「貯金100万円あるから大丈夫」は間違いだった。30代女性が退職3ヶ月後に青ざめた”時間差”の請求

会社を辞めて新しい一歩を踏み出すとき、多くの人がまず気にするのは「当面の生活費」ではないでしょうか。
「これだけ貯金があれば、しばらくはなんとかなる」

そう思って退職したものの、想定していなかった出費に足元をすくわれるケースは少なくありません。
今回は、会社員からフリーランスへ転身した直後に、まさかの事態に直面した30代女性の体験談を紹介します。

「半年は余裕で暮らせる」はずだった100万円の貯金

30代の女性Aさんは、長年勤めた会社を退職し、フリーランスとして独立する道を選びました。
Aさんが退職を決断できた大きな理由の一つは、会社員時代にコツコツと貯めてきた貯金の存在でした。

通帳の残高には100万円以上の数字。
これに加え、手続きをすれば失業保険もしばらく受給できる見込みがありました。

「贅沢をしなければ、半年から1年は余裕を持って生活できる」
Aさんはそう確信していました。

新しい生活への希望に満ち溢れ、通帳の残高はこれからの挑戦を支える「未来のための資金」として輝いて見えていたといいます。
しかし、その安心感は退職からわずか数ヶ月後に揺らぐことになります。

ポストに届いた分厚い封筒。中身は「過去の清算」

会社を辞めて3ヶ月ほど経ったある日、Aさんの自宅のポストに自治体から一通の封筒が届きました。
役所からの書類といえば、何らかの手続きの案内だろうか…。

そんな軽い気持ちで分厚い封筒を開封したAさんは、中に入っていた書類を見て言葉を失いました。
それは、前年度の所得に基づいた「住民税の納付書」でした。

記載されていた金額は、十数万円。
会社員時代、住民税は給与から毎月天引き(特別徴収)されていたため、Aさんは「自分で納める」という意識をほとんど持っていませんでした。

しかし、退職して普通徴収に切り替わったことで、年間の税額がまとまった請求として目の前に表れたのです。
「退職後にこれほど大きな請求が、時間差でやってくるなんて…」

一括、あるいは数回に分けての支払いを求めるその通知は、Aさんが完全に計算から漏らしていたものでした。

血の気が引いた瞬間。貯金がみるみる削られていく恐怖

金額を見た瞬間、Aさんは血の気が引くのを感じました。
「せっかく貯めた貯金が、これからの生活費ではなく、過去の税金として消えていく」

その現実に直面し、猛烈な焦りがこみ上げてきました。
自分の無知さが恥ずかしい。けれど、誰に怒りをぶつけることもできない。

Aさんは通帳の残高と納付書を交互に見比べては、深いため息をつくことしかできませんでした。
フリーランスとしてのスタートを切ったばかりの時期に、まるで大きな「負債」を抱えてしまったような気分になり、夜も眠れないほどの不安に襲われたといいます。

「今の貯金はあくまで未来の生活費だと思っていました。でも実際には、そのなかに『過去の清算のための予備費』が含まれていなければならなかったんです」

【専門家のコメント】退職後の住民税/国民健康保険料について注意したいポイント

会社員時代の住民税を退職後に支払うことは、多くの方々に困惑やストレスを与えるようです。
しかしながら、これはルールなので避けて通ることはできません。

フリーランスになってからの仕事が順調であっても、給与所得時代とは異なり毎月定期的に収入がある訳ではありません。
入金と支出のタイミングによっては、貯金が大きく目減りしてしまう時もあるでしょう。

フリーランスになるための心構えや生活、お金の管理などについては、多くの良書があります。まずは数冊、できれば十数冊読んでおくことをお勧めします。中古の書籍も豊富ですので、それほど大きな出費にはなりません。長い目で見ると大変コストパフォーマンスの良い先行投資になります。
独立する前の2~3年間はフリーランスの修行期間と考えて、退職後のシミュレーションを十分に備えておきたいものです。

ぜひ万全な準備をして、新しい生活を心から楽しんでいただければと思います。

「無知は最大のコスト」これから退職する人へ

現在、Aさんは当時の混乱を乗り越え、自身の経験を教訓としています。
「会社を辞める解放感で頭がいっぱいになるのはわかりますが、税金は忘れた頃にやってきます。もし今、手元に貯金があるなら、その残高をそのまま信じないでください」
Aさんは、同じような立場の人に向けて「貯金の中から税金分として20万円ほどは最初から『ないもの』として引いて考えてみてほしい」と語ります。

退職前に自治体のホームページで税額を試算する、あるいは最後の給与から税金分を別口座に移しておく。
そんな「守りの準備」をしておくことが、精神的な余裕に直結します。

「税金は待ってくれませんが、早めに気づいて対処できれば必ず乗り越えられます」
新しい生活を清々しい気持ちでスタートさせるためにも、お金の知識という「装備」を整えておくことが、社会人としての責任なのかもしれません。

【監修者】大貫宏一郎 株式会社ユーザーライフサイエンス会長
※本記事は、個人の体験談および専門家の見解をもとに構成しています。体の感じ方や原因には個人差があり、すべての人に当てはまるものではありません。