入院や治療が必要になったとき、仕事を休まなければならないことに不安を感じる人も多いでしょう。女性特有のがんである子宮頸がんと乳がんを経験した、つづきまどかさん(@madoka_mercari)は入院中も治療中も働き続けることができました。なぜ、そうした働き方ができたのか、その背景や病気のことについて話を聞きました。
2年前に見つけた胸のしこりが、のちにがんに…
まどかさんは2年前、左胸の外側下に小さなしこりを見つけ、近所の乳腺クリニックを受診しました。その際は「良性」と診断され、様子を見ることに。
しかし、しこりが大きくなったため再受診し、精密検査の結果、乳がんと判明しました。
診断を受けたときは「やっぱりか」という感覚で、痛みや体調の変化もなかったことから、強い恐怖は感じなかったといいます。少し涙は出たものの、すぐに検査や手術、仕事や子どものことを考えていました。
この経験を通して、セカンドオピニオンの重要性や、違和感を放置しないことの大切さを実感したそうです。
家族に病気を伝えた瞬間が、精神的には最もつらかったと振り返ります。淡々と受け止める子どもたちの姿からは、心配をかけまいとする気持ちが伝わり、母親からの「大丈夫だよ」という言葉には心から救われました。病気をきっかけに、家族は同じ方向を向いて支え合う存在になっていったといいます。

想像以上だった抗がん剤治療の現実
抗がん剤治療が始まり、脱毛や体型の変化、全身の痛み、発熱、味覚障害、認知機能の低下など言葉にしきれないほどの変化が現れました。
まどかさんはおしゃれが大好きで、そのため鏡を見るのもつらくなり、寝たきりになったこともありました。
「抗がん剤治療は本当につらかったです。もし再び同じ治療を受けることになったら、乗り越えられるだろうかという不安はあります」

現在も治療を続けながら、体調と向き合っているまどかさんは「無理はしない。でも人生は止めない」と話します。
よく寝て、よく笑い、会いたい人に会う。やりたいことは先延ばしにせず、ストレスを抱え込まないよう意識しています。仕事は外注し、家事は家事代行を利用しながら、子どもとの時間を大切にしているそうです。
今度は私が誰かの検索結果になろうと決意
まどかさんは、もともとSNSで、経済的・精神的に自立したい女性に向けた働き方を発信していました。乳がんと診断された際は病気について発信するか迷ったものの、過去に同じ経験をした人の言葉に救われたことから「今度は私が誰かの検索結果になろう」と決意。
入院中や治療中も働き続けられた、そのリアルな経験を伝えたいと考えたといいます。

シングルマザーとして、発達に特性のある子どもの育児や反抗期、さらに子宮頸がんと乳がんを経験してきたまどかさん。現在は、ママやがんサバイバー、子育てや離婚に悩む人たちから多くの相談が寄せられています。
まどかさんが伝えたいのは「怖くても人は前に進めること」「病気があっても人生は終わらないこと」「弱くても人はちゃんと強くなれること」、そして「どんな状況でも、人生は自分で選んでいい」というメッセージ。
今後は、もっと笑って生きること、同じ悩みを抱える人の現実的な支えであり続けること、そして元気に年を重ねる姿を見せていきたいと話します。
「『いつか』ではなく『今』やりたいことをやる。心だけでなく、経済的にも自立できる女性を増やすことが、今の私の仕事です」と語ってくれました。
努力が結果につながる働き方で、たくさんのママをサポート
以前は介護士とネイリストのダブルワークだったというまどかさん。
時間と体力を切り売りする働き方では、頑張っても生活は楽にならず、不安を抱える日々が続いていました。そんな中で出会ったのが在宅ワークです。
最初は半信半疑でしたが、努力がきちんと結果につながる働き方があると実感。現在はスクール講師として、1,000人以上のママの経済的自立をサポートしています。

講師を始めたきっかけは、稼げるようになったときに「これを昔の自分に教えてあげたかった」と思ったこと。
「一歩踏み出すのが怖い人の背中を、そっと押せる存在でありたい」という思いが原動力です。
今では、生徒さんの「生活が変わりました」という声に支えられ、全国で生徒さんと会うことが楽しみになっているそうです。
健康なときには、病気や入院について具体的に考える機会は少ないかもしれません。ですが、もしもの場合に備えて、治療中の仕事やお金のことを知っておくことは、将来の安心につながります。
まどかさんの経験は、病気と向き合いながらも自分らしい選択を重ねていく一つの例として、多くの人にとって希望になるのではないでしょうか。

