香川県の丸亀市立資料館で10月16日から11月21日まで、南北朝時代に作られた日本刀「ニッカリ青江」の特別展示が行われます。

ニッカリ青江は、国認定の重要美術品で、江戸時代には丸亀藩が所有していました。現在は丸亀市が購入し、丸亀市立資料館に所蔵されています。オンラインゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』(※)の登場人物として扱われ、人気を博しています。
(※)名だたる刀剣が戦士へと姿を変え、様々な合戦場を攻略していく刀剣育成シミュレーションゲーム。

この特別展示とコラボして、丸亀市観光協会が「ニッカリ青江公開プレミアムマンス」と銘打った観光振興イベントを開催します。イベントは5回目で、今回は丸1年、新型コロナの影響でイベントが延期になっていました。「今回は1番しっかり準備しました」 と話すのは、イベントを企画した同協会の柴坂晃さんです。

丸亀市観光協会 柴坂さん 『まるがめクエスト~囚われの12姫~』というゲームを作ったことでも有名です。

丸亀城、そして地域を散策

コラボイベントの期間中、丸亀城を巡る音声ガイドを『刀剣乱舞-ONLINE-』の『にっかり青江』役、声優の間島淳司さんが務めます。資料館などの待ち時間がある場所は、整理券が配布されるので、その時間を有効に活用して、お城の魅力を見つけることができます。しかも期間中は無料で楽しめるそうです。

「コロナの感染状況によっては、資料館が閉まってしまう場合もあります。城の中は随時開放しているので、刀が見られなくても、ボイスだけでも聞いてもらえる。それだけのためにでも来ていただければいいなと思いました」と柴坂さんは話します。

丸亀城巡り音声ガイドマップ

また、今回は過去のイベントと異なり、丸亀城以外の場所も散策してもらえるよう、仕掛けを施したそうです。

「今までは、丸亀城の中だけでコラボレーションイベントをしていて、足を運びたいけれども資料館、グッズ販売、うどん店、それぞれの待ち時間だけで1日が終わってしまい、どこにも行けなかったという方が多くいました。今回は、町おこしの一環として、地域全体をお客様が回れるようにということで、各施設を回るスタンプラリーなどの仕掛けを準備しています」

丸亀市周辺をまわるスタンプラリー。無料の施設だけでも集めることが出来る。全てスタンプを集めたら、ポストカードがもらえる。

各店舗に、このイベントのための割引や特別メニューを作ってもらったり、「ニッカリ青江」と言うとサービスしてもらえたりという仕掛けをお願いしています。イベントに参加している店には、協賛・協力ののぼり旗が立っています。

さらに柴坂さん、丸亀市のホテルに話を持っていき、ニッカリ青江のお守りがついた宿泊プランを用意してもらいました。そのお守りは、京極家の菩提寺である玄要寺で御祈祷したものだそうです。

「最初はホテルの方も、あまりよくわからない雰囲気でした。しかし、宿泊プランが公開になった時点で電話が鳴り止まない状態になり、用意していた200セットはすぐに予約でなくなるという盛況ぶりで、『もってきて』という問い合わせを受け、追加の100セットを渡しに行きました」

御祈祷時の様子(柴坂さん提供)

他にも丸亀うちわ、讃岐うどんなど多くのコラボ商品を準備しています。イベント期間中に購入できなくとも、後からECサイトで購入できる物もあります。

「今までは、先着が多かったので、足早に、それこそ坂ダッシュする方もいらっしゃいました。もっとゆっくり写真を撮って巡って、丸亀市の魅力を再発見してくれるといいなと思います」

刀剣乱舞-ONLINE-×丸亀うちわコラボ商品。うちわ職人が1本1本手作りで作業を行なっている(柴坂さん提供)

オリジナル麺を使った讃岐うどん

これが最後のつもりで

「刀好きの方、刀剣乱舞のファンの方は、刀をリスペクトしてくれているんです。こっちがしっかり準備すると、いつもそれにこたえてくれました」と語る柴坂さん。このイベントのために丸亀を歩き回った柴坂さんの思いは、刀剣乱舞ファン、刀好きの人たちに必ず伝わるのではないでしょうか。

『刀剣乱舞-ONLINE-』は、ミュージカルにアニメにと人気が拡大し、それに伴って今後はコラボレーションイベントも難しくなるかもしれません。「これが最後のつもりで2年がかりで準備しました」と柴坂さんは自信をにじませます。

丸亀市立資料館でのニッカリ青江の特別展示とコラボイベントは、11月21日まで開催されています。

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