極低出生体重児として生まれた双子の兄弟。誕生直後から、それぞれに医療的なサポートや乗り越えてきた2人。その15年後の姿が話題を集めています。背景や家族の日常について、母のツインズ&ドーナツ&たいやき( @twins_donuts_taiyaki )さんにお話を伺いました。
極低出生体重児として生まれた双子 共に歩んできた15年


長男さんと次男さんは、極低出生体重児として生まれました。 誕生直後から、それぞれに医療的なサポートや乗り越えてきた出来事があり、家族全員で支え合いながら成長してきたといいます。
長男さんは成長の過程で排便障がいと診断され、2023年には腸管運動機能不全と診断。
胃ろう造設や拡張切除、癒着剥離などを含む約11時間の手術を受けました。
現在はおむつと胃ろうを併用し、週1回の訪問看護と月1回の通院でサポートを受けながら生活しています。
日常の工夫と体調管理


長男さんは腸が短く直腸機能不全もあるため、脱水症になりやすい体質です。 そのため、こまめな水分補給と体力配分を意識しながら生活しています。
また、水分吸収が難しくゆるい便が続くため、排便のたびに軟膏を厚く塗って皮膚を守っています。
軟膏は1か月でおよそ3kg使用しているそうです。
1日1回の浣腸で排便リズムを整え、胃ろうからは1日4~5回ガス吸引と経腸栄養の注入を行っています。
学校や外出先でもケアの時間を確保し、胃ろう周囲の清潔を保つなど、丁寧な管理を続けています。
衣類は胃ろうやおむつが目立たないサイズを選び、学校生活や校外学習の場面では事前に理解を得ています。
「見えにくい事情」を理解してもらうために
見た目では分かりにくい体の特性ゆえに、外出時に多目的トイレを利用すると、事情を知らない人に誤解されることもあったといいます。 お母さまと長男さんは、ヘルプマークを鞄の目立つ位置に付け、必要な配慮があることを周囲に伝えるようにしています。
双子の絆とそれぞれの思い
次男さんは、幼い頃からお兄さんの闘病とお母さまの介護を身近に感じて育ちました。
寂しさを感じた時期もありましたが、「兄が少しでも楽に過ごせるように」と願い続けてきたそうです。
今では「成人するまでに一つでもできることを増やしてほしい」というお母さまの考えを聞きながら、手伝えることは協力し、ほどよく見守る関わり方をしています。
長男さんは「たくさん辛いことがあったけど、逃げることはできなかった」と語ります。
中学2年生で胃ろうを造設してから生活がしやすくなり、空手にも挑戦するようになりました。
「体のケアは必要ですが、昔よりできることが増えて、生きていることが幸せに感じられるようになりました」と話します。
家族を支えた小さな存在、愛犬たち


2020年の春、家族はビション・フリーゼの「ドーナツ」を迎えました。 犬を迎えたことで家族の生活に変化が生まれ、長男さんも自宅での医療的ケアに前向きに取り組むようになったといいます。
その後、6度目の手術を控えた際、長男さんの希望で2匹目の「たいやき」を迎えました。
たいやきの世話は次男さんが中心となって担当し、兄を支えました。
犬たちは、家族にとって欠かせない存在となっています。
クラスで「自分の体」について話す

高校生になった長男さんは、クラスメイトに自分の体のことを伝える手紙を用意しました。 何度も練習を重ね、本番では緊張のあまり10分ほどかかってしまったそうです。
「胃ろう」については落ち着いて説明できましたが、「おむつで生活していること」「排便障がい」という言葉はなかなか声に出せなかったといいます。
それでも、「多目的トイレの利用に時間がかかること」「栄養剤の注入が必要なこと」「友達と遊ぶ時に胃ろう部分に当たらないようにしてほしいこと」を知ってもらいたくて、勇気を出して話しました。
「思っていたよりも何倍も、自分のことを話すのには勇気が必要でした」と長男さんはいいます。
クラスから返ってきた優しさ

話を聞いていたクラスメイトや先生は耳を傾け、「大丈夫だよ」「栄養剤を飲んでいたんだね」と声をかけてくれたそうです。 担任の先生も「言えてよかったね」と温かく声をかけてくれ、長男さんは「予想以上に普通に受け入れてもらえて安心しました」と話しました。
Instagramで発信する日常
お母さまは2020年にInstagramを開設し、双子と愛犬たちとの暮らしを発信していました。 日常生活やケアの様子、家族の時間を通して、「一見ではわからない体の特性を知ってもらいたい」という思いを込めています。
今年になり、長男さんと次男さんがその意思を受け継ぎ、投稿を続けています。
投稿には「希望をもらいました」「内臓疾患について知るきっかけになりました」「家族の姿に励まされました」といったメッセージが多く届いています。
これからの挑戦

長男さんは「胃ろうがあり、おむつを履いているありのままの自分でモデルに挑戦したい」と語ります。 「見た目ではわからない病気や体の特性を知るきっかけになればうれしい」と話してくれました。
次男さんは「空手で黒帯を取りたい」と笑いながら、「ドーナツとたいやきと過ごす今がすごく幸せ」と話します。
見た目ではわからない事情を抱えながらも、前を向いて生きる家族の姿は、多くの人に勇気を与えてくれます。
お互いの違いを知り、思いやる心が広がっていくことを願いたいです。
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