香川県高松市にある特別名勝・栗林公園。フランスのガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でも『わざわざ旅行する価値がある』三つ星に選ばれている、日本を代表する大名庭園の1つです。

秋の栗林公園(写真提供:香川県栗林公園観光事務所)

11月19日から28日までの10日間は夜間開放(21時まで)し、『秋のライトアップ』が実施されます。水面に映る紅葉や、光に照らされて黄金色に輝く楓の美しさは、秋ならではの特別な光景です。

秋のライトアップの様子(写真提供:香川県栗林公園観光事務所)

今回は栗林公園の観光事務所所長・國土富男さんを取材し、栗林公園と秋のライトアップにまつわる話を聞きました。

香川県栗林公園観光事務所所長・國土富男さん。

『香川県の宝』を守る

栗林公園は江戸時代、高松藩の歴代藩主のもとで100年余りの歳月をかけて完成しました。借景となる紫雲山を含めると約65ヘクタールあり、東京ドームの約16個分の広さと言われています。敷地には様々な樹木や池、花木が手入れされ、鯉や亀、鳥類などの姿も見ることができます。

秋の栗林公園(写真提供:香川県栗林公園観光事務所)

造園課スタッフは日々のメンテナンスとして、木や花の剪定や芝生の刈りこみ、肥料やり、病害虫の予防、竹垣の作り替えなどを行っています。南庭・北庭にある1,000本の松の手入れは、ほぼ年中実施。秋には池にも落ち葉が増えるため、清掃にも手間暇をかけています。

松の剪定の様子(写真提供:香川県栗林公園観光事務所)

「これだけの大きな公園で、手入れをした公園はなかなかありません。私は栗林公園を『香川県の宝』だと思っています。これからも引き継いで、きれいなままで見ていただけるようにしたいと思います」

松の剪定の様子(写真提供:香川県栗林公園観光事務所)

ライトアップのおすすめエリアは?

栗林公園は通常、日の出から日の入りまでの入場時間ですが、春秋の年2回だけ夜間開放を実施していて、その時にライトアップ(17時~21時)を行っています。ライトアップは春秋ともに2001年から始まりました。

秋のライトアップの様子(写真提供:香川県栗林公園観光事務所)

國土さんのお気に入りの場所は、「吹上」と名付けられたエリア。また、栗林公園の東門・西門から離れていますが、南の筋にある「楓岸(ふうがん)」あたりも、楓の紅葉が抜群の見どころだと言います。タカオカエデが多く植えられている場所で、水面も紅葉色に染まっていると言います。

秋のライトアップの様子。楓岸(ふうがん)で撮影。(写真提供:香川県栗林公園観光事務所)

「スタッフそれぞれが、お気に入りの場所があると思いますよ」
栗林公園内で仕事をしていると、季節の花の移り変わりや緑の深みや濃さ、花の咲くタイミングが気になり「楽しみが増えるんです」と、國土さんは言います。

秋のライトアップの様子(写真提供:香川県栗林公園観光事務所)

無事に開催できることが嬉しい

2020年秋は新型コロナウイルスの感染拡大により、状況を見ながら実施の判断が迫られていましたが、終わってみれば10日間で28,084名の入場を記録。春秋通じて過去最高の入場者数となりました。人ごみを避け、自然を求める人たちの憩いの場となったようです。

「ちょうど冬を前にした、コロナが下火だった頃。昨年は大勢の人たちに楽しんでもらえました」

秋のライトアップの様子(写真提供:香川県栗林公園観光事務所)

2021年秋も無事に開催される運びとなり、國土さんはほっと胸をなでおろしています。

「最初は不安もありましたが、私たちはやるつもりで準備を進めていました。昨今ようやく香川県下のコロナ流行も落ち着き始め、徐々に霧が晴れてくるようになると、スタッフのやる気も上がってきました。無事に開催されることは本当に嬉しく『間に合った!』と思います」

栗林公園の入り口にて。香川県栗林公園観光事務所所長・國土さん。

スタッフによる日々の積み重ねの上に成り立っているライトアップ。國土さんは訪れる人に向けてこう語りました。

「今年は、外出も思うように行かなかった方々が多くいると思います。自然豊かで非日常の景色を、ワクワクしたり安らかな気持ちだったり、それぞれの思いで感じてもらえたら嬉しいです」

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