サラリーマン2人が週末に“縄文生活” 竪穴住居に石斧、土器も自作→「色々なものに感謝するようになりました」

サラリーマン2人が週末に“縄文生活” 竪穴住居に石斧、土器も自作→「色々なものに感謝するようになりました」
制作期間30日間の竪穴住居が完成する時の様子(週末縄文人さんのYouTube動画より)

週末、何をしていますか。友達と遊んだり、映画を観たり、1日中寝てしまったなんてこともありますよね。今、週末の休みを利用して土器を作ったり、竪穴住居を作ったりするなど、縄文時代のような生活をし、その様子をTwitterやYouTubeで発信しているサラリーマン2人組が話題になっています。一体彼らはなぜこのような事をしているのでしょうか。「週末縄文人」の名で活動する、縄さんと文さんに話を聞きました。

2人は、会社の同期だそうです。入社時から仲が良くて、休みの日はキャンプなどに行っていたと話します。なぜそれが、原始的な生活につながっていったのでしょうか。

「コロナ禍の時に、ちょうど仕事が暇になり、火を起こすとか木を切って家を建てるとか人間の最初の技術のようなものに興味があったので、そのような事をしてみようかというアイデアが出ました。火を起こすのもナイフを使えば簡単に出来ますが、サバイバル的なことでは足りなくて、一からやろうとしたら、物凄く深い世界でした。今の会社に入って、(数年)仕事をしていて、自分の力で生きているという実感がなくなってきていたのかもしれないです」

数日かけて…動画より)
数日かけて…動画より)

最初から縄文時代の再現というわけではなかったようです。

「縄文というよりは自然の物から生活に必要な物を作ろうと考えた時に、縄文にたどり着きました。やっているうちに、火を起こすのも、土器を作るのも、縄文人の方がはるかに綺麗にしているし、家も(僕らより)5倍くらい大きいのを作ってますよね。『縄文人すげー』ってなりました」

1つ1つが途方もない作業にも感じますが、2人は「めちゃめちゃ楽しいです」とのこと。

「没頭出来る時間というか、都内で生活していてこういう時間を持てずにいたので。単なるオノ1つ作るのに、3日かけて磨いています。ホームセンターで買えば1000円2000円の物で、簡単に手に入るんです。どういう物やプロセスが必要でどのくらいかかるのかを考えていると、足元が見えるというか、色々なものに感謝するようになりました。全然、苦ではなくて、メディテーションというかそういう状態になっているのかもしれないですね」

2人が制作…より提供)
2人が制作…より提供)

何も知らない現代人の象徴・サラリーマンということを表現するために、2人はスーツを着て作業しています。

「(スーツは)意外と強いんですよね。1回も洗っていないんですけど、全く破れないです。皮の靴も履いてますけど全然壊れないです。最初は、絶対汚したくないという現代人の本能的なのがありましたが、1回汚れたらまぁもういいかとなりました」

また、2人はなるべくネットなどで情報を調べずにチャレンジしているそう。自分たちのドタバタや失敗、そしてその後の喜びを見てほしいそうです。

それでも、悩んだ時は図書館で本を読んだり、活動当初の拠点近くにあった、井戸尻考古館の学芸員に話を聞きに行ったりするそうです。その学芸員とは、土器が完成したら見せに行くほどの仲になりました。

「僕たちが試行錯誤しているのが、面白いらしく、そんなに教えてくれないんですよね。僕らが失敗しているのを見て、発見もあるようです。煮詰まって、悩んだ時に土器を見せに行ったら、『これは煉りが足りないね。これ以上はヒントになっちゃうからこれくらいにしとこう』と言ってもらいました」

土の煉りが…)
土の煉りが…)

縄文の作業で一番苦しかったことは何なのでしょう。

「これは2人とも共通していると思うのですが、竪穴住居を建てる時に、屋根に笹を結び付けていく作業ですね。僕たち道具が使えないので手で笹の節を折って、7〜80本束にして木の皮で結び、(住居外側の)下のほうから結び付けていって屋根にするのですが、それだけの作業で14日間かかりました。それは地獄でしたね」

1日、屋根…動画より)
1日、屋根…動画より)

それでも、一つ一つの道具や建物が出来た時は、すごく嬉しいそうです。

「自分たちで火をつけられた時はめちゃくちゃ嬉しかったです。試行錯誤しながらだったので3か月かかったんですよ。本当にきれいでした。火は」

数日かけて…動画より)
数日かけて…動画より)

「多分、家作って、オノ作って、矢じり作って……実際にしてみたら、生きるために必要なことしか、縄文人は出来ていなかったように感じます。そうだったとしても、それは、不幸ではなくてむしろ全身全霊で生きているということで、それは幸せなことではないかと、石斧を削りながら思いました。『これ誰のためになっているんだろう』っていうことは絶対になかったんだろうなと」

これからの目標を聞くと、「縄文にこだわらず、日本で人類がどのように文明を発展させていったのか、弥生時代、古墳時代…出来たらおじいちゃんになった時に江戸時代とかになっていたらめっちゃいいよな」と話しているそうです。

現代までいって、電子レンジも作る気満々だった2人ですが、実際やってみると縄文だけで少なくとも3年はかかると実感しているそう。

2人がしている縄文時代の道具制作や火起こしを見ていると、1つ1つに苦労と感動があります。「生きる」とは何なのか、その答えは、縄文の暮らしにあるのかもしれません。

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