ファミリーレストランでの食事中、テーブルを広く使おうとしたり、店員さんが片付けやすいようにと食器をまとめたりする。そんな何気ない「優しさ」が、実は洗い場のスタッフを悩ませているかもしれません。
今回お話を伺ったのは、かつてファミリーレストランで働いていた30代の男性会社員。
「片付けやすいように」というお客様の笑顔の裏で、プロが感じていたリアルな本音を語っていただきました。
「まとめておいたよ!」その優しさが生んだ予想外の汚れ
忙しくホールを駆け回っていたある日のこと。お客様が帰り際、笑顔でこう声をかけてくれました。「お兄さん、片付けやすいようにまとめておいたからね!」
そのテーブルへ向かうと、そこにはお皿の上に「寝かされた状態」で置かれたコップが数個。一見するとコンパクトにまとめられているように見えますが、その瞬間、心の中では「ありがた迷惑……」という言葉がよぎったと言います。
「お皿に残ったソースや汚れの上にコップを横向きに置いてしまうと、本来なら汚れるはずのないコップの『側面』までベタベタになってしまうんです」
洗う手間が倍増?「寝かせたコップ」が引き起こす二度手間
お客様の親切心が、なぜ現場の負担になってしまうのでしょうか。そこには、大量の食器を効率よく洗わなければならないファミレスならではの事情がありました。
「通常、コップは底面と口をつける部分以外はそれほど汚れません。ですが、寝かせて置かれたことで側面まで汚れてしまうと、洗う手間が格段に増えてしまいます。お皿の油汚れがコップ全体に広がってしまうと、食洗機に入れる前の予洗いにかなりの時間がかかるんです」
お客様は100%の善意で、そして満足げな表情で教えてくださったからこそ、その場では「ありがとうございます」と笑顔で応えるしかありませんでした。
プロが教える「本当に助かる」お片付けのルール
この経験から、現在は客としてお店を訪れる際、ある「ジャンル分け」を徹底しているそうです。
「コップはコップ、お皿はお皿、ゴミはゴミ。種類ごとに1箇所にまとめて、テーブルの端に寄せるようにしています。これだけで、店員さんは格段に下げやすくなるはずです」
最後に、当時の現場を知るからこそ言える、プロとしての本音を教えてくれました。
「洗い場の負担を減らすためには、コップは寝かさず、重ねるか1箇所に固めて置いていただければそれだけで十分なんです。良かれと思っての工夫が、実は手間を増やしてしまうこともある。そのまま、あるいは少し寄せておいてくださることが、実は一番の助けになります」
「まとめなきゃ」という気負いが、思わぬ二度手間を生んでしまう。外食時のマナーは、実は「種類ごとに分ける」というシンプルな工夫だけで、十分スタッフの方に伝わるものなのかもしれません。
