現在22歳の岡本舵楽(@nemu.itte)さんは、小中学校のころ、クラスメイトから容姿を否定され続けていました。
高校卒業後に就職するも、上司からモラハラを受け、適応障害と診断され引きこもるように。
その後、モデルとして活動を始め、その変化をInstagramに投稿すると「こうも変わる」「変化すげー」といったコメントが寄せられ、話題となっています。
岡本さんに、これまでとモデルとして活動するようになった経緯を聞いてみました。
自分の容姿を否定され続けた9年間
岡本さんは小中学校の9年間、クラスメイトから容姿を否定され続け、それが原因でいじめの被害に遭っていました。
そのストレスで肌の状態は悪化し、それを指摘されてさらにいじめられる…という負のループに陥っていたといいます。
高校に入学後も、小中学校時代のトラウマから、すれ違う人たち全員が自分を笑っているような感覚に襲われました。そこで少しでもコンプレックスを減らそうと、度数の強い分厚い眼鏡からコンタクトレンズに変えることに。
そのころから、周囲の人たちに「元の顔が綺麗だからもっとおしゃれしてほしい」「元の顔がかっこいいから髪を整えたらいいのに」といった言葉をかけられるようになります。しかし最初は、いじられているのではと感じてなかなか信じられませんでした。

ライブ配信で「モデルやれば?」と言われ…
高校生のころ、岡本さんはプロのドラマーとして活動していました。しかしコロナの影響で仕事がすべてなくなってしまいます。
高校卒業後は就職しますが、上司からモラハラを受け、適応障害と診断されて退職。
半年ほど引きこもる生活が続きました。
その後、俳優やアイドルのオーディション、ライブ配信、音楽教室の講師などさまざまな挑戦を続けますが、すべて失敗に終わります。
体調が回復し、短時間のアルバイトができるようになった岡本さんですが、単調な毎日に辟易。高校生のときに作ったまま放置していたInstagramのアカウントで初めてライブ配信を行い、見に来てくれた人たちに思いの丈をすべて伝えました。
すると、リスナーさんから「モデルやれば?」というコメントが。
小中学校の9年間、容姿を否定され続けていた岡本さんにとって、あまりにもハードルの高い提案でしたが「これでまた失敗しても、ダメでもともとだ」と覚悟を決め、モデルになることを決意します。
オーディションサイトで見つけた、誰でも出演できるファッションショーに挑戦。
出演者から多くの容姿の褒め言葉を受け、高校生のころに褒めてくれていた人たちの言葉が本当だったことにようやく気づきました。
「それから僕はすごく調子に乗って、まだ1本しかファッションショーに出演していないのに、あたかも売れっ子モデルのようにSNSで発信し始めたんです」と岡本さん。
アパレルブランドのブランドモデルやファッションショーへのゲスト出演など、徐々に仕事が増え、気づけばプロのモデルになっていました。

また、岡本さんは性同一性障害で、モデルを始めたときから中性的な見た目だったこともあり、男性用、女性用、ユニセックスの服など性別に囚われず活動。
そのため、女性モデルとしても男性モデルとしても、ジェンダーレスなモデルとして起用されることが可能であるとして「ノンバイナリーモデル」と名乗り始めたと話しています。
モデルであることをようやく自覚できた出来事
岡本さんは「モデルとして活動しているときには、どんなにたくさんのお客様の前でも動じずにランウェイを歩けるし、大勢の人に見られている中のロケ撮影でも集中できるんです。それがお仕事なので」と語ります。

しかし、プライベートでは小中学校時代のトラウマから、すれ違う人全員が自分を見て笑っているような感覚になり、高校生のころからなかなか抜けませんでした。
そんな中、2024年下旬から2025年初旬にかけて、仕事でもプライベートでもつらい出来事が続き、岡本さんはある日ついに爆発。
「もう笑われてもいいや」と思い、クローゼットからたくさんの服を引っ張り出し、毎日のように好きな服を着て好きなメイクをしながら、街を数時間歩き回ったそう。
すると、すれ違う人から「あの人、めっちゃおしゃれじゃない?」「かっこいい…モデルさんかな?」という声が。
そのとき、岡本さんはようやく「そうだった、僕モデルだった」と自覚できたといいます。
モデルという素敵な仕事をしているにもかかわらず、自己肯定感は小中学校時代で止まっていました。そのため、自分の好きな服を着てメイクを楽しむ行動を始めるまでに、モデルとして活動を始めてから2年半もの月日がかかったといいます。

過去の自分と同じ悩みを抱える人のために
今後は、テレビなどのメディアにたくさん出演したいと話す岡本さん。
現在はファッションショーやイベント出演を中心に活動していますが、それだけではモデル業界内での知名度にとどまってしまうといいます。
そこで、過去の自分と同じような悩みを抱えている人たちが、その悩みを乗り越える「前例」となれるよう、もっと世間的な知名度を上げたいと考えているそうです。
さまざまな経験を重ねてきた岡本さんですが、さらに今はとても輝いて見えます。
これからも多方面での活躍が楽しみです。

