トースターの上側だけ真っ黒に焦げるのはなぜ?パナソニックが語る“すぐできる対策”と“焦げのメカニズム”に…「明日の朝試します」「そういうことだったんだ」

トースターの上側だけ真っ黒に焦げるのはなぜ?パナソニックが語る“すぐできる対策”と“焦げのメカニズム”に…「明日の朝試します」「そういうことだったんだ」

「トースターでパンを焼くと、なぜか毎回『上』だけが黒焦げになるんです…」

編集部に寄せられた、ある読者からの素朴な疑問。「焼きムラは仕方ない」と諦めつつも、忙しい朝に焦げたパンを見るのは少し残念な気持ちになるものです。これは仕様なのか、それとも焼き方が悪いのか。
長年のモヤモヤを解消すべく、パナソニックで調理家電の調理ソフト開発を行っている「Panasonic Cooking@Lab」に取材を行いました。

そこから見えてきたのは、物理的な「焦げのメカニズム」と、それを技術で解決しようとするメーカーの姿勢でした。

物理的に「上」が焼けやすい理由

「ヒーターが壊れているわけでもないのに、なぜ?」という疑問に対し、Panasonic Cooking@Labは「熱の反射と水分の関係上、どうしても上が焼けやすくなる構造的な理由がある」と説明します。

トースターは、ヒーターからの直火に加え、庫内の壁に反射した熱(輻射熱)でパンを焼きます。パンの上側は空間が広く、天井や側面からの反射熱が集中しやすい構造になっています。一方、下側にはパンを乗せる「焼き網」があるため熱が遮られやすく、上下でどうしても火力に差が生じてしまうのです。

また、温かい空気は上へ昇る性質があるため、庫内上部は熱気が溜まり高温になります。するとパン表面(上側)の水分が先に蒸発します。パンは表面温度が150℃を超えると「メイラード反応」で色が付き始めますが、水分が抜けた上側はこの反応が早く進み、結果として短時間で「焦げ」に至るのです。

今日からできる、焦がさないための工夫

では、家庭でできる対策はあるのでしょうか。シンプルですぐに実践できる3つのポイントを聞きました。

まずは、パンを「中心」に置くこと。庫内の端は熱の反射バランスが崩れやすいためです。次に、山型パンを焼く際は「山を手前」に向けること。庫内奥は熱がこもりやすいため、焦げやすい山部分を手前(扉側)にするのが有効です。そして、連続で焼く場合は2枚目の時間を短く設定すること。庫内がすでに熱くなっているため、1枚目と同じ設定では加熱過多になってしまいます。明日の朝から試せそうな対策ですね。

「おいしさ」と「くらし」に向き合う、パナソニックの哲学

構造上、焼きムラができやすいのが物理の法則だとしても、メーカー側はそれを良しとしているわけではありません。1962年のトースター誕生以来、約60年にわたり大切にしてきた「3つの思想」を教えてくれました。

1つ目は「おいしさへの飽くなき追求」です。単にパンを焼くだけではなく、素材の持つ旨みや食感を最大限に引き出すことを重視しています。

2つ目は「時代の変化に合わせて暮らしに寄り添うこと」。「毎日の食卓をより豊かにしたい」という想いから、変化する食生活に対応できる機能を追求してきました。また、食卓に心地よさをもたらす洗練されたデザインにもこだわり、生活空間に自然に調和することを目指しています。

そして3つ目が「理想を実現する技術革新と高品質へのこだわり」です。長年培った技術のノウハウに加え、全調理家電の調理ソフト開発メンバーが所属する専門部隊「Panasonic Cooking @Lab(パナソニッククッキング アットラボ)」の知見を融合。食材の特性や調理理論に基づいた実験を日々繰り返し、「理想の食感」を数値化して製品開発に落とし込んでいます。また、創業以来変わらない品質へのこだわりを持ち、すべてのお客様に安心して使っていただける製品を届けることを使命としています。

パナソニックは、家電を通じて「くらしのベストパートナーはパナソニック」と感じてもらえるような未来の実現を目指しています。

世界トップレベルの調理科学に基づく再現性技術と、使いやすさを追求したユーザビリティを融合させることで、変化し続ける暮らしに真摯に寄り添い、『おいしさを通じて幸せを届ける』ことを実現していきたいと話してくれました。

「上だけ焦げる」という日常の些細な疑問。その裏側には熱と空気の物理現象があり、さらにその課題を技術で解決しようとするメーカーの積み重ねがありました。
明日の朝、トースターの赤く光るヒーターを眺めるとき、そんな背景を少し思い出してみると、いつものトーストが違って見えるかもしれません。

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