世界最小と思われる自動販売機のミニチュア作品がTwitter上で話題を集めています。夜の街中にあるような自動販売機を作ったのはMOZUSTUDIOSの代表である水越(@rokubunnnoichi)さん。水越さんの作品『こびとシリーズ』を見たことがある方もいるのではないでしょうか。

今回水越さんが作った自動販売機の大きさは約4cm。横に置いてあるゴミ箱は約2cmです。さらに、自動販売機の中にあるドリンクの大きさはなんと約2mm…!本物の自動販売機の1/45の大きさだといいいます。

小さすぎる自動販売機に「細か過ぎて尊敬しかない」「ボタンの点滅の表現も最高です」などのコメントが寄せられていました。
今回この作品を作った水越さんにミニチュア作品を作るようになったきっかけや作品のこだわりについて聞きました。

もともと漫画家を目指し保育園のときから漫画を描いていた水越さん。「自分の世界を作るのが好きだった」と話す水越さんは小学5年生のときにプラモデルに出会います。これがミニチュア作品作りのきっかけに。
「プラモデルを作っているうちに背景を作るのが楽しくなってきたんです。飛行機のプラモデルだったら滑走路を作るとか…そのうち0から背景を作るのが楽しくなってきました」

高校1年生の頃、自分が住んでいる部屋をリアルにミニチュアで再現。2年生のときに完成した作品がSNSで拡散されたことが作家活動の始まりだったといいます。

作品のこだわりは?

自動販売機のボタンの部分(@rokubunnnoichiさんより提供)

つくるのに約1ヶ月かかったというこの自動販売機。投稿でも紹介していたこだわりである“ボタンの細かな点滅”は「ここが作りたくて始めたようなものです」と話します。この点滅についてはプラモデルなどを電飾する制作をしているどろぼうひげ(@doro_hige)さんに作ってもらった電子回路に、0.25mmの光ファイバーを差し込んでボタンを光らせています。

「夜の街中を歩いているときに実際に見つけた自動販売機の光りかたなんです。それを忠実に再現したいなと思い作りました。けど実際に作り始めると自動販売機のボタンの点滅って数え切れないほどあって。1個1個光るものやグラデーションで光るものなど。普通に生活していると気にしない部分に注目すると面白いなと思いました」
また、自動販売機の中が白くぼやっと光っている部分についてもこだわりだそうです。

しかしこの自動販売機は2,3回ほど作り直して完成したものだといいます。
「ほとんど完成していたんですが、気に入らなかったので1回壊しました。一度作っているから2回目のほうがうまくいくんですよね」
普段は何度も作り直すことがないようですが、それほど今回の作品は小さい作品だったとわかります。
「トライ&エラーが楽しいんですよね。うまくいかなかったらじゃあどうやってやるか、うまくいったら計算通りだ!って。」

ミニチュア作品は設計図さえ描いてしまえば頭を使わずつくることができるという水越さん。
「何も考えず没頭している時間が楽しいです。音楽を聴きながら熱中しているうちに気づいたらすごいものができたっ!っていう感覚がすごい好き」

今後つくっていきたい作品は?

高校2年生のときに作ったコマ撮りアニメ(制作風景)(@rokubunnnoichiさんより提供)

今後はコマ撮りアニメに力を入れていきたいと考えている水越さん。
「高校生のときに作ったコマ撮りアニメが海外のコンクールで賞を取ったことがあったので、そろそろ再挑戦したいなと思っています。あとしばらくは展覧会を頑張りたいです。ミニチュア作品についてはもうこんなに小さいのはこりごりだって思いますが、気づいたらまた作っていると思います(笑)」

「ミニチュア作品はぜひ生で見てほしいです。写真と本物では全然違うので。こびとの秘密基地とか生で見たら最高ですよ」そう語る水越さん。
水越さんの作品は7月27日~8月26日の間、金沢21世紀美術館で開催される『MOZU展』で見ることができます。『MOZU展』は全国で順々に開催しているため、実際にミニチュアの世界を堪能してみてはいかがでしょうか。

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