伝統文化の美しさが、今あらためて注目を集めています。
@staff_yumedoujiさんが、和装のメイク動画をTikTokに投稿すると「ガチ勢すぎる」「画角が本物」「綺麗すぎる」などのコメントが寄せられ、話題になっています。
投稿者さんに話を聞きました。
女形に扮した16歳の息子が登場

投稿画像に映し出されたのは、手鏡を使って化粧をする着物姿の女性。真っ白に塗られた肌に赤い口紅や着物の赤が映えています。
この女性に見える人物は、女形として扮装した投稿者さんの16歳の息子さんです。

日本舞踊・お芝居などのお化粧や衣裳・鬘(かつら)の貸し出しを行う投稿者さん。
扮装体験できる「夢童子体験」の宣伝動画について、子どもたちに相談すると「TikTokでは歌舞伎をテーマにした映画が流行っているから、最初の動画は『娘道成寺』(歌舞伎の演目の一つ)の役で撮ろう」という提案が。
それを受け、4年前から放置していたTikTokアカウントに撮影した動画を投稿しました。
今回の動画は息子さんのお化粧練習も兼ねて撮影していたため、お化粧に1時間近くかかったそう。通常の急ぎ化粧であれば約15分、時間をかけて丁寧にお化粧するなら約30分でできるといいます。
お衣裳付けは約10分、鬘(かつら)を乗せて烏帽子(えぼし)を被せるのは約5分でできるのだとか。


伝統の魅力を伝えるためにSNSで発信
投稿には、多くの反響が寄せられました。投稿者さんは、歌舞伎の世界を描いた話題の映画に対してTikTok世代の関心が高いことに驚いたといいます。
さらに、日本の伝統的な白粉化粧・日本髪の鬘(かつら)やお着物に対しても、若い世代が興味を示していて嬉しく思ったのだとか。
「これだけの方に関心を持っていただけたのなら、最初から私たちスタッフの手によってしっかりと解説した動画も投稿してみたい」と感じたそうです。
舞台の世界では、化粧(顔師)、衣裳、鬘(かつら)などの準備を、それぞれ異なる事業者が担当するのが一般的だそうです。
しかし投稿者さんのところでは、これらすべてを一括で担当できる体制が整っており「自分たちだからこそ伝えられることがある」と感じたことが、発信を始めるきっかけになりました。

歌舞伎や日本舞踊の未来を見据えて
今後、挑戦したいことについて伺うと「もっと多方面に(外国にも)情報発信をしていきたい」とのこと。
投稿者さんが代表を務める「すたっふ夢童子」を少しでも多くの方に知っていただくと同時に、歌舞伎・日本舞踊、そして白塗り化粧や日本髪、お着物など伝統文化のますますの発展を目指しています。
「将来的には、達成できるできないは別として、私自身が『化粧師』(けわいし)(※)として人間国宝に選ばれるような人物になりたいという気持ちで日々精進しております」と語る投稿者さん。

日本の伝統文化を守り、広める力強い姿勢に、これからの発信にも期待が高まります。
※化粧師…江戸時代から明治・大正時代辺りのトータルコーディネイトできる美容師。現代のメイクアップアーティストに相当する職業です。
