真夏の締め切られた部屋に1ヶ月以上放置され、衰弱しきった猫。1年2ヶ月が経った現在の姿に「助けて下さった方に感謝」「幸せになって欲しい」

真夏の締め切られた部屋に1ヶ月以上放置され、衰弱しきった猫。1年2ヶ月が経った現在の姿に「助けて下さった方に感謝」「幸せになって欲しい」

たった一握りの勇気が、消えかかっていた命の灯火を再び輝かせることがあります。
2024年12月に公開され、大きな反響を呼んだ一匹の猫の記事を覚えているでしょうか。
真夏の閉め切られた部屋に1ヶ月半もの間、飲まず食わずで放置されていた「ミラクルちゃん」の体験談です。

あれから約1年2ヶ月。
絶望的な状況から救い出されたミラクルちゃんがいま、どのような日々を送っているのか。
アニマルレスキューたんぽぽの代表、本田さんへの再取材を通して、ミラクルちゃんのその後を追いました。

ゴミ屋敷の便器の横で力尽きていた命…

事の始まりは2024年の8月末、大阪北部の動物保護団体「アニマルレスキューたんぽぽ」にマンションの管理会社から入った一本の電話でした。
住人が勝手に退去した後の部屋に、衰弱した猫が取り残されているという内容です。退去からすでに1ヶ月半も経っていました。

代表の本田さんが駆けつけた現場は、猫用品などは一切なく、酒の空き缶とゴミが散乱する悲惨な状態でした。
そして極度の飢えと渇きから水を求めたのか、便器の横で力尽き、死んだように横たわる猫の姿がありました。

病院へ運ばれた際、獣医からは「今日が山場だ」と告げられるほどの瀕死状態でしたが、本田さんは諦めず、夜通しの介護を続けました。
翌朝、かすかに目を開けた猫は、再び立ち上がれる奇跡を願って「ミラクル」と名付けられました。

虐待の傷跡と残された脳障害

一命を取り留めたミラクルちゃんでしたが、その身体にはあまりにも過酷な虐待の痕跡が刻まれていました。
身体中の傷から、物で殴られていたことは明白であり、背中の皮膚の下は菌が繁殖したことにより壊死していたため、1ヶ月もの長期入院を余儀なくされました。

さらに、長期間の脱水と暑い密室に置き去りにされた影響で脳障害となり、下半身を動かすことができませんでした。
意識がはっきりしてくると、過去の虐待による恐怖から人間を敵視し、激しく攻撃するようになったといいます。

そんなミラクルちゃんの心を溶かそうとしたのが、元野良猫の「餅坊」でした。
攻撃されても根気強く寄り添い、励ますように側にいた餅坊の存在により、レスキューから4ヶ月が経つ頃には、ミラクルちゃんも少しずつパンチの回数が減り、心を開く兆しが見え始めました。

そんな様子から本田さんは「ミラクルはまだまだ猫にも人にも厳しいですが、最初から凶暴な子はいません。自分を守るために必死に攻撃しているだけであり、元飼い主から受けた虐待のせいです。これからもたんぽぽで穏やかに暮らして、人間は怖くないと心から安心できる日が訪れるのを楽しみに待っています」と回復を願いました。

「敵」だった人間に見せた心の変化

 

 

前回の記事から約1年2ヶ月が経過した現在、ミラクルちゃんの様子には驚くほどの変化がありました。
本田さんによると、ミラクルちゃんは毎日を穏やかに過ごし、よく食べ、よく甘えているといいます。

かつては自分を守るために必死で人間を攻撃し、普通に触ることさえ難しい状態でしたが、現在は怒ることもなくなり、全身を撫でさせてくれるまでになりました。今では本田さんに対してお腹を出して甘える姿も見せているそうです。
献身的なケアと愛情の積み重ねが、ミラクルちゃんの中で「人間は怖い敵」という認識を「信頼できる家族」へと書き換えたのです。

アニマルレスキューたんぽぽが貫く信念

心の傷が癒えつつある一方で、身体に残された虐待の傷は今もなおミラクルちゃんを苦しめています。
暑い密室に1ヶ月半も閉じ込められた虐待の後遺症は未だに消えていません。
脳障害から1日数回は回転を繰り返してしまう症状が続いているそうです。

アニマルレスキューたんぽぽでは、こうした虐待やネグレクトを受けた動物たちをメインに保護していますが、その活動の根底には「野犬、野良猫だったからこそ質の良いフードと医療、そして愛情を惜しまず、1匹1匹を丁寧にお世話するよう心がける」という強い信念があります。
プレミアムフードの使用や、個々に合った空間での飼育、全室エアコン完備の環境づくりなど、1匹ずつを丁寧に慈しむ方針は心の傷を回復するための大きな支えとなっています。

「普通に水を飲める日まで」ミラクルちゃんの幸せを願う未来への約束

本田さんは今もミラクルちゃんには、見るたびに胸が締め付けられるような仕草があるといいます。
それは水を飲むとき、かつての極限状態の記憶からか、両手で必死に食器を掻きながら飲む姿です。

本田さんは「2度と飢えることも喉が渇くこともないと安心して、普通にお水を飲む姿が見れる日を楽しみに、これからも愛情込めて心と身体のケアを続けてまいります」と語ります。
ミラクルちゃんの歩みを通して、私たち人間に問われているのは、命を預かる責任の重さです。

虐待のない、動物も安心して暮らせる世界を目指して、本田さんとミラクルちゃんの歩みはこれからも続いていきます。

提供元:@animaltanpopoさん(Instagram)

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