頭蓋骨の内部に腫瘍ができる「脳腫瘍」は、良性と悪性に分けられ、グレード(1〜4)によって悪性度が分類されています。
26歳のときに脳腫瘍グレード2と診断された笹原功貴さんは、4ヶ月の入院生活を経て、退院後にボディービル競技「フィジーク」の大会へ出場。見事、優勝を果たしました。
今回は、笹原さんに脳腫瘍と診断されるまでの経緯や、大会優勝に至るまでの思いについて話を聞きました。
突然、意識を失って倒れる
大学卒業後に就職した笹原さんは、体重が増えたことをきっかけに筋トレを始めました。24歳でジムのトレーナーへ転職し、全身のバランスの美しさを競う「フィジーク」の大会に出場するほど、トレーニングに打ち込んでいたといいます。
しかし2019年10月、26歳のときにトレーニング中、突然意識を失って倒れてしまいます。そのまま病院へ搬送され、MRI検査を受けた結果、悪性脳腫瘍が見つかりました。それまで頭痛などの自覚症状は、まったくなかったそうです。

脳腫瘍との診断後、笹原さんの頭に浮かんだのは「まあ、なんとかなるだろう」という思いと「筋トレができなくなるかもしれない」という不安だったと振り返ります。
病気を経験し、すべてのことに感謝できるように
脳腫瘍と診断された後、笹原さんは自ら病気について調べる中で、徐々に不安や恐怖を感じるようになったといいます。
一方で、自分より重い病気と向き合っている人や、懸命に闘病している人たちの存在を知ったことで「生きているなら問題ない。死ぬこと以外はかすり傷」という考え方に変わっていったそうです。

4ヶ月間の入院生活を送り、退院時には軽い言語障害が残っていました。しかし「一番つらかったのは筋肉がなくなったことだった」と、笑いを交えながら振り返ります。
闘病生活を支えてくれたのは、家族や友人の存在でした。当時はコロナ禍前で面会が可能だったこともあり「もし面会できなかったら、かなりつらかったと思う」と明かしています。
また、病気を経験したことで「すべてのことに感謝できるようになった」と語っていました。

「誰かに勇気を与えたい」と大会に出場して優勝
退院後、笹原さんは医師の指導や自身の体調と相談しながら、約9ヶ月かけて慎重にトレーニングを再開しました。最初は軽い負荷から始め、徐々に身体を戻していったとのこと。
そして再びフィジークの大会に出場し、見事優勝を果たしました。
再挑戦を決めた理由について笹原さんは「自分が優勝することで、病気やさまざまな理由で夢を諦めかけている人に勇気を届けられるかもしれないと思った」と話します。
優勝した瞬間は、言葉にできない感覚でした。それ以上に、周囲の人たちが自分以上に喜んでくれたことがうれしかったと振り返ります。

世界一のコーチを目指して
現在、笹原さんは再発もなく、診断から約5年半が経過しています。現在はフリーのパーソナルトレーナーとして活動するほか、ナイトワークや不動産関連など、幅広い分野に挑戦しているのだとか。
SNSで発信している理由については「すべては健康という土台の上に成り立っていること」や「今ある日常は当たり前ではないという感謝の気持ちを伝えたいから」と語ります。
「病気を経験した自分でも、その感覚を忘れそうになることがある」と話す笹原さん。だからこそ、自身の経験を発信することには意味があると感じています。
今後の夢は、ライフコーチ・自己啓発コーチとして知られる『アンソニー・ロビンズ』さんのような存在になること。実は、アンソニー・ロビンズさんも過去に脳下垂体の腫瘍を経験されているといいます。その夢に向けて、今後は講演活動にも挑戦していきたいと話してくれました。

退院時には10kg以上体重が減っていたという笹原さん。それでも努力を重ね、大会優勝を果たした姿は、多くの人に前向きな気持ちを届けているのかもしれません。

