ゴミ屋敷の片付けや特殊清掃、遺品整理など、
“暮らしの再スタート”を支える活動を行う 片付けオンライン(@katazuke_online.nakanohito)。
その代表を務めるのが、長島拓也さんです。
長島さんの発信では数多くの現場が紹介されていますが、その中でも特に印象深いと語る現場がありました。その投稿には「似たもの同士」「綺麗」などのコメントが寄せられました。
カップルではなく“同居しているビジネスパートナー”のようになっていた関係
長島さんが呼ばれた部屋は、一見するとただ物が積み上がっているだけの空間でした。
しかし話を聞いていくうちに、その散らかりには“関係性の歪み”が透けて見えてきたといいます。
そこに暮らしていたのは、一緒に動画制作をしている男女のカップル。
恋人でありながら、生活はいつしか仕事中心になり、
気づけば「同居しているビジネスパートナー」のような関係に変わっていました。
動画作りに没頭するあまり、生活も会話も後回しにされ、部屋には段ボールやペットボトルが積み重なっていく。
長島さんは、その光景をこう表現しました。
「部屋に残ったモノは、2人が積み残してきた感情そのものに見えました」
片付けが進むほど、こぼれ落ちてきた“本音”
片付けの作業に取りかかると、 2人の口から少しずつ、本音がこぼれ始めました。
「本当はもっと話したかった」
「忙しさに甘えてた」
床が見えていくほどに、2人の心の距離も変わっていく。
そんな瞬間を、長島さんは何度も見てきたといいます。
部屋が散らかるのは、ただ怠けたからでも、気を抜いたからでもない。
そこには、その人が抱えているもの、言い出せなかったこと、
つい後回しにしてしまった“気持ちの積み残し”が現れることがあるのです。
片付けとは、関係性に触れる仕事でもある
この現場を通して、長島さんが改めて強く感じたこと。 それは、
「片付けとは“関係を整える作業”でもある」
という気づきでした。
部屋が整うと、会話が生まれ、
モノが減ると、心の中の引っかかりも少しずつほどけていく。
掃除でも清掃でもなく、
“生活”と“関係性”に向き合う仕事。
それこそが片付けオンラインの片付けです。
散らかった部屋は、誰かの“助けて”のサインかもしれない
長島さんは、部屋の散乱を「弱さ」だとは捉えていません。 むしろ、それは誰の中にもある “SOSのサイン” だと語ります。
片付けはモノを捨てる作業ではなく、
人がもう一度前に進むためのきっかけづくり。
部屋が変われば、人も変わる。
長島さんの現場での気づきは、その事実を静かに物語っています。



