の経験から、妊娠中の風疹の危険性や予防の大切さをより多くの人に知ってもらいたいと考え、風疹をなくそうの会「hand in hand」を結成し、啓発活動や講演を行っています。
突然の発疹が…
@stopFuushinさんは妊娠14週目、子どもたちと昼食中に突然発疹が出ました。驚きと不安で、すぐに「とんでもないことになったかも」と思ったといいます。そして自身でかかりつけ医のいる大学病院へ行き、風疹と診断されました。
大学病院に隔離入院後、風疹が治まったころ、医師から「お腹の子どもに障がいが残る」と告げられ、しばらく冷静になれなかったそうです。それでも諦めることはできず「産みたい」という一心で出産に臨んだと語ります。

そこからは「何があっても赤ちゃんを守る」と、自身を奮い立たせていました。
風疹のことを周りには話せなかった…
@stopFuushinさんの娘さんは右耳に軽度の難聴を抱えて生まれました。幼いころは自分で注意できないため、道路の真ん中を歩かないことや、人と話すときに目を見ることなどを教えました。低音が聞こえず車の接近に気づけないこともあり、怖い思いをしたことが何度かあったそうです。

娘さんは成長とともに注意力が養われ、幼稚園から中学校卒業までは座席を一番前にしてもらっていたことも。
@stopFuushinさんは娘さんが高校生になるまで、風疹のことを周りに話すことができませんでした。それは「お腹に赤ちゃんがいるのに風疹にかかった。風疹にかかったのに赤ちゃんを産んだ」という自責の念や罪悪感から、誰にも話したくないという思いでいっぱいだったからです。
「娘を産んだことを後悔したことは一度もありませんが、妊娠中に風疹にかかってしまったことは今も後悔しています」と話していました。
風疹大流行で知った衝撃体験が、行動の原点に
国内では風疹の予防接種導入後、先天性風疹症候群はほとんど見られませんでした。しかし、2012~2013年の全国的な風疹大流行では、多くの赤ちゃんが先天性風疹症候群となりました。
先天性風疹症候群とは、妊娠中の母親が風疹ウイルスに感染し、胎盤を通じて胎児に感染することで起こる障がいです。
@stopFuushinさんは、大流行の際に生まれた赤ちゃんに会い「可愛いですね!」と声をかけました。母親に名前を尋ねると教えてくれましたが「名前を呼んでもこの子には聞こえないんです。私が風疹にかかってしまったせいで…一度でいいから声を聞かせたかった」と涙ながらに語られました。
その言葉に@stopFuushinさんは衝撃を受け「知っていたのに自分のことばかり考えて黙っていた自分を恥じた」と話します。この日の経験が、少しずつ行動を変えるきっかけになったのです。
自身の経験から風疹をなくそうの会「hand in hand」を結成
@stopFuushinさんは自身の経験から「妊娠中に風疹にかかってはいけないことを知らない人に、風疹の怖さと守れる命があることを一人でも多くの方に伝えたい」と、風疹をなくそうの会「hand in hand」を結成し、たくさんの場面場所で啓蒙啓発をしてきました。さらに講演も行い、また厚労省や国へ幾度も対策を要請してきたといいます。
風疹は2025年9月26日にWHOから排除認定を受けましたが、ウイルスは残っており、海外から持ち込まれることもあります。ワクチン接種で感染を防ぎ、胎児を守ることが可能です。@stopFuushinさんは「まだ知らない人に、一人でも多く伝えたい」と語ります。
また、妊娠中にワクチンは接種できないため、@stopFuushinさんは「赤ちゃんを望むなら、自分に抗体があるかを確認し、感染予防をしてから赤ちゃんを待ってあげてほしい」と呼びかけています。
「赤ちゃんを望む女性だけでなく、自分が感染して他人にうつさないよう、自分の抗体を確認し、誰もが安心できる社会をつくることが大切です。お腹の赤ちゃんや妊婦さんを守るためにも、風疹予防は欠かせません」
現在27歳になった娘さんからは「お母さんのゴールが、風疹がなくなって笑顔になってくれることを祈ってる」と言われたといいます。@stopFuushinさんはこれまで娘さんの思いを聞いたことはなかったので、涙が止まらなかったと語ります。
「娘に対して私が表に出て声を出すことで迷惑をかけているのではないか?嫌な思いをしているのではないか?と思っていたので、ただただ嬉しかった」と話していました。
風疹の抗体がないと自分がかかるだけではなく、妊婦さんにうつしてしまう可能性があります。誰もが安心して出産できる社会となるために、今一度、風疹の抗体があるかということを調べてみるよい機会かもしれません。

