岡山県の南端、瀬戸内海の美しい自然に恵まれた港町、玉野市。宇野港や宇野駅周辺には、瀬戸内国際芸術祭に訪れる多くの人が国内外からやってきます。瀬戸内国際芸術祭2022の夏会期直前、宇野駅で電車の到着を待つ学生たちがいました。玉野を訪れた人々と交流をしている「たまのスチューデントガイドプログラム」のメンバーです。ガイドメンバーの学生たちは、地方創生や国際理解に関心のある玉野市内の中学生から大学生。地域で活躍する大人や玉野を訪れた人々と交流することで地元の魅力を学び、発信しています。

外国人から聞かれて気づいた地域の魅力

岡山在住の外国人を駅で迎えた「たまのスチューデントガイドプログラム」のメンバー

メンバーの一人で、岡山県内の大学に通う大学1年生の横山咲季さんは、中学生の時から、このプログラムに参加しています。高校時代は毎月参加してきましたが、コロナ禍で対面プログラムに参加できなかった時も学びをアウトプットするために、プレゼンテーションコンテストにチャレンジし、地元の魅力を英語で発表してきました。そんな咲季さんが、一番力を注ぎ楽しみにしているのが、宇野駅やその周辺にやってきた外国人観光客へのガイドやインタビュー活動です。

「中学時代から英語学習に興味をもち、アメリカでのホームステイを機に、英語を使ってコミュニケーションをとる楽しさを知りました。外国人観光客に英語を使ってガイドをすることで、英語の勉強にも、地域の勉強にもなります」

また、地域で活躍するボランティアガイドから、地域のことやアートの見方など、学校だけでは触れられない様々なことを学んだと話す咲季さん。さらに、外国人観光客から日本や玉野のことをたくさん聞かれたことで、地域の魅力に強く興味をもつようになったといいます。

宇野港周辺の沿岸等で拾い集めた漂流物を使ってつくられたオブジェ、宇野のチヌ 「いろんな人とアートの見方の意見交換をするのも楽しいです」

「まちへの誇り、愛着、共感をもって、まちのために自ら関わっていこうとする気持ちを“シビックプライド”というらしいのですが、プログラムを通じて、それが醸成されていった気がします。学んだことがそのままガイドや生活に生かせ、そして生かすために勉強する。そんないい循環が私の中で生まれています」

咲季さんは、育ってきた玉野市をもっと盛り上げたい、玉野市がもっとたくさんの人から愛される場所であってほしいと、市のPR活動をするたまのほほえみマリン大使としての活動も始めました。

フェリー乗り場近くの宇野港第1突堤緑地もお気に入りの場所のひとつ

玉野の魅力を伝えるために…

咲季さんが感じる玉野の魅力は、キラキラした自然とあたたかな人たち。千変万化する表情を持った自然の風景からもらえるエネルギーや、瀬戸内海のように穏やかで優しい玉野の人たちにいつも助けられていると咲季さんは感じています。

「豊かな山々と穏やかな瀬戸内海がある玉野。玉野で育った私は、玉野のゆったりとした雰囲気や空気を伝えたいと思っています。また、海外の方へのインタビューを通じて、玉野は瀬戸内海の島々へ向かうための通過点となってしまっているように感じたので、魅力を発信していくことで、玉野が旅の目的地になってくれたら嬉しいです」

そう話す咲季さんのお気に入りのスポットは玉野市と倉敷市にまたがる「王子が岳」。特に、サンセットの時間は、息をのむほどの絶景だとか。

「玉野は素敵な場所がたくさんありますが、海と空、山と島、この4つが同時に楽しめるところはここしかないと思っています。私自身、落ち込んだ時や気合を入れたい時、癒されたい時などによく行きます」

スチューデントガイドプログラムのメンバー

「玉野の魅力を伝えるためには、自分たちが地元のことを十分に知る必要があると思っています。まずは身近な友人たちに魅力を伝え、一緒に活動できる仲間を増やしていきたいです。また、ガイドチーム専用のSNSを開設して、玉野や芸術祭のスポット紹介もしていきたいです」

瀬戸内海の島々を舞台に行われている瀬戸内国際芸術祭。本州からの玄関口ともなっている玉野で、地元の中高生や大学生が伝えるまちの魅力に耳を傾けてみてもおもしろいかもしれません。

この記事の写真一覧はこちら