「絶対上だけ焦げるよね」トースターにおける永遠の謎…。すぐできる解決方法と不満解消に向けた企業努力に迫る

「絶対上だけ焦げるよね」トースターにおける永遠の謎…。すぐできる解決方法と不満解消に向けた企業努力に迫る
【画像】サクふわトーストコースのイメージ図(象印様より提供)

ほとせな編集部に、ユーザーからの1件の疑問が届きました。
「パンをトースターで焼くと、必ずと言っていいほど上側が焦げるのはどうしてなのか?」
焼きムラは仕方ないとしても、毎回ほぼ同じ場所が真っ黒になる。タイマーを短く設定しても結果は同じ。ヒーターも上下にあるし、どちらか一方だけが汚れているわけでもないのに…。軽めに焼こうとするとカリッとせず、理想の焼き色にしようとすると焦げが発生するというジレンマを抱えていたそうです。

朝のトーストは一日の始まりを左右する小さな幸せ。だからこそ、この“トースターの謎”を完璧に解決したい。
そこで、さまざまなメーカーに取材を依頼したところ「象印マホービン」が取材に応じてくれることに。
「暮らしをつくる」という理念もと、長年培ってきた技術で日常生活の課題解決に取り組んできた象印に、この素朴で深い疑問をぶつけてみました。

イメージ画像:焦げた食パン

家庭用トースターにおける「上だけ焦げる現象」の解明

「なぜ家庭用トースターは上だけ焦げやすいのか?」という問いに対し、象印の担当者、上田さんは2つの理由を説明してくれました。

まず上下で焼きムラが発生しやすい理由として、下面は網が当たっている関係上焼き跡がつきにくい部分が生じる点にあります。
また、同じ設定時間でも保存状態によってパンの初期温度や水分量が違ったりすることで焼き上がりに差が出てしまいます。

これらの理由が、“上だけ焦げる”現象を引き起こしていたのです。

家庭で焼きムラを抑える対策として、上田さんは「パンを1枚焼く場合は中心に、2枚焼くときは均等に置く」「調理の途中で焼き色がついてきたら、アルミホイルをかぶせる」といった方法を教えてくれました。これらは機種に関わらず試せる簡単なコツだそうです。

焦げを防ぐ!象印独自の“サクふわトースト”技術

このような構造や初期温度による課題に対し、象印は長年培ってきた温度コントロール技術で解決策を打ち出しているそうで…。
一般的に熱が偏りやすいとされる家庭用トースターですが、象印製品の中には高性能なコンピューター(マイコン)が搭載されている上位モデルなどもあるとのこと。

最も使用頻度の高いトーストをおいしく焼き上げるために、「サクふわトースト」という独自のコースを搭載しているモデルもあり、なんと長年培ってきた温度コントロール技術に基づいて、庫内の温度を検知して火力を自動で細かく調整する設計になっているそう。熱の偏りによる焼きムラの懸念も解消されそうですね。

サクふわトーストコースのイメージ図(象印より提供)

この独自の制御に加え、上下ヒーターの配置および庫内形状(反射板の位置・向き)も、パンに均等に熱が届くよう調整していると話してくれました。

象印が掲げる『日常生活発想』という哲学

「なんとなく不満」を解決するトースターのように、多くの人が「仕方ない」と諦めていた課題に対し、象印が技術を投入する背景には、同社のものづくりを支える「日常生活発想」という哲学があるそうです。
「日常生活発想」とは、スペックや最新技術ありきの開発ではなく、お客様が本当に必要としている機能はなにかを生活者目線で考えて、製品に取り入れていくという考え方とのこと。

例えば、水筒のせんやパッキンのお手入れの手間を削減するために、せんとパッキンを一体化した「シームレスせん」を開発したり、マットとホースをなくしたふとん乾燥機を開発するなど、お客様の行動の「半歩先」を見据えることで数々の事例がこの「日常生活発想」から生まれているとのことでした。

毎朝の小さなストレスだった「焦げパンの謎」への取り組みも、この「日常生活発想」の延長線上にあります。

もちろん、他社にも革新的なトースターは存在します。しかし、今回の取材を通じてお客様が「なんとなく不満」に思っていることを技術で解決し、日々の暮らしがより豊かで快適なものになるよう貢献していくという、象印の強い思いを感じることができました。
焦げパンの謎の先にあったのは、“不満”を見逃さない象印のものづくり哲学だったのです。

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