文化も言葉も異なる海外での生活は、期待と同時に、思わぬ驚きや感動に満ちています。
今回は、台湾出身・30代の会社員リンさん(仮名)に、日本での生活を通して感じた驚きと気づきを伺いました。
大学で日本語を学び、卒業後に来日したリンさん。最初は文化や働き方の違いに戸惑いつつも、今では日本での生活をとても楽しんでいます。
満員電車なのに静か…日本の“電車文化”に衝撃
リンさんが最初に驚いたのは、電車内の「静けさ」と「整然さ」でした。
「新宿駅から山手線に乗ったとき、人がたくさんいるのにほとんど音がしないことに衝撃を受けました。電話をする人もほとんどおらず、音漏れすらほとんどないんです。乗るときも降りるときも自然に譲り合う姿勢に感動し、目を疑いました」
秩序を重んじる文化が日常に根付いていると強く感じ、この国のルールを守りたいと思ったと振り返ります。
小さな配慮の積み重ねが社会の安心感を生むと実感
この体験は、リンさんの価値観にも変化を与えました。
「公共の場では静かにする、ゴミを持ち帰る、列を守る…そういった行動が自然と身につきました。小さな配慮の積み重ねが、社会全体の安心感につながっていると気づきました」
職場でもその意識が活き、相手が話しやすいタイミングを考えたり、資料共有の仕方を工夫したりと、相手の立場に立った行動が自然とできるようになったそうです。
近所のおばあさんの優しさが心にしみた“びっくりした一言”
日本での生活の中で、心に残る出来事もありました。
「一人暮らしを始めた頃、近所のおばあさんが“寒いから風邪ひかないでね”と声をかけてくれたんです。知り合いもいない中でのその言葉に、涙が出そうになりました」
その後もゴミ出しルールを教えてくれたり、迷った際に道案内をしてくれたりと、さりげない気遣いに度々助けられたといいます。
「干渉しすぎないのに、人の温かさを感じる距離感。それが日本の魅力だと思います」
ルールとマナーが作る“安心できる国”の魅力
最後に、リンさんは日本で生活する外国籍の方へこう伝えます。
「日本はとても安全で、人々が思いやりを持って暮らしています。ルールやマナーを守ることで、快適で安心できる環境が成り立っています。最初は堅く感じても、慣れると本当に心地よいです」
公共の静けさ、時間の正確さ、小さな礼儀の文化。
台湾出身のリンさんにとって、日本は第二の故郷となりつつあります。私たちが“当たり前”だと思っている日常の風景には、実は世界に誇れる魅力が詰まっているのかもしれません。
