思わぬ出来事が、結果として家族に笑顔をもたらしてくれることがあります。「なるしま なるし」として作家活動をしている@narushiiiiiiさんが、アートのように貼り直した障子をThreadsに投稿すると「素晴らしいセンス」「私だったら、大喜びしちゃう」などのコメントが寄せられ話題になっています。いったいどのような障子になったのでしょうか?
このときの様子について、@narushiiiiiiさんに話を聞きました。
野良猫に破られてしまった障子

ある日、89歳のおじいちゃんの家に野良猫が入り込み、障子が破れてしまいました。
困ったお母さんから「あんた器用だからなんとかできるよね?好きにしていいから」と頼まれ、@narushiiiiiiさんが修理を引き受けることに。

画材屋さんや100円ショップを回って材料を集めるなかで、大学時代に美術の授業で見たモンドリアンの『赤、青、黄色の構成』をふと思い出したといいます。
直線と直角で構成されたその作品は、どこか障子のマス目にも通じるものがあり、イメージがすっと重なったのだとか。

使用する絵の具が、“黒・赤・黄・青”の4色のみでいいのもモンドリアン風にした理由の1つだそうで「混色の必要がないため、時短になり、おしゃれに仕上がります」と語ってくれました。

モンドリアンを知らないおじいちゃんは、貼り直した障子を見て「ステンドグラスみたいだな。職人顔負けだ」と驚いた様子。
「よくわかんないけどかっこいいじゃん、くらいには思ってくれたんじゃないかなと思います。何も知らない老人の心を動かすモンドリアン、本当にすごい」と@narushiiiiiiさんも嬉しかったようです。
おじいちゃんとの思い出

@narushiiiiiiさんは現在、お母さん、おじいちゃんとは別々に暮らしていますが、お母さんは月の半分ほどをおじいちゃんの家で過ごし、身の回りの世話をしているといいます。
昨年におばあちゃんが亡くなってから一人暮らしになり、仏壇の前で泣く夜もあったというおじいちゃん。
色鮮やかに生まれ変わった障子のおかげで家の雰囲気が少し明るくなり、久しぶりに笑顔を見ることができたとのこと。

作家活動の原点となったのは…
現在作家として活躍する@narushiiiiiiさんは、幼いころから絵を描くのが大好き。
そのため、お母さんは名画のポストカード集を買ってくれたり、美術館に連れて行ってくれたりと、芸術にふれる機会をたくさん与えてくれたとのこと。
お母さんから「好きなことを好きなようにやりなさい」と背中を押され、お父さんの反対を押し切って美術系の学部がある大学に進学したといいます。

「小学生のときに描いた絵がコンクールで大賞をとったことをきっかけに、そのまま“絵描き”を名乗っています」という言葉どおり、幼い頃の体験や家族の支えが、現在の表現活動の礎になっているようです。
破られてしまった障子がこんなに素敵な作品に変身するとは驚きでした。おじいちゃんも喜んでいるようで何よりですね。

