6歳の『重度知的障害を伴う自閉症』の少年 気持ちを”表現した”絵画に「斬新」「才能を感じる」の声

6歳の『重度知的障害を伴う自閉症』の少年 気持ちを”表現した”絵画に「斬新」「才能を感じる」の声
ペンを叩くように描くルカくん(@luka_kai_morrisさんより提供)

文化庁によると、文化芸術を子どもたちが鑑賞・体験することは、感性や創造力を養う上で大きな効果があります。

現在6歳のルカくんは、重度知的障害を伴う自閉症です。ルカくんは、毎日のように絵を描いて気持ちを表現しているそうです。

ルカくんの母親であるモリス千賀子さんは、ルカくんの成長記録として、ルカくんの普段の様子や絵を描いている姿などをInstagramのイケメンLuka(@luka_kai_morris)に投稿しています。

ルカくんの絵画療育について、モリスさんに話を聞きました。

ルカくんが絵を描き始めたきっかけ

ルカくんが絵画療育を始めたのは、2022年11月。現在はほぼ毎日のように絵を描くというルカくん。

ールカくんが絵を描き始めたのは何歳のときからですか?またどのようなきっかけで始めたのでしょうか?
4歳の夏に絵を描くことに突然没頭し始めました。きっかけは不明なんです。ですが、黄色い物とアニメのPeppa pig以外は 特に興味を持って遊ぶものが無く本当に心配をしていたので、何に興味を持ってくれるのか見つけるためにいっぱい探っておりました。
絵画療育に行かせることになったのは、絵を描くことが好きなルカに合う療育を探していることを相談支援員の方に相談をしたところ、いくつかご紹介していただいたことがきっかけです。

絵④
絵④

モリスさんはルカくんが小さい頃からペンを持たせたり、絵の具で遊ばせたりしていました。

ルカくんが水性ペンを持ったのは1歳半くらいの頃。そのときのルカくんは、描くことはせずペンとペンを縦に繋ぎ合わせ、可能な限り長く繋げるという独自の遊びをしていました。

絵の具で遊び始めたのは3歳の頃。しかし、少しでも目を離したら口に入れてしまう恐れがありまったく目が離せなかったため、モリスさんたち大人が余裕のあるときのみ絵の具で遊ばせていたそうです。

ちょうどその頃通っていた療育園でも絵の具遊びをするときがたまにあり、ルカくんは小さな頃から心の中で少しずつ興味のあるものとして溜め込んでいたのかもしれません。

ルカくんが絵を描く様子

ールカくんは1つの作品にどのくらいの時間をかけていますか?
キャンバスや画用紙の大きさにもよりますが、例えば大きめのサイズ(F25の80.3cm×65.2cm)くらいだと1枚1時間程度で描きあげています。A3サイズくらいのスケッチブックを渡すと10枚〜15枚程を1時間くらいで描きあげるときもあります。

ー集中して絵を描いているルカくんの投稿を拝見しました。ルカくんが絵を描いているときの様子を教えてください。
ペンからインクが飛び散る場所を想定しながら描いている様子がルカの見つめる視線から見受けられます。時折、キャンバスを見つめながらイメージを頭の中で描いているかのように両手の指を空中で数秒動かし、その後絵を描くことに取り掛かるときもあります。

絵③
絵③

また、絵を描いている最中のルカくんは、喃語や時折り奇声のような音の声を感情と共によく発するそうです。描いている最中のルカくんは、凄く幸せそうで笑顔のことが多く、絵を描くのが大好きなようです。

絵を描くことで気持ちを表現するルカくん

ールカくんは絵を描くことで気持ちを表現しているとありますが、ルカくんの絵には具体的にどのように気持ちが反映されているのでしょうか?
心が穏やかだったりハッピーな気分のときは、色とりどりのカラフルな絵を描くことが多いです。機嫌が悪かったり怒っているときは、赤と黒の2色を使って攻撃的な雰囲気の絵を描くことが多いです。

また、どこかで見た印象的なものを暫く描き続けるときもあるようです。ネモフィラ畑を見た時は暫く綺麗な水色と緑を使った絵を描いていたルカくん。秋の終わりから桜が1つ咲いているのを見かけるまでの間ずっとピンクの絵を描き続けていた時期もありました。

「桜を見たらピタッと描くのをやめたので、きっと桜の季節を待ち望んでいて、描き続ければ願いは叶うと思っていたんだと思います」と話すモリスさん。どこかで見た色の順番を少し見ただけではっきり覚えていることもあり、ふとしたときにその物の色の配置通りに描くこともあるそうです。

絵①
絵①

ールカくんの絵の描き方が独特でとても素敵だなと感じました。この描き方はルカくん独自の描き方なのでしょうか?
ルカのペンや筆の”弾き描き”やドリッピング技法のような描き方は、どこかや誰かから教わったものではなく、ルカ独自で編み出した描き方です。

しかし、ルカくんの描き方では、ペン先は壊れやすくインクは飛び散って掃除が大変なうえ、画材費もかさんでしまうとのこと。そんなルカくんの描いている姿を見た知人やSNSのコメントで「とても斬新!」「すごい!」「こんな描き方あるんだ。絵って自由でいいなって思いました!」「絵の描き方に才能を感じる」「ペンの振り方が凄く独特でいいですね」などの声がたくさんありました。

そのような声もあって、モリスさんは、これが当たり前に見えていたけど実はそうではなかったんだと気づき、この独特な技法は無理に止めずにそのまま見守ろうと決めました。

ー今まで描いた絵の中でルカくんのお気に入りの作品はありますか?
ルカは基本的に、気分や記憶を絵に映し出すのと、描き上げたらそれで満足をしている様子なので、ハッピーな気分で描いたものはだいたいお気に入りだと思います。

そんななかでお気に入りの作品を1枚紹介してもらいました。

絵⑥
絵⑥

こちらの作品のタイトルは『A thousand suns at night』。
地元の花火大会をテレビの生中継で家族と一緒に見た次の日にルカくんが描いた絵です。ルカくんは大きな音や人混みが苦手なため、花火大会はテレビ中継で見ていました。
「ルカにとって家族で見たその花火がとても印象的で、また家族のみんなで見れたものだから幸せな時間だったのだと思います」とモリスさんは話していました。

ルカくんは花火のような絵を描きます。ルカくんが年長さんのときにも、同じクラスメイトのお友達が「ルカくんの絵、大好き!ルカくんの絵、花火みたいで綺麗!」と言いにきたこともあったそうです。

ールカくんはお絵描き以外ではどのようなことに興味を持っていますか?
アニメの”Peppa pig”が好きで1歳の頃から今もずっと見ているのですが、特にそのアニメに出てくるキャラクターの”Mr Potato”というキャラクターが出てくるお話がすごく好きで毎回嬉しそうに微笑みながら見ています。おもちゃは、食べ物のおもちゃで黄色や茶色いものが好きです。特におままごと用のおもちゃのアイスクリームのコーンやパンケーキのツルツルした表面が好きで、眺めたり撫でたり並べたりして遊んでいます。ときどき、ブロックを縦に積んで遊んでいることもあります。

ールカくんが絵を描くためにご家族がされているサポートはありますか?
水性ペンや油性ペンを使って“弾き描き”をして描くのが好きなので、ペンの傷みが早く消費するスピードが早いので、ペンを切らさないように常にストックがあるように購入しています。スケッチブックやキャンバスも常に置いてあります。また、インクがそこらへんに飛び散ってしまうので、壁や家具に養生シートを貼り付け、床には大きめの布を敷いてあります。あと、親が見てない一瞬の隙にペン先を口に入れたりすることもあるため、油性ペンを使うときはそういったことを防止するため親がつきっきりです。
そういった悩みも含め、絵画療育先の先生方にルカが絵を描くときにしてしまうことなどをご相談させていただきながら、通わせています。

ー今後ルカくんが絵を描くために、してあげたいことはありますか?
現状、今の住まいでは厳しいのですが、ルカ専用のアトリエがあれば、いつでもすぐに描かせてあげられますし、絵の具も好きなのでアクリル絵の具も本当は自宅でも使わせてあげたいので、将来はルカ専用のアトリエを与えてあげたいです。

夢中でキャンバスに向かうルカくん。その表情は真剣そのものです。絵を描くのが大好きだということが伝わってきます。今後のルカくんの作品も楽しみですね。

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