のどの痛みで病院に行くと… 余命1年を宣告された男性。6年後…現在ポジティブな発信をする理由に迫る

のどの痛みで病院に行くと… 余命1年を宣告された男性。6年後…現在ポジティブな発信をする理由に迫る
入院中①(@karupinTVさんより提供)

19歳で、余命1年と告げられた@karupinTVさん。現在は余命宣告から6年が経ち、治療を終えて経過観察中です。そんな@karupinTVさんは、YouTubeで自身の病気について発信しています。病気について発信する理由や今後の目標などを聞きました。

体調の異変に気付いて…

@karupinTVさんは、がんと診断される前に頭痛、のどの痛み、倦怠感を感じていました。特に熱とのどの痛みがひどく、大学1年生のときには扁桃炎で点滴治療を2回受けています。

その後、大学2年生のときに3回目の扁桃炎にかかります。

「また扁桃炎か」と思い、扁桃腺の摘出手術を検討しました。しかし、処方された薬を2週間飲んでも症状は改善せず、通常1週間で治る扁桃炎が今回は3週間も熱が続いたといいます。

がんと診断される前(@karupinTVさんより提供)

19歳でがんに、そして余命1年と宣告

体調の異変が続いたため、複数の病院を受診することにした@karupinTVさん。最初はどこでも「扁桃炎」や「鼻炎」と診断されていました。

しかし、最後に訪れた大きな病院で、内科医に「脾臓がパンパンに腫れている」と指摘され、翌日にはがんの可能性を告げられます。

その後、詳しく検査をした結果「悪性リンパ腫」であることがわかりました。さらにこの時点で、がん細胞は脾臓だけではなく、肺、のど、腎臓にも転移をしており、@karupinTVさんは余命1年であることも告げられます。

その瞬間「頭が真っ白で理解が追いつかなかったです」と語りますが、隣で泣いているお母さんの姿を見て少しずつ状況を理解していったといいます。

入院中②(@karupinTVさんより提供)

@karupinTVさんが診断された「悪性リンパ腫の末梢性T細胞」という病気は、19歳という年齢ではほとんど前例がないと言われていたので、初めから自分が一つの成功体験になるように治療に取り組んでいたと話します。

入院して5ヶ月後くらい(@karupinTVさんより提供)

一方で、夜などに自分の置かれている状況に納得がいかず、泣いていたときもありました。

余命宣告から6年が経ち…

現在、@karupinTVさんは余命宣告から6年が経ち、月に1度の定期健診を受けています。病気は寛解状態ですが、免疫力が非常に低く感染症のリスクが高いです。

最近も2度体調を崩し、3〜4日寝たきりになりました。しかし、薬がすべて終了し、以前より外出の頻度も増えています。

また、造血幹細胞移植後の慢性GVHDや後遺症と向き合いながら生活しています。日焼けによる皮膚がん予防のため日焼け対策をし、GVHDによる目や口の乾燥には点眼や保湿を頻繁に行っています。

それでも「家で生活できているのでかなり満足しています」と話していました。

※慢性GVHD…造血幹細胞移植後、ドナー由来の免疫細胞が移植を受けた患者の体を異物と認識し攻撃することで、全身のさまざまな臓器に炎症や機能障害を引き起こす病気

病気を知ってもらうための決意

@karupinTVさんは入院中、同じ治療を受けた患者さんが病棟で話をしてくれるイベントに参加しました。そこで、自分と同じ病気の人が元気に回復していることを知り、大きな勇気をもらいました。

「顔も名前も知らない人なのに、ここまで勇気をもらえるんだ」と感じたといいます。

この経験をきっかけに、退院後体調が回復したら「病気を知ってもらう」活動を始める決意をしました。SNSは未経験でしたが、独学で動画編集を学び、発信を続けています。

YouTubeで自身の病気について語る様子(@karupinTVさんより提供)

@karupinTVさんは、同じように病気に立ち向かっている人に対してかけたい言葉があります。

「僕はがんで治療を受けてきて、さまざまな経験をしてきました。今でも体調の波はありますが、入院中の最大の目標だった自宅で家族との時間を過ごすことができています。大変な時期に無理をすることはありません。頑張りすぎない程度に頑張る、という言葉を胸にこれまで生きてきました。ぜひ、皆さんも悩んだり落ち込んだりしたときは、この言葉を自分に言ってあげてください」

がんという病気をもっと知ってほしい

@karupinTVさんの今後の目標は、もっとがんという病気をいろいろな人に知ってもらうことです。

それは、日本人は一生のうちに、2人に1人ががんになると言われている一方で、まだまだがんについての情報が少なく、世の中の皆さんのがんに対する意識が低いと感じたことからでした。

「僕もがんになる前はそうだったので、その気持ちはよくわかります。実際がんという病気を知っていても自分がなるとは思っていません。ですが、自分や家族がそういった場面に直面した際、必ず情報が欲しくなります。情報をゼロから集めるのがどれだけ大変なのかを身をもって経験したので、皆さんにはそうならないように、少しでもがんに対しての知識や意識を持ってもらいたいです」

そのために、@karupinTVさんは血液がん患者が気軽に情報交換できる場として、血液がんのコミュニティを立ち上げました。

「日本最大級の血液がんコミュニティを目指して、多くの患者さんが交流できる場所にしていきたい」と力強く語っています。

がんという言葉はよく耳にしますが、実際に情報はまだまだ足りていないのかもしれません。自分や家族ががんとなったとき、情報交換できる場があったらどんなに助かるでしょうか。

@karupinTVさんの立ち上げたコミュニティがもっともっと世の中の人に広まり、がんに対する意識が高まることを願います。

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