あなたは、突然自分の手足が動かなくなったらどうしますか?

今回紹介するのは渡辺和也さん(Instagaram:kazfitjp0411)。ボディビルをされている渡辺さんは、感染症により自分の免疫システムが自分自身の末梢神経を攻撃してしまう病気『ギランバレー症候群』と診断されました。
この珍しい病気を発信しようと思ったきっかけ、今後の活動について話を聞きました。

力が入らない…

ギランバレー症候群は、手足がだんだんと動かなくなり、人によっては呼吸すら困難になっていく症状が出ます。発症率は10万人に1人と言われており、非常に珍しい病気とのこと。

渡辺さんに症状が出始めたのは入院2日前から。
初めに出た症状は、何となく手に力が入りにくい。いつも以上に脚が重いなど「疲労かな?」と、その程度でした。

そして翌日、スマホで文字をまともに打てないほど、握力が急激に低下し始めました。また、歩くことすら困難になった渡辺さん。
これは流石におかしいと、近くの病院を受診すると「ギランバレー症候群の可能性が高い」と医師に告げられ、緊急入院が決まりました。

闘病生活中の渡辺さん(kazfitjp0411より提供)

絶望感と恐怖

最初は入院するとは想像していなかった渡辺さん。実感も湧かず、とにかく驚いていたのを覚えているそうです。後に、ことの重大さを理解した時は、絶望感と恐怖に襲われました。

「このまま後遺症が残ったら、ボディビルの競技人生の中で必ず成し遂げたかったこと、目標もすべて諦めなければいけなくなる」
ボディビル競技(正確にはメンズフィジーク)は、渡辺さんの人生の中での生き甲斐であり、アイデンティティです。それを失うかもしれないという恐怖は物凄かったと渡辺さんは語ります。

闘病生活中の渡辺さん(kazfitjp0411より提供)

渡辺さんは、知人からの後押しがあり、この病気についてSNSで発信を始めます。最初はSNSで公にはせず、この悔しさを忘れないためにと、動画で闘病生活を記録用に撮り始めました。
動画を知人に見せた渡辺さん。「この動画を上げることは誰かの頑張る勇気や活力、同じ病に苦しんでる人の励みになる、載せてみなよ」と、知人に後押しをされました。

闘病生活中の渡辺さん(@kazfitjp0411さんより提供)

初めは「公にすることで他の選手への言い訳を作りたくない」という自分の中でのプライドがあり、物凄く葛藤したそうです。
しかし、診断を受け不安で溢れていた時を思い出しました。自分もSNSで同じ病の方を調べ、その人の闘病生活から勇気や希望をもらっていたことに気づいたのです。
「今度は自分がその役に回らなければダメだろう」この思いから渡辺さんは発信することを決めました。

早く復帰したい

とにかく、最速で競技に復活したかった渡辺さん。力が入らなかったとしても、筋肉を動かす感覚は忘れないように、動かせる部位は常に動かしていました。今までより神経を張り巡らせる感覚で取り組んでいたそうです。

また、気持ちは常に前向きでいることを心掛けていました。現状の自分を見るのではなく、これからの自分に期待を持つようにしていたとのこと。

「これで優勝したら、男としてクソカッコ良いな?」このような言葉で自分のテンションを上げていたそうです。

渡辺さんの投稿には、たくさんの励ましのコメントが届いています。このコメントに渡辺さんは「心から載せてよかったなと思いました」と感謝の気持ちを述べられました。

「同じ病の方、違う病で苦しまれている方含め、本当に多くの方から『勇気を貰いました』『頑張ろうと思えました』『希望が持てました』とコメントやDMをいただきました。皆さまからの言葉にむしろ僕は凄く救われいていて、気持ちもより前向きになれて、早く退院ができたと思っています」と渡辺さん。

現在は退院しており、細かい作業で指が上手く使えないなどはあるものの、日常生活は問題なく過ごせています。しかし、筋力は半分以下に低下したまま、神経の感覚も元には戻っていません。
神経の感覚がほとんどないため、どこの部位のトレーニングをしているかわからなくなってしまった点が以前と大きく違う点だそうです。

メンズフィジークの大会に出る渡辺さん(@kazfitjp0411さんより提供)

渡辺さんに今後の目標を聞きました。
「2024年も大会に出場し、所属している団体JBBFでメンズフィジーク日本一になることが目標です!日本一になるだけじゃなくて、多くの人が憧れるような団体のアイコンになりたいです。この逆境から復活して優勝する激アツストーリーにします!」熱く目標を語ってくれた渡辺さん。さらなる飛躍を祈り、応援していきたいですね。

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