文化や言葉は同じでも、子どもの視点は時に私たち大人に大きな気づきを与えてくれます。
そんな中、今回「ハッとした!」と語るのは、30代の女性会社員であるお母さん。
「片づけ」という言葉の解釈を巡り、小学2年生の息子さんが見せた“ユニークな発想”について、お母さんにお話を伺いました。
「掃除機をかけるから部屋のおもちゃを片付けてね」母の依頼に対して…
休日の午後、マコさん(仮名)は自宅のリビングで掃除機をかけようとしていました。そこで、小学2年生の長男である息子さんに、「掃除機をかけるから、床にあるおもちゃを片づけておいてね」とお願いしました。
しばらくして、マコさんが息子の様子を見に行くと、床からおもちゃは確かになくなっていました。しかし、次の瞬間、思わず笑いがこみ上げてきたと言います。
「テーブルの上におもちゃがずらりと整列していたんです。まるで展示会のようにジャンル別・色別に並べられていて、『片づける=床からなくす』だけを忠実に守った結果でした」
最初こそ、「ちがう、そうじゃない!」とツッコミたくなったマコさんですが、きれいに並べられたおもちゃを見て怒る気持ちはすっかり消えてしまったそうです。息子さんが真剣に工夫した形跡が伝わってきたからです。


大人の「当たり前」を覆す子どもの柔軟な発想力
この出来事を通して、マコさんは「子どもっておもしろいな」「すごいな」と改めて感じたと言います。
「大人が『当たり前』と思うことでも、子どもは違う視点でとらえていること。結果的に展示のように並べるという発想がすごくユニークで、『柔らかい発想力』を持っているなと感心しました」
このハプニングは、マコさんに新たな気づきを与えました。大人が「片づけなさい」と言うとき、「元の場所に戻す」という前提を無意識に含んでいますが、子どもはその前提を共有していない、ということに気づいたのです。
「こちらの意図を正しく伝えるためには、子どもにもわかりやすい表現に言い換えることが大切だと学びました」と語ります。
家族の合言葉になった「展示会しないでね」
このやり取りの後、マコさん家族の間では、ある冗談が生まれました。
「それ以来、家族の間で『片づけて=展示会しないでね』という冗談が生まれました」
今でも片づけを頼むと息子さんは「展示しようか?」とニヤッと笑い、マコさんも「やめて~!」と笑い返すのが恒例のやりとりになっているそうです。
息子さんの柔軟な発想力が教えてくれた、親子の心温まるエピソードでした。
