新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年春以降、全国各地で多くのイベントや祭りが中止となっています。有名アーティストによる音楽ライブや地域を代表する伝統的な祭りだけでなく、近郊で採れた野菜や手作り雑貨、パン屋や飲食店などが出店し、気軽に立ち寄れる憩いの場として人気の「マルシェ」も同様です。中止に伴い、飲食・小売など幅広い地域関係者に経済的な損失が発生しています。

そんな中、2020年7月、倉敷市玉島勇崎で新たなマルシェが立ち上がりました。名前は「瓦まるしぇ」。地元有志で構成された「瓦まるしぇプロジェクト委員会」が主催するイベントで、会場が瓦をつくる平野瓦工業所であることから「瓦まるしぇ」と名付けられました。

瓦まるしぇの様子

瓦まるしぇプロジェクト委員会の一員、平野瓦工業所の平野緑さんは以前、人と人とのコミュニケーションを大事にしたいという思いから、様々な作家を招いたワークショップ「ひらのさんの 手しごとくらぶ」を店舗内で開催していました。新型コロナウイルスの影響で多くのイベントが中止となる中、地元の事業者や生産者の出店の場がなくなっているという声を聞いていました。「こんな時だからこそ」という思いに共感して集まった瓦まるしぇプロジェクト委員会のメンバーとともに、屋内ではなく屋外で、感染症に配慮しながらできることはないかを考えた結果、「瓦まるしぇ」が誕生しました。平野瓦工業所が場所の提供に協力し、広い駐車場を会場にしています。

瓦まるしぇの様子。雑貨、野菜、テイクアウトやパンなどが並ぶ。

瓦まるしぇは「休日のお出かけ前に立ち寄ってもらいたい」と、毎月最終日曜日の午前中に定期開催しています。第1回目の7月26日(日)には6店だった出店者は、第6回目の12月27日(日)には22店に。パン、コーヒー、テイクアウト弁当、地元で採れた野菜、手作り雑貨やアクセサリーなどが並び、あちこちから笑い声が聞こえるマルシェになりました。

来場者も増え、憩いの場として定着し人気となっていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した12月はお客さんが目に見えて減りました。1月の開催をどうするか、とても悩んだといいます。

「そもそも瓦まるしぇは、イベントが軒並み中止になり、出店の場が減った方々のお役に立ちたいという思いで始めたもの。関わってくださる方が増え、ご縁が繋がったおかげで、瓦まるしぇ自体が人と人を繋ぐ場として成長し、ほんの少しでも皆さんに貢献できる場になってきている気がしています。一言、『中止します』と言ってしまうのは簡単だけれど、情勢を踏まえできることがないか、運営側で話し合いました」と平野さん。

こうして実現したのが、予約販売形式。出店者のSNSなどで事前に予約した上で、当日、会場となる平野瓦工業所に商品を受け取りに来てもらうスタイルです。

1月31日(日)予約販売形式となった瓦まるしぇの様子

1月31日(日)はパン屋2店(C&Kitchen・だんだんpan)、マカロン専門店(Ma macaron)の計3店が出店。瓦まるしぇプロジェクト委員会メンバーが持ち寄った野菜も急遽並び、「ついで買い」に対応しました。

急遽実行委員会メンバーが準備した地元産の野菜も好評

来場者は、予約をしている方のみ。入口で記名し、手指消毒をした上で入ります。各店、「久しぶり~!」、「やっと食べられる~!」とお客さんとの会話が弾み、和気あいあいとした雰囲気でした。中には「予約分だけしかない? 隣のお店の分も、追加で買いたいな~」という声があったり、予約していないお客さんが訪れたりと、次に向けての改善点も見つかったようです。

感染症対策

瓦まるしぇは、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いたら、以前の屋外マルシェの形に戻す予定ですが、2月末も予約販売形式で準備を進めているそうです。入場に人数制限のルールを設けるなど、三密へさらに配慮するとともに、マルシェだからこその楽しみである「いろいろな商品との出会い」を体験できるよう、各店のイチオシ商品の詰め合わせも企画中とのこと。

1月31日(日)瓦まるしぇプロジェクト委員会・出店者・お客さん

いつ終わりがくるかわからない、新型コロナウイルスとの闘い。顔の見える相手から商品を買える安心感や、こんな人がいたんだ、こんな商品があったんだという出会いが、マルシェの魅力ではないでしょうか。新たな地元の魅力に出会ってほしい、そして出店者を応援したい。時代に合わせた憩いの場を模索しながら、瓦まるしぇの挑戦は続いていきそうです。