ダイエットをしていただけなのに…母に連れられ“拒食症”と診断を受けた女性。しかし3年後、現在のまさかの姿に「すごい!」「尊敬」

ダイエットをしていただけなのに…母に連れられ“拒食症”と診断を受けた女性。しかし3年後、現在のまさかの姿に「すごい!」「尊敬」

必要量を食べられない、食べすぎを止められない、吐いてしまうなど、心身に影響が及ぶ「摂食障害」。

摂食障害でBMI13まで低下し、拒食症と診断された遠藤さん(@endo._.mame017)。BMIとは体格を示す国際的な指標で、18.5未満が低体重、18.5〜25未満が普通体重とされています。今回は、摂食障害と向き合った過去と現在の様子について聞いてみました。

「拒食症」と診断され…

遠藤さんがダイエットを意識し始めたのは大学1年生の頃。学食で周囲の女の子がSSサイズの白米を選ぶ中、自分だけSサイズだったことから「食べすぎているのでは」「可愛くないのでは」と感じ、痩せたい気持ちが芽生えました。

ダイエットを始めて痩せていくと、友人から「痩せた!?すごい!」と声をかけられたことが励みになり、どんどん夢中になっていったのです。

2022年の遠藤さん(遠藤さんより提供)
拒食症だと自覚がなかったとき(遠藤さんより提供)

一人暮らしをしていた遠藤さんは、コロナ禍でオンライン授業になったことを機に実家へ戻り、そこでダイエットを続けていました。

しかし、食べる量や内容が徐々に変わり、急に食が細くなる娘の様子にお母さんは違和感を覚えます。その頃の遠藤さんは、頬がこけ、髪も薄くなっていました。明らかな変化を感じたお母さんは精神科を受診させ「拒食症」と診断されますが、遠藤さん自身は受け入れられず、認めたくない気持ちが強かったといいます。

症状は、頬がこけ、髪が薄くなるだけでなく、肌の乾燥、生理不順、運動能力の低下、転倒など幅広く、毎日気分が落ち込む状態が続いていました。

YouTubeで見た女性が今後を変えるきっかけに

拒食症と診断された遠藤さんは通院するようになり、そこで「このまま体重が下がり続けたら入院の可能性もある」と言われます。

「入院したら自由が奪われる。それなら自力で増やすしかない」と感じた遠藤さんは、自力で体重を増やして乗り越えたいと決意しました。医師に「太るのは無理だろう」と思われている気がして、見返したい気持ちもあったといいます。

まずはジムに通い、軽くトレーニングを開始。当初はムキムキになりたいわけではなく、韓国アイドルのようなスラッとした体型を目指していました。

そんな中、YouTubeで自信に満ちたビキニ姿の筋肉質な女性を見たことが転機に。
「一度きりの人生、この体型になるのも面白い」と思い、その姿が憧れに変わっていきます。そこでパーソナルトレーナーをつけ、本格的に筋トレを始めました。

パーソナルトレーナーをつけ始めて(遠藤さんより提供)

一年ほど経つと、顔の肉が戻り髪の毛も生え揃いました。そして「食べ物は怖くない」と思えるように。

摂食障害と診断された当時は、BMIが13でしたが、現在は20~21に回復。体重差は約20kgになり、食べ物が敵だと思わなくなりました。体重を自分の価値の指標ではなく、ただの数字だと認識できるレベルに回復します。

初めて大会に出場(遠藤さんより提供)

遠藤さんはボディビルダーの大会にも出場していますが「大会に出る」と特別決意したわけではありませんでした。トレーナーさんに「目標はある?」と聞かれたとき、大きな目標として「大会に出られる体になれたら出てみたいです」と言い「そこから気づいたら大会に出ていました」と笑いも交えながら話していました。

そっと見守ってくれたお母さん

摂食障害から回復に向かう初期、遠藤さんはご飯を口にするのも怖かったといいます。摂食障害では「許可食」とされる食べられるものが限られていたため、他のものを食べることに抵抗があったのです。

「今まで食べていないものを食べたら、自分でなくなってしまう」と感じていました。

それでも食べられたのは、お母さんが嬉しそうに一緒に食事をしてくれたから。
「食べていいのか…」と思う遠藤さんを、お母さんはそっと見守ってくれました。遠藤さんは「ご飯を食べ始めて初めて、敵だと思っていた母の愛が、本来の形で支えになっていると気づけました」と語ります。

また、パーソナルトレーナーさんに食事内容を決めてもらえたことで安心して食べられるようになりました。

トレーニング開始から3年(遠藤さんより提供)

摂食障害の根本的な原因は、精神面にあると考える遠藤さん。
「人によってさまざまですが、誰かから愛されたい、認められたい、もっと私という存在を見てほしいなど、心の中の何か満たされない気持ち、漠然とした将来の不安などから食べること、食べないことで満たしていると思います」

そのため、遠藤さんは日常生活の中で心を満たしてあげることを意識し、考えごとは夜にするのではなく、朝散歩をしながら考えるようにしたのです。

筋トレを通じては、余計な考えごとをする時間が減り「より自分の身体をどうすればいいのか?」と向上心が持てるように。できないことは伸びしろだということ、努力し甲斐があるのは楽しいことだと、ネガティブな側面をポジティブに変換できる思考が身についていきました。

摂食障害で悩んでいる人や家族の助けになりたい

遠藤さんの摂食障害は主に拒食症で、回復途中で一度過食も経験してきました。

そうした経験から、同じ悩みを抱える人へ「あなたは一人ではありません。絶対に大丈夫です。いい意味で、あなたの外見が変わったくらいで誰もあなたのことを嫌いになりませんし、評価も変わりません。むしろ、こうやって今自分と向き合って変わりたいと行動に移そうとしている、そんな自分を誇りに思ってほしいです。自分のことを一番理解しているのも守れるのもあなたです」と伝えてくれました。

さらに、痩せたいと思っている人へ向けてこうも語ります。
「痩せること自体は悪いことではありません。筋トレや特別な努力が必要なわけでもなく、自分が心地よいと思える体型であれば大丈夫です。ただ、他人の評価を気にして痩せようとしているなら、無理に痩せる必要はありません。大切なのは『自分がどうありたいか』です。お節介かもしれませんが、痩せたいと思うなら、まずはご飯をしっかり食べてほしいと思います」

3年での変化(遠藤さんより提供)

遠藤さんは今後、拒食症を経験したことから摂食障害から回復してボディビルダーに目覚めるまでの経緯を本などで伝えてみたいと話します。
「悩んでいる人は世界に多くいると思います。悩んでいる本人、家族の助けになりたいです」

将来は会社員として働きながら、趣味も充実させているスーパーウーマンになることが目標だと明かしています。

遠藤さんの経験からもわかるように、摂食障害は心だけでなく身体にも大きな影響を及ぼします。遠藤さんのお母さんのように、周囲の人が気づき、そっと支えてあげることの大切さを改めて感じさせられました。

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