ヘルプマークをご存知でしょうか。何らかの援助や配慮を必要としている人が、そのことを周囲に知らせるためのマークです。見たことがあるという人もいるのではないでしょうか。

sona(@sona.n.shop)さんは、オリジナルヘルプマークのハンドメイドショップを運営しています。

今回は、sonaさんにオリジナルヘルプマークについて話を聞きました。

ハンドメイドショップ立ち上げまで

ーハンドメイドショップを立ち上げ”目には見えない障害や疾患”を伝える商品を届けようと思われたきっかけについて教えてください。
障がいと病気のある娘の育児経験から、何か障害福祉に関わり、貢献できることはないかと考えていました。Instagramで「ロゼット」というハンドメイド商品に名前が入っているのを目にして「娘の障がい名や病気を書ける!これだ!」と思ったのがきっかけです。自分も作りたいとすぐに資格を取り、製作を始めました。

ヘルプマーク(@sona.n.shopさんより提供)

ーsonaさんの作るオリジナルマークにはヘルプマーク以外にも障がい特性や対処・配慮を促すメッセージが書かれています。このような言葉があることによってどのようなことに役に立つと思いますか?
全国共通のヘルプマーク(東京都福祉局)だけだと、何の病気なのか?どんな障がいなのか?何をサポートすればいいのか?などが分からないため、私自身も疑問をいだいていました。SNSではヘルプマークについて「身につけている人は危ない人だから近づかない方がいい」「優先席に座りたいからつけているだけじゃないか」など、批判的で懐疑的な意見を目にします。そこで、ヘルプマークの補助的な役割として、はっきりと障がいや病気の名前、協力して欲しいことなどを提示することで、理解や支援が広がる役割として役に立つと思います。

ーハンドメイドショップを立ち上げるにあたり、苦労したことについて教えてください。
自信も経験もなければ、売り方や見せ方、値段付け、知的財産等の著作権や商標登録などの知識などもすべて無かったので失敗もしました。色々と調べたり他の作家さんを見て学んだりと、すべて一からだったので大変だったことを覚えています。
また「障害や病気(障害福祉)で金儲けするな」とか「子ども(娘)をだしに使うなんてひどい」などの誹謗中傷もたくさんあり苦労しました。

ヘルプマーク(@sona.n.shopさんより提供)

ーSDGsの達成に向けて取り組む企業・団体を川崎市が認証する制度である「かわさきsdgsパートナー」として認定されていることについてどのように思いますか?
SDGsというと、多くの方が「フードロス」や「環境破壊」等のイメージで、リサイクルという言葉が先行すると思います。私は、SDGsが掲げる達成目標は17ある中の「差別・偏見」をなくすことに尽力したいため、大変有意義で価値ある認証だと思っています。

「障害福祉の世界」を教えてくれた娘

ー娘さんが自閉症、重度知的障害、一型糖尿病を抱えているとのことですが、娘さんからどのような影響を受けることがありましたか?
自分がまったく関わってこなかった、知らなかった「障害福祉の世界」を教えてくれたことが、私にとても大きな影響を与えたと思います。また、娘と共にたくさんの差別や偏見を受けて辛さ・痛みを知りましたが、その何倍もの優しさや思いやりも知ったので、自分を大切にするようにもなりました。その結果、他の人も大切にしたいと思えるようになったことも娘が影響していると思います。

ヘルプマーク(@sona.n.shopさんより提供)

ーハンドメイドショップではsonaさんのデザイン以外にも娘さんがデザインしたものも含まれていましたが、娘さんのデザインを商品にしようと思った理由を教えてください。
娘をはじめ、知的障がい者の方々のなかには、アート感覚やものづくりに優れ、才能が溢れている方も多く「障がい者アート」が少しずつ広がっています。健常者のアーティストさんと同じように評価され、見合った価格で売れる仕組みが日本でも広まればいいなと長く思っていました。そういう思いから、娘の才能も知ってもらいたく、販売を始めました。

大学入学のきっかけ

ーサイト内でsonaさん自身も「子ども心理学部に在籍する大学3年生」だとありますが、この学部を志望し、大学で学ぼうと思ったきっかけについて教えてください。
娘の障がいと病気についてSNSなどで独学していくなかで、障がい児・病児育児を行う保護者や当事者たちが、悩み苦しんでいることを知りました。そこから心理学に興味が強くなり、カウンセラーの民間資格を取りました。しかし、さらに資格が取りたい、学びたい、となると「大卒」や「実務経験」が取得条件であるものが多く、私は対象となりませんでした。それから4人の子どもの義務教育が終わったタイミングで、通信制大学に入学しました。学校の先生に憧れもあったので、「幼稚園教諭一種免許」と「認定心理士」の資格を取得できる、子ども心理学部を選びました。

ー大学を卒業した後、子ども心理学部で学んだことをどのような場面で生かしていきたいですか?
ヨガや心理学を広めるために、2023年5月に「NPO法人ソナフル」も設立しました。また、今後の夢であるコミュニティモールのような建設をしたいので、そこで活かしていきたいです。たとえば、ヨガ×障がい福祉で健康面を、母子支援×教育で子育て面をサポートでき、職業体験×観光宿泊で世界中の自閉症さんに来てもらえるような場をつくれればと考えています。

今の思いと今後の活動

ー投稿には多くの感謝のメッセージが届いていますが、このことについてどのように思いますか?
本当に有り難く嬉しいです。皆さんの「安心安全」のお守り代わりになっている、と捉えています。また実際に「助かった」「協力してもらえた」「優しくしてもらえた」「同じ境遇の人に出会えた」「外出に不安が無くなった」などの言葉をいただき、役に立てていると感じています。

ーこれからも活動を通してどのようなことを発信していきたいですか?
障がいや病気は、誰もがなりたくはないものです。でも、誰にでも明日にでも起こりえるということと、そうなったときには「1人で悩まないで」「仲間がいるよ」と伝えたいです。そして、どんな人でも「伝える」勇気をもって行動することで「未来が変わる」ことも発信していきたいです。

sona+n®︎のオリジナルマーク2点(心疾患マーク、kids車いす)は、クラウドファンディングに1人で挑戦した結果、たくさんのご支援で達成し商標登録をしました。

また、「かわさき障がい者雇用創出プロジェクト」において、sona+n®︎では障がい者を1名、短時間雇用しているそうです。1人でも多く障がい害者雇用することも目標にしていると話すsonaさんの挑戦は、まだまだこれからも続きます。

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