予定日より2ヶ月早く、1100gで産まれた男の子。医者に「一生寝たきりかも」と言われて6年、現在の様子に迫る

予定日より2ヶ月早く、1100gで産まれた男の子。医者に「一生寝たきりかも」と言われて6年、現在の様子に迫る
出生時(@this.is.dt4さんより提供)

美容師のパパである@this.is.dt4さんの息子さんは、予定日より2ヶ月早く生まれました。そして生まれたときに「脳室周囲白質軟化症」と診断され、医師から「一生寝たきりかもしれない」と言われます。

「脳室周囲白質軟化症」とは、主に運動機能の神経が集まる脳室部分に血流が行き届かずに壊死してしまい、運動障がいが残る脳性麻痺の一種です。軽い麻痺が残るため、自力歩行できる人もいれば寝たきりになってしまう人もいるそうです。

「寝たきりになるかも」と言われてから6年後の息子さんの現在について、@this.is.dt4さんに聞きました。

「脳室周囲白質軟化症」と診断されて

息子さんは、妊婦健診では特に問題なく成長していました。ですが29週0日のときに、当時3歳の息子さん(長男)と公園で遊んでいたママさんに尿漏れのような感覚があったのですが、それが破水なのかはわかりませんでした。

しかし、やはりおかしいと感じて病院を受診すると破水していることがわかり、そのまま緊急入院に。

出生時(@this.is.dt4さんより提供)

その6日後の29週6日、緊急帝王切開で1100gの息子さん(次男)が誕生しました。「とても小さく、それでも一生懸命小さな声で泣いている姿を見て涙が溢れました」と@this.is.dt4さん。ところが生まれたときに医師から「脳に障がいがあるため、一生歩けないかもしれない」と言われ「脳室周囲白質軟化症」という病気であることを告げられます。

息子さん①(@this.is.dt4さんより提供)

病名を告げられたときのママさんはとにかく頭が真っ白になり、何を言っているのか理解が追いつきませんでした。その後冷静になったときに、元気に産んであげられなかった申し訳ない気持ちと、将来への不安が一気に押し寄せます。

そして、考えないようにしていても勝手に涙が出る毎日。そんな毎日でも、面会時には保育器に入っている息子さんがとにかくかわいくて愛おしくて、不思議と涙は出ませんでした。@this.is.dt4さんもママさんと同じく、息子さんの今後に不安を抱きますが、自分以上に出産を頑張ってくれたママさんに対して、家ではポジティブに振る舞うことを意識しました。

ですが、通勤中の電車内では「次男は、友達と走り回ることも、自分の足で好きな場所へ行くことも、簡単にはできない。もし叶うのなら、私が代わって寝たきりになってもいい。次男には、自由に世界を広げてほしい」という思いが押し寄せ、そんなこともできないのか…と自然と涙が出てくる毎日。

そして「自分に育てられるのか?」と悩んでいたときに、ある出来事が起こります。

それは息子さんがNICUにいるときに@this.is.dt4さんのお父さんが、若年性アルツハイマーという脳の病気で亡くなったことでした。お通夜が終わった夜にママさんが見た夢は、息子さん(次男)を抱っこしているときに、きれいな光が息子さんの頭に入っていくというものだったのです。

息子さん②(@this.is.dt4さんより提供)

それを聞いた@this.is.dt4さんは「きっと、父が力をくれたのだろう」という気持ちになり、ママさんも@this.is.dt4さんも前向きに病気と向き合えるようになっていきました。

保育園での出来事をたくさん話してくれるように…

「一生寝たきりかもしれない」と医師から告げられたときは絶望的な思いだったという@this.is.dt4さん。

ただ、ママさんと話し合っていたため、息子さんが退院後は「この子ができることを伸ばしていく」「せめて話せたり、話せなくても人に伝えたりできる能力は育てていきたい」という気持ちに変わっていきます。

息子さん③(@this.is.dt4さんより提供)

現在は6歳になり、歩くことはできませんが特に大きな病気もせず、元気いっぱいに育っている息子さん。そんな息子さんを「溢れる笑顔で愛されやすい性格」と語ります。

2歳のころから児童発達支援所と同じ系列の保育園で過ごしてきたため、たくさんの刺激をもらって今ではお話が上達し、保育園での出来事をたくさん話してくれるようになりました。

障がいが大きな転機となり「バリアフリーの美容室」の開業を…

@this.is.dt4さんは美容師として18年間、お客さんに携わってきましたが、息子さんの障がいが大きな転機となります。

息子さんが生まれてから療育園や病院のリハビリなどに行く機会があり、肢体不自由の人たちと多く関わるようになりました。そこで、今まで知らなかった環境や、今までの自分の生活が当たり前ではないと気づきます。

息子さん④(@this.is.dt4さんより提供)

それは車いすユーザーをはじめとした障がいのある人たちが、日常的に通える美容院がとても少ないということ。訪問カットのサービスは存在しても、美容院に足を運んで自分の好きな髪型を選び、カラーやパーマを楽しむといったことはまだ当たり前ではないことが現実でした。

カットなどはシャンプーなしでできる場所が多くても、カラーやパーマとなるとまず、シャンプー台のスペースには段差ができて困難になります。また2時間のメニューとなると、お手洗いも普通のお手洗いにはいけないという不安も。そして車いすのまま施術できる専用のスペースがなければなりません。

そこで@this.is.dt4さんは、それらの問題をすべてクリアしたバリアフリーの美容室「tim hair」を次男さんの誕生日(2025年7月19日)に開業しました。

実際に利用した人たちの声で一番多いのは「デザイン性が高い施術を自由に自分で美容を楽しめること、そして、今まで外にいくのも億劫だったがヘアスタイルが綺麗に、おしゃれになると外出して誰かに会いたくなる」ということでした。

@this.is.dt4さんは、Instagram(@this_is_d.takigawa)で息子さんのことを、(@tim_hair.0719)ではバリアフリーの美容室のことを発信しています。

一日一日、たわいもない話を大切に…

@this.is.dt4さんは、障がいのあるお子さんを育てる人に人たちへ「最初は不安で仕方がないと思います。お母さんもお父さんも頑張りすぎなくていい。弱音を吐いたっていい。まずは子どもと寄り添うだけでいい。最初の不安な気持ちが、その後嘘だったみたいに子どもから勇気と愛情をもらえます。私は6年経ちましたが、今では『妻と私を選んで生まれてきてくれてありがとう』と思えます」ということを伝えたいといいます。

息子さん⑤(@this.is.dt4さんより提供)

息子さんは立ったり、歩いたりはできないのですが、当初告げられた「寝たきりの可能性もある」ということはありません。「お話が上手になってきたので、一日一日を妻、私、長男、次男でたわいもない話を今まで以上にしたい」と語ります。

息子さん⑥(@this.is.dt4さんより提供)

そして、今年小学生になる息子さんへ「人に自分の想いを伝えられ、思いやりがあって友達を大切にできる子になってくれることを期待します」と今後への思いを話してくれました。

障がいがあるとどうしても行動が制限されがちです。ですが@this.is.dt4さんが開業したバリアフリーの美容室のように、障がいがあっても安心して出かけられる場所が広まったら、もっと生きやすい世の中になりますね。

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