食事中…母「危ないよ」娘「え、何が?」予想外の指摘に「ハッとした」「恥ずかしい」

食事中…母「危ないよ」娘「え、何が?」予想外の指摘に「ハッとした」「恥ずかしい」

社会人経験を重ねれば、会食や接待など人前で食事をする機会も増えてくるもの。
「自分は常識的なマナーを身につけている」と自負している人も多いのではないでしょうか。

しかし、長年の習慣というのは恐ろしいものです。
ふとした瞬間に、無意識のクセが出てしまったり、実は「思い込み」で覚えていた作法があったりすることも。

今回は、実の母からの指摘で「ある箸の動き」が相手を不快にさせているかもしれないと気づかされた、40代女性の体験談を紹介します。

「社会人として恥ずかしくない」自信はあったけれど

都内の企業で働く40代の女性、Aさんは、仕事柄、取引先との会食や上司とのランチミーティングに参加することも多く、食事のマナーにはそれなりに気を使っているつもりでした。
「若い頃にマナー研修も受けましたし『箸渡し』や『刺し箸』といった基本的なタブーはもちろん理解していました。魚の食べ方なんかも、友人から『きれいだね』と褒められることもあったので、正直、自分の食事作法に大きな問題があるとは思っていなかったんです」
そんなAさんが、自分のマナーについて考えさせられたのは、久しぶりに実家に帰り、母と2人で食卓を囲んでいたときのことでした。

お味噌汁を飲もうとした瞬間、母の視線が止まった

その日は、和食中心の夕食でした。
リラックスした雰囲気で会話を楽しみながら食事を進めていたAさん。

お味噌汁を飲もうと、箸を持ったままお椀に手を伸ばしました。
その一連の動作の最中、母から静かに、しかしはっきりと指摘が入りました。

「ちょっと、そのお箸。危ないわよ」
Aさんは一瞬、何のことかわかりませんでした。
箸を振り回していたわけでも、行儀悪く音を立てていたわけでもありません。

ただ、お味噌汁のお椀を持ち上げようとしていただけです。
「え、何が?」と聞き返すと、母はAさんの手元を指して言いました。

「お椀を持つとき、お箸を持ったままの手で持ち上げるでしょう?そのとき、お箸の先が私のほうを向いているのよ」

指摘されて初めて気づいた「相手に向く切っ先」

言われてみて、Aさんはハッとしました。
右利きであるAさんは、右手にお箸を持ったまま、同じ手でお椀の縁を持ち、左手にのせるという動作をしていました。
その際、手首を返すような動きになるため、自然と箸先が前方にいる相手(この場合は母)に向けられてしまっていたのです。

「言われてみれば、確かにそうなんです。自分では単に『お椀を持つ』という動作の一部でしかなかったのですが、対面にいる人からすれば、鋭利な箸先が自分に向けられることになる。もし自分が逆の立場だったら…と考えたら、決して気分のいいものではないな、と痛感しました」
いわゆる「嫌い箸」として有名なもの以外にも、こうした何気ない所作の中に、相手を不安にさせたり不快にさせたりする要素が隠れている。

Aさんは、長年身についていた自分の動作を恥ずかしく感じたといいます。
「ある程度マナーは心得ているつもりでしたが、それは『型』を知っていただけで『相手からどう見えるか』という視点が抜け落ちていたのかもしれません」

【専門家のコメント】「箸先」の扱いで注意したいポイント

このようなケースについて、撫子Plus株式会社の鮎永 麻琴さんに話を聞きました。
箸のマナーというと、「刺し箸」「渡し箸」など、分かりやすい禁止事項に意識が向きがちですが、実は箸先の“向き”や“動線”こそ、相手に与える印象を大きく左右します。

■ 箸先は「刃物と同じ向き」で見られることがある

箸は日常的に使う道具ですが、先端が細く、対面の相手に向くと心理的な緊張や不安を与えやすいものです。
とくに、箸を持ったまま手首を返す動作や、お椀を持ち替える際に、無意識のうちに箸先が相手に向いてしまうケースは少なくありません。
本人にとっては「ただの動作」でも、相手から見ると
「切っ先を向けられている」
ように映ることがあります。

■ 問題は“無作法”ではなく“想像力の欠如”

こうした箸先の扱いは、知らなければ気づきにくく、悪意があるわけでもありません。
しかしマナーの本質は、「知っているかどうか」よりも、
相手の立場に立ってどう見えるかを想像できるかにあります。
基本的な型が身についている人ほど、「自分は大丈夫」という思い込みから、こうした細部への意識が抜け落ちやすいのも事実です。

■ 実践的な対処法はシンプル

改まった席や人前では、
・お椀を持つ前に一度箸を箸置きに置く
・箸を持ったまま動作をするときは、脇を締め、箸先が前に出ないよう意識する
この2点を心がけるだけで、箸先が相手に向くリスクは大きく下がります。

■ 箸のマナーは「相手への配慮」の可視化

箸先の扱いは、単なる作法の問題ではなく、
「相手を不安にさせない」「心地よく食事を共有する」ための配慮が形として表れる部分です。
マナーとは、完璧な所作を競うものではありません。
こうした小さな気づきを積み重ねることが、結果として
「一緒に食事をしたい人」「安心感のある人」
という評価につながっていきます。

マナーの本質は「相手への思いやり」

指摘を受けて以来、Aさんはお椀を持つ際は「一度箸を箸置きに置く」あるいは「箸先を相手に向けないよう、脇を締めて丁寧に扱う」ことを意識するようになったそうです。
「親しい母だったからこそ指摘してもらえましたが、仕事の席だったら誰も注意してくれず、静かに評価を下げていたかもしれません。そう思うと冷や汗が出ます」とAさんは語ります。
「これってマナー違反かな?」とルールを気にするのも大切ですが、それ以上に「この動きは相手にとって心地よいか」を想像すること。
それが、大人の食事作法における一番の基本なのかもしれません。

※本記事は、個人の体験談および専門家の見解をもとに構成しています。体の感じ方や原因には個人差があり、すべての人に当てはまるものではありません。

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