妊娠がわかってから重ねる妊婦健診。赤ちゃんの成長を確認できる、大切なひとときです。しかし、その健診で予想もしなかった事実が告げられることも…。
「それまでずっと一人だと言われていたので、全く考えてもいませんでした」
そう語るのは、20代・会社員のスズキさん(仮名)。順調だと思っていた妊娠生活は、4回目の健診で大きな転機を迎えます。今回は、スズキさんが体験した、妊娠中期での双子判明の驚きと、その後の心境の変化についてお話を伺いました。
「ん?わかった??」健診4回目、エコー室での衝撃告白

それは、妊娠4回目の健診でのことでした。エコーの画面には、しっかりと頭や手足が確認できる、小さな命の姿が映し出されていました。
「わぁ、ちゃんと人の形になってる…!」
その成長ぶりに感動していたスズキさんに、先生が問いかけます。「ん?わかった??」
「はい!手足があって、ちゃんと人になってますね!」とスズキさんが答えると、先生は少し間を置いて、こう続けました。
「そうなんだけど…2人いるよ!」
「え?」――思わず声が出ました。それまで「赤ちゃんは一人」と聞かされていたスズキさんにとって、それはまさに青天の霹靂。驚きと同時に、どうしようもない不安が一気に押し寄せてきたと言います。
家族も最初は「え?」でも、すぐに楽しみに
健診後、スズキさんはパートナーや家族に報告しました。みんなの最初のリアクションは、スズキさんと同じく「え?」。突然のことに驚きを隠せない様子でした。
「でも、驚きの後は、みんなすごく楽しみにしてくれて。双子に憧れがあったのかもしれませんね」
周囲の温かい反応に、スズキさんの不安も少し和らいだそうです。
真っ先に浮かんだのは…「お金、どうしよう!?」
しかし、冷静になるにつれて、現実的な心配事が頭をもたげます。スズキさんが真っ先に考えたのは、お金のことでした。
「とにかくお金の心配が先に立ってしまって…。服も、おむつも、将来の学費も…全部二つ分って、一体どれだけお金がかかるんだろうって。心配でたまりませんでした」
楽しみな気持ちと同じくらい、経済的な不安が大きくのしかかってきたのです。
あの日の私へ「大丈夫、なんとかなるよ!」
そんなスズキさんも、今では双子の育児に奮闘する日々。もし、あの健診の日、不安でいっぱいだった自分に声をかけるとしたら、どんな言葉を贈るのでしょうか。
「『なんとかなるよ!』って、一番に伝えたいです」
力強くそう語るスズキさん。
「助けてくれる人は周りにたくさんいるし、大変なのはもちろん大変だけど、子どもたちが2人で遊んでくれる姿を見ると、すごく助かる時もある。お金の心配だって尽きないけど、それもきっと、どうにかなる。だから大丈夫だよって」
予期せぬ双子の妊娠は、大きな驚きと不安をもたらします。特に経済的な心配は、多くの多胎児ファミリーが直面する課題でしょう。しかし、スズキさんの言葉からは、「なんとかなる」という前向きな気持ちと、周囲への感謝、そして二人だからこその喜びが伝わってきました。不安の先に待っている、かけがえのない日々への希望がそこにはありました。