子育ては、毎日が「予想外」の連続です。子どもの素直な行動や一言は、時に私たち大人の凝り固まった常識を揺さぶり、新たな気づきを与えてくれます。
今回は、「一緒に失敗することにこそ学びがある」と語る、30代女性のサクラさん(仮名)にお話を伺いました。
「今日のごはんは私が作る!」4歳のシェフが誕生
ある日の夕食時、夕食の準備をしていたサクラさんは、4歳の娘さんから「ママ、今日のごはんは私が作る!」という予想外の宣言を受けました。
いつもならおままごと程度なのに、その日の娘さんは「本気モード」。
「最初は危ないからと止めたのですが、娘の目がキラキラしていたので、一緒にやってみることにしました。まさかここから、台所が大騒ぎになるとは思いませんでした」とサクラさんは笑います。
卵の殻がドボン!笑いながらの「工夫が必要」
料理のハイライトは、卵を割る場面でした。
娘さんが「自分でやる!」と譲らず、そのまま卵は案の定、殻ごとボウルにドボン。
サクラさんは「思わず笑いながらも、全部やり直す羽目になりました」と当時の大変さを語ります。
この瞬間、サクラさんは「どうやったら楽しく、かつ安全に一緒にできるかな」と、その場で工夫が必要だと感じたそうです。


「ママが先生で○○ちゃんがシェフ」で解決
そこでサクラさんがとったリアクションは、「役割決め」でした。
「じゃあ、次は“ママが先生で○○ちゃんがシェフ”ね!」と提案し、お互いに「先生!」「シェフ!」と呼び合いながら作業を再開。
この工夫が功を奏し、娘さんは遊び感覚で少しずつ慎重に食材を扱うように。キッチンでの時間は、笑いながら学ぶ時間へと変わっていきました。
結果的にキッチンは少し散らかりましたが、娘さんが「ママ、上手にできたね!」と自慢げに言ったのが、何よりも嬉しかったと言います。味は少々しょっぱかったものの、家族みんなで「今日のシェフは○○ちゃん!」と盛り上がり、笑顔いっぱいの夕食となりました。
「失敗」が育む、子どもの自信と達成感
サクラさんは、この出来事を通して「子育ての面白さ」を再認識したと言います。
「完璧にやらせること」よりも、「一緒に失敗すること」にこそ学びがあるなと思いました。子どもの「やってみたい!」という気持ちを信じて少し任せることで、自信や達成感を育てられるのかもしれません」
このやり取りの後、娘さんは週末になると「今日のシェフは私ね!」と張り切るようになり、家族の恒例行事になりました。少しずつ料理の腕も上がっており、「次はパパと一緒に作る!」と宣言するなど、家族の時間がますます楽しく温かいものになっているそうです。
サクラさんが教えてくれたのは、子どもの純粋な好奇心を「遊び」と「学び」に変える、親の温かい視点でした。
