30代の会社員の女性、加藤さん（仮名）が、今も大切にしている“ある布小物”があります。
それは特別な記念日やお祝いのために作られたものではなく、祖母の趣味として自然に生まれた一品。
けれど、その中には「手作り」だからこそ感じられる温もりと、祖母の人柄が確かに宿っていました。
気づきと愛情の詰まった贈り物
ある日、祖母から「これ、○○ちゃん（加藤さん）のために作ってみたの」と巾着を渡された瞬間、加藤さんが感じたのは「おばあちゃん、こんな柄が好きなんだな」という小さな発見でした。
落ち着いた色合いとやわらかな素材で、それはまるで祖母の穏やかさをそのまま形にしたよう。
現在もその巾着は小物入れとして使われており、忙しい日々の中でふと手に取るたび、祖母の優しい笑顔を思い出すといいます。
どんなときも穏やかに、まわりを包み込むような人
祖母は、いつも穏やかで、誰に対しても優しい人でした。
焦ることなく、相手の話をじっくり聞いてくれる。そんな姿に幼いころから安心を感じていたといいます。
「手作り」という行為そのものにも、祖母の“人を想う丁寧さ”が表れていました。
“手をかける”ことの尊さを教えてくれた
今改めてその巾着を見つめると、祖母の器用さや、細部まで妥協しない姿勢が思い出されます。
「無償の愛を感じ、最後までやりきる人だった。私もそんな風になりたいしこの巾着を見ると泣けます」
そう語る加藤さんにとって、祖母の手仕事はただの思い出ではなく、“生き方の指針”でもあります。
見えない糸でつながる、世代を超えたぬくもり
手作りのモノは、時間が経つほどにその人の想いを映し出すもの。
祖母の手が生み出した小さな巾着は、今も加藤さんの暮らしの中で静かに息づいています。
“ものを大切にする心”や“人にやさしく向き合う姿勢”それはきっと、世代を超えて受け継がれていくのでしょう。