グラスホッパーアドベンチャーズ(以下、グラスホッパー)という、カンボジアに本社がある、世界中で自転車ツアーなどのエコツーリズムを提供する会社があります。日本でも5年ほど前に拠点が立ち上がり、四国の他に、京都、奈良、広島の尾道や、北海道などにあります。今回は、香川県でそのコーディネーターをしている、ノーマン・ホワイトさんを紹介します。

レンタサイクル店「Cycle Shikoku」の車の前で

ノーマンさんは、アメリカ・テネシー州の出身。大学2年生の時、ルームメイトだった日本人が香川県出身で、93年にその人の結婚式で来日したのを機に、香川県に興味を持ちました。

その後、政府のJETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)で坂出市、多度津町で英語教師を経て、レイコさんと結婚。徳島県でピザ店を経営した後、その店を売った資金でレンタサイクル店「Cycle Shikoku」を4年前に高松市にオープンしました。その後、自然環境を傷つけない「自転車」のレンタル、および旅の提案がグラスホッパーの目に留まり、コーディネーターとしてスカウトされました。

高松市福岡町にあるレンタサイクル店「Cycle Shikoku」

シーグラス(海岸で集めた廃材)を使ったノーマンさん手作りの“ピザ窯”

現在、ノーマンさんは庵治半島に住んでいます。青い空と白い砂浜が広がる自然の美しさの中で、四国へやってきたさまざまなバックグラウンドを持つ人たちの旅を、エコツーリズムと自転車で支える、その「おもてなし」のこころを聞きました。

庵治半島の砂浜「鎌野海水浴場」

さまざまな海外からのゲスト

―今までのレンタサイクルの客で特に印象に残った人は?

印象に残ったのは、ドイツ人のお客さん。旧東ドイツ出身の40代の方で、借りられた次の年に「ツール・ド・フランス」を見るためにヨーロッパで4週間くらい一緒に周遊をしました。その後、女木島に移住した彼は座頭市がヒーロー、梶芽衣子が理想のヒロインの、不思議君(笑)。グラスホッパーのお客さんは60代以上のご夫婦などが多い中、特に珍しかった。

女木島に移住したドイツ人男性(右)とノーマンさん夫妻

他には、受勲歴のあるイギリス退役軍人の方。仕事は大企業向けの、福島の原発事故のような非常事態発生時のコンサルタント及び研究者。“わびさび”に興味がある方で、とてもよく調べてから日本に来ていました。2人とも四国遍路をするために自転車を借りていました。ヨーロッパでは、巡礼の旅や自転車文化が深く根付いていて、同じ目的で日本を訪れる方が多くいます。アジア系は自国で仏教があるため、宗教目的よりアドベンチャー目的の方が多い印象です。みなさん、京都や広島を訪れてから、香川に来られますね。

―海外のゲストが感動するポイントは、自然・文化以外では何かありますか?

自転車の盗難などが少ない点に驚かれます。細いチェーンの鍵だけ渡すと、「これだけでいいの?大丈夫?」と最初、心配されますが(笑)。やはり、安全は日本のいいところだと思います。

資源を無駄に使わない旅

―グラスホッパーのエコツアーとは、具体的にはどのような活動でしょうか?

ツアーなどで行く海外旅行では、組まれた工程の中でお店や名所を巡るだけで終わってしまうかと思います。このエコツアーでは海外に行き、地元の人と話し、訪問先の環境を破壊しない旅を目的にしています。地元の方との触れ合いを軸にした観光です。

例えば、お客様には、旅でペットボトルを使用せずに旅を終えてほしいので、途中のお店で商品を買う際もプラスチック商品を買わないように呼び掛けたり、水を20Lのポリタンクを用意して車に載せ、手渡ししたグラスホッパーオリジナルのボトルに水を詰めてもらいながらお客様とともに行程を回ります。このような活動をラウンドフィルといい、ごみを出さない、資源を無駄に使わない旅をすることを目指します。

グラスホッパーアドべンチャーズのオリジナルのボトル

善行には必ずお返しがある

―今後挑戦したいことや、現在していることを教えてください。

セルフガイドツアーを主流に取り組んでいきたいと思っています。例えば、GPSを付けた自転車でセルフ旅を楽しんでもらうものです。電子時計がアプリと連動し、目的地までお客様を案内します。また、多くの人に知ってもらいたくて、WEBサイトにYouTubeチャンネルを開設しています。ゴープロ映像など載せていますが、大変好評ですよ。

―最後に、伝えたいメッセージなどありますか?

日本といえば、京都や広島などが有名ですが、私はもっと知られていない地方にこそ良さがあると思います。また、レンタサイクル業を通して人とのつながりを感じ、グラスホッパーのような旅先の環境に配慮した旅や、旅人や地元の人に対して親切にするなどの善行には、必ずお返しがあると思っています。

海外からのお客様を通して、より日本の良さを感じますし、自然を愛すように地域の人々とこれからも暮らし、もっとたくさんの人に日本や香川の良さを知ってもらいたいと思っています。

とびしま海道沿いの町にて