ゆっくりと休みたい年末年始ですが、休みがないのが受験生たち。年明けから本格化する入試に向けて、ラストスパートをかけていることでしょう。その受験に縁起が良いとされているのがマンホール。『丸い(たくさん〇がつく)』『落ちない』『滑らない(表面を滑りにくくなる加工がしてある)』という3つの特徴を持っています。

香川県の観音寺市は、そんなマンホールをモチーフに、受験生に向けたお守りを作って配布しました。同市下水道課の下村恭平さんに、制作の経緯について聞きました。

観音寺市下水道課の下村恭平さん

縁の下の力持ちを知ってほしいという思い

「皆さん、水道水には意識が向くのですが、使い終わって流れた後は見えないし、流れた先にまで意識は向きません」

下水道課としては、マンホールの下にある下水道が、汚れた水をきれいにする役割の他に、雨が降った時に浸水被害を防止する役割など、縁の下の力持ちになっているという事を、知ってもらいたいという思いがあったそうです。

その中で、特に若年層にアプローチできる方法を検討していたところ、「受験生に向けてのおまもりを制作しよう」というアイデアが、職員の話し合いの中で出てきて実現に至りました。

観音寺市のマンホールおまもり(提供画像)

カードを挟んだ手作りの折り紙お守り

全国的にはマンホールおまもりを配布している自治体はいくつかあります。観音寺市ではオリジナリティを出すため、職員の話し合いで、手作業で作ることで気持ちが伝わるのではないかと考え、なおかつ、マンホールカード(※)が挟めるということで、折り紙のお守りを採用しました。

(※)下水道広報プラットホーム(GKP)と、マンホールを管理する自治体とで制作するマンホールのコレクションカード。

1枚1枚手作業で折っている(提供画像)

「やはり大人になってから折り紙をすることがないので、丁寧に折ることは苦労しました」

折ったお守りは11月に観音寺市内のパワースポットとして知られている高屋神社に職員が持参し、合格祈願のお参りをしました。

高屋神社でお参りしている様子(提供画像)

反響に驚き

2020年から観音寺市役所で配布を始めたマンホールおまもりですが、予想以上の反響に驚いたそうです。配布前に、何時間も扉の前で待っている人がいました。先着50個(1人1個、受験生対象)に対して、午前8時半の配布開始時間になる前に人数オーバーになってしまいました。

「まさか50人近く並んで、すぐになくなるなんて思ってもみなかったので、『きょうからこの期間まで配りだしますよ』と期間を設けて広報を出していました」

2021年は、前年の反省を踏まえ、当日のみの配布にしました。準備したおまもりは1時間で配布終了となったそうです。

手渡している様子(提供画像)

「昨年は受験の結果を見て下水道課に来てくれて『受かったんです』と報告にきてくれた方もいらっしゃいました。そういう声が聞けると嬉しいですね」

受験生へのメッセージ

いよいよこれから受験シーズンが到来します。受験生へ向けてのメッセージをもらいました。

「マンホールおまもりの縁起のいい効果と、これまで頑張ってきた自分を信じて試験に向かっていってください。その上でいい結果が出ればいいなと思っています!」

お守りに入っているカードに描かれているマンホール。市内に砂絵で寛永通宝が描かれているスポットがある(提供画像)

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