生まれつき太田母斑(おおたぼはん)という、ソバカスのようなあざが右頬から目の上にかけて広がっていた、天丸さん。
太田母斑とは、目の周り、額、頬にできる青あざのことで、通常、顔の片側だけに発症しますが、まれに両側にできることもあります。また、自然に薄くなったり、消えたりすることはないと言われています。
今回、天丸さんがコスプレをしたところ「可愛い個性」「素敵」「美しい」などのコメントが寄せられました。そこで天丸さんに、あざのことやコスプレについて聞いてみました。
写真も残せないほどのコンプレックスに…

現在23歳の天丸さんがあざを意識し始めたのは小学生のころでした。右頬と鼻の横にあるあざについて、幼いころは「人と違う」「不快」と言われ、内気になり人と話すことも怖くなったといいます。
当時の写真も残していないほどのコンプレックスだったそうで、鏡を頻繁に見るようになったのもこの頃でした。
大人になると、あざを褒めてくれる人も増えましたが「それ落書き?」と笑われたことも…。
天丸さんは生まれてすぐ全身麻酔で治療を受け、中学生のときに軽いレーザー治療も経験。治療後は色素沈着が出ることもあり、両親は短時間で終わる軽めの治療を選んでくれました。現在は残りのあざを完治させることを考えています。
コンプレックスを生かしたコスプレ
天丸さんはもともとアニメや漫画が好きで、憧れのキャラクターになることで、いじめられてきた自分を切り離し、別の自分を演じることで心が軽くなったといいます。

容姿でいじめられていた経験がありましたが「コスプレをすると容姿を褒められるのが嬉しかった。自分のことが嫌いだったため、世間が好意を抱いてるキャラクターになることであたかも自分自身が好かれている気持ちになれた」と語ります。
キャラクターに近づけるため加工やメイクをすることもありましたが、あるコスプレではその必要がなく、コンプレックスを生かせることができて嬉しかったそうです。
本人にしかわからないつらさがあることを知ってほしい
天丸さんが、あざのことをSNSに投稿しようと思ったのは「同じ境遇の人にここにも仲間がいるよ」と伝えたかったということからでした。
「コンプレックスがなくなることも好きになれることもないと思いますが、それでも少しだけ気持ちが楽になることもあると伝えたかったです」
投稿には温かい言葉も多く寄せられましたが、天丸さんにとっては「消さなくてもいい!そばかすが羨ましい人もいる!」といったコメントが正直つらかったそうです。

その中で、同じ太田母斑のある人から「かわいいと言われるけれど、本人にしかわからないつらさがある」というコメントがあり、天丸さんは「まさにこれだ」と感じました。
「消したいほどのコンプレックスは、あざ自体ではなく、あざに対して私ごと否定する言葉を浴びせた人やいじめが原因です。かわいいと言われるのは嬉しいですが、コメントの中には心が苦しかったものもありました。本人にしかわからないつらさもあることを知ってほしいです」

天丸さんは、あざがある人に向けて「嫌な思いをしてきたかもしれませんが、無理に好きになったり隠したりする必要はありません」と語ります。そして「理解してありのままの自分を受け入れてくれる人とは必ず出会える」とも。
「治療するのも、あざを個性として受け入れるのもどちらもよいと思います。何より自分を好きでいられることが大切です」と話しています。
天丸さんは今後、太田母斑を治療する予定です。
「あざがなくなったからといって寂しいとか後悔することはないと思います。治療後、あざがあったときも悪くなかったと思えるようにしたいです」と明かしました。
家族からは「あざがあってもなくても、あなたはあなただよ」と言われたそうです。
あざがあることで悩んでいる人たちにとって、天丸さんの「ここにも仲間がいるよ」という言葉は大きな支えとなったのではないでしょうか。生まれつきあざがあるという「太田母斑」のことや、本人にしかわからないつらさがあることをもっと理解していく必要があると感じます。

