寝起きに頭の重さを感じた女性。鎮痛剤を飲もうとすると立ち上がれず…救急搬送先で受けた診断結果と「前より強くなれた」と語る理由を聞いた

寝起きに頭の重さを感じた女性。鎮痛剤を飲もうとすると立ち上がれず…救急搬送先で受けた診断結果と「前より強くなれた」と語る理由を聞いた

@sumihechaaaanさんは41歳のときに、脳梗塞と診断され、左半身に麻痺が残りました。

当たり前にできていたことができなくなる中でも、脳梗塞になったことを悲観せず「小さな工夫で毎日を楽しむ!」をモットーに、自分らしい“できる形”を見つけ、その様子をTikTokやInstagramで発信しています。

「脳梗塞になる前よりも強くなれた」と語る@sumihechaaaanさんに、そう考えられるようになった理由を聞きました。

41歳の朝、突然体が動かなくなった

現在42歳の@sumihechaaaanさんは、41歳のある朝、目覚めると右目の奥に刺すような痛みを感じます。鎮痛剤を飲めば治まるかもしれないと思う程度でしたが、体が思うように動かず、一人では起き上がることができませんでした。

隣で寝ていた当時10歳の息子さんに起こしてもらったものの、立ち上がることはできず、救急搬送に。病院で検査を受け、脳梗塞と診断されました。

診断を受けたときは冷静だったものの、現実を受け止めきれず、左半身がまったく動かないことに気づいた瞬間「これからどうなるんだろう…」という不安が一気に押し寄せたといいます。

振り返ると、発症の半年前には起き上がれないほどの強いめまいがあり、その後の半年間にも2~3回、一過性の黒内障(片方の目の視界が一時的に真っ黒になる)の症状が出ていました。しかし、どれも一時的で治まったため、病院を受診することはありませんでした。

脳梗塞と診断され、左半身に麻痺が残りました(@sumihechaaaanさんより提供)
違和感を覚えたら受診してほしい(@sumihechaaaanさんより提供)

今思えば、これらが脳梗塞の前兆だと感じた@sumihechaaaanさんは「こうした症状があったら、病院を受診してください」とSNSで発信しています。

急性期から回復期までのリハビリ生活

病院に運ばれ入院した@sumihechaaaanさんは、急性期病院で血栓を溶かす点滴治療を受けながら、毎日、言語療法に加えて理学療法(脚)と作業療法(手)をそれぞれ1時間ずつ行っていました。意識がもうろうとする中でのリハビリはつらく「とにかく眠い、寝たい」という思いが強かったといいます。

回復期病院に転院してからは、早く退院したい一心でリハビリに打ち込みました。しかし、もともと低血圧のうえ減塩食が続き、常にふらつく感覚があったそうです。さらに、初めて長期間子どもと離れて過ごす生活は、精神的にも大きな負担でした。

後遺症と闘うのではなく、向き合い方を探しながら…

現在、脳梗塞と診断されてから約1年が経ちます。

後遺症として左半身の麻痺、痙縮、左肩に亜脱臼があり、細かい動作が手脚共に難しくなりました。また、見た目ではわかりませんが、構音障害や味覚障害、高次脳機能障害も少しあります。

脳梗塞の原因は今もわかっていません。
「特別に不健康な生活をしていたわけではないので、正直、気をつけようがない部分もあります」と語りつつも、再発防止のため、1日3食、健康に配慮した食事を心がけています。

後遺症とは一生付き合っていくことになる@sumihechaaaanさん。
「朝、いつものように目が覚めないかもしれない」「突然言葉が出なくなるかもしれない」そんな不安を抱えながらも「脳梗塞になる前よりも強くなれたと感じています」と話します。

脳梗塞になったことをよかったとは思えないものの「どうなっても、生きているだけで大丈夫」と考え、後遺症と闘うのではなく、向き合い方を探しながら日々を過ごしています。

病気になって後遺症が残っても、人生が終わるわけではない

@sumihechaaaanさんは、自身の脳梗塞の体験をTikTokInstagramで発信しています。

リハビリが進みスマホを触れるようになった頃、病気のことや今後について調べ始めましたが、同世代の体験談や後遺症との向き合い方など、知りたい情報はなかなか見つかりませんでした。

そんな中、SNSで同世代やさらに若い人たちが、脳卒中の後遺症と向き合いながら発信する姿に出会います。その姿に勇気づけられ「同じように悩んでいる人の役に立てるかもしれない」と思い、SNSでの発信を始めました。

前向きに発信中(@sumihechaaaanさんより提供)

今後、SNSや動画を通じて@sumihechaaaanさんが伝えたいのは、病気で後遺症が残っても、人生が終わるわけではなく「形が変わるだけ」だということです。

「私自身、片麻痺でも前に進める姿を見せたいし、笑いながら生きていいんだよ、ということを共有したい」と話します。そして同じ境遇の人たちに向けて「ゆっくりで大丈夫。一緒に進んでいきましょう」とメッセージを送りました。

左半身に麻痺があると聞いたり、その様子を目にしたりすると、私たちは無意識のうちに一面的な印象を抱いてしまうことがあります。しかし、@sumihechaaaanさんの発信からは、日常を大切にしながら、不便さと向き合い、自分なりの工夫を重ねて暮らしている姿が伝わってきました。状況だけで判断するのではなく、一人ひとりの選択や生き方に目を向けていくことの大切さを考えさせられます。

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