「脳筋女子大生」としてSNSで発信をしている@muslegirlgramさんは、指定難病と診断されました。治療における副作用と闘いながらも筋トレを再び開始し、パワーリフティングの大会で優勝を果たしています。
「優勝はゴールではない」と語るその思いを聞いてみました。
あざから指定難病との診断が…
2024年の春、@muslegirlgramさんの両足に小さな青紫色の点状のあざが多数現れ、皮膚科を受診しました。そこで内科を紹介され、さらに大きな病院の救急外来を勧められます。その後、夜間に40℃を超える高熱が続き、体温計が測定不能のエラー表示になることも。眠れない日々と、全身の強い倦怠感に悩まされました。

検査の結果、関節炎・発疹・発熱・リンパ節の腫れなどを主な症状とする全身性の炎症疾患「成人スティル病」という難病だと診断され、当時は厳しい見通しを含む説明もありました。

@muslegirlgramさんは頭が真っ白になったものの、不思議と絶望よりも「生きるしかない」「今を大切に生きよう」という強い気持ちの方が強かったと振り返ります。

現在は、自己注射と内服治療で病状をコントロールしながら生活しています。病状が一度落ち着いた後に再び悪化する「再燃」も経験しているため、日常では無理をせず、運動も体調を最優先に段階的に行っているそうです。
勇気をもらった出会いが、競技人生を動かした
@muslegirlgramさんは幼いころからスポーツに親しみ、筋力トレーニングを続けるなかで、トレーニングジムでアルバイトとして働くようになりました。
ジムで働くには、BIG3(スクワット・ベンチプレス・デッドリフト)の重量基準を満たす必要があり、日々トレーニングを重ねていました。当時は、ジム主催の大会に「出場を意識する程度」でパワーリフティングに触れていたといいます。

転機となったのは、指定難病と診断され、気持ちが沈んでいた時期に、難病を抱えながら競技に向き合う『パワーリフター・あゆと』さんのYouTubeに出会ったことでした。そこで勇気をもらい、大会出場を決意。本格的にパワーリフティングへ取り組むようになります。
一方、成人スティル病の治療ではステロイドが欠かせず、その副作用として筋力低下(ステロイドミオパチー)を経験します。筋トレを再開した際、かつて120kgでできていたスクワットができず崩れ落ちたことで「健康も、動ける身体も当たり前ではない」と強く実感しました。
それでも競技を続けているのは、記録を残すことが、再燃したときの自分自身を支える力になると感じているからです。

@muslegirlgramさんは服薬や入退院を繰り返しながらもトレーニングを続けパワーリフティング選手権大会でジュニア優勝を果たしました。
試合当日は、勇気をもらったあゆとさんが帯同・撮影として同行し、試合中もコーチのように終日サポートしてくれたといいます。一人では辿り着けなかった結果であり、優勝の喜び以上に「この舞台に立てた」こと自体が大きな意味を持つ経験になったそうです。
試合当日の様子はあゆとさんのYouTubeで発信されています。
病名や状態を問わず、誰かの力になりたい
病気のことなどをSNSで発信するきっかけとなったのは、あゆとさんの発信で大きな勇気をもらい「今度は自分が誰かの力になれたら」と思ったことからでした。
SNS発信を通して伝えたいのは「健康は当たり前ではない」ということ、そして「今この瞬間が、人生で最高の一日になり得る」ということです。
「多忙な日常のなかでも、後悔のない今を生きてほしい。もし明日、ベッドの上で『これが最後かもしれない』と言われたとしても、ニヤニヤしてしまうくらいの人生を歩んでほしい」という思いを込めて発信しています。
今後について@muslegirlgramさんは「正直に言うと、私には明確なゴールがありません。 この病気と生きている以上、いつ再燃し、突然『終わり』が訪れるかはわからないからです」と語ります。

未来への思い
周囲からは「生き急いでいる」と言われることもあるという@muslegirlgramさん。しかしそれは当然で、もし明日再燃したとしても「精一杯やってきた」「あのときの選択は間違いではなかった」と思えるよう、毎日、自分で決断を重ねていると話してくれました。
その選択が理解されないこともあります。
「私はいわゆる健常者ではなく、普通の人には理解されにくい感覚や不安を抱えて生きています。それでも、こんな思いで生きる人がいること、そして私よりも困難な状況に置かれている方もたくさんいることを知ってほしい」と語ります。
だからこそ、病気や状態に関係なく誰かの力になりたいと、@muslegirlgramさんは考えます。長年スポーツに関わる中で、スポーツには人を前向きにする力や希望があると感じてきました。今は、関わるすべての人が安心して過ごせる「居場所」としての環境を、少しずつ作っています。
将来的には、病気や障がいがあってもスポーツや芸術に挑戦したり観たり関わったりできる街や環境をつくることを目指しています。
@muslegirlgramさんは「この街や環境なら安心できると思える場所で、診断を受けた人が落ち込みすぎず、新しい一歩を踏み出せるようにしたいです。何十年かかるかわかりませんが、この想いは必ず形にします」と話していました。
そして、最後に「つらいときも嬉しいときも、いつでもDMなどで声をかけてください。想いを実現するためには皆さんの素直な感情を知ることが必要ですし、私自身も微力ながら誰かの支えになりたいと思い、この発信を続けています」とメッセージを送ります。
@muslegirlgramさんの「今この瞬間が、人生で最高の一日になり得る」という言葉が心に残りました。健康であることは決して当たり前ではないこと、一日一日を大切に心を込めて生きていく大切さに気づかされた人も多いのではないでしょうか。

