「食べ物をこぼさないように気をつけているだけなのに、マナー違反だと言われてしまった」そんな思いがけない指摘に、思わず戸惑った経験を語ってくれたのは、30代の会社員女性です。
今回は、居酒屋での食事中に起きた出来事について、お話を聞きました。
こぼさないように、自然と手を添えていただけ
女性がその場面を振り返ってくれました。
上司と一緒に居酒屋で食事をしていたときのこと。
料理を口に運ぶ際、ごはんを落とさないように、無意識のうちに手を添えていたといいます。
「汚したくないな、という気持ちでやっていただけでした」
特別な作法を意識していたわけではなく、あくまで自然な動作だったそうです。
突然かけられた「それ、マナー違反だよ」という一言
ところが、その様子を見た上司から、思いがけない指摘を受けました。
「それ、マナー違反だよ」
食事中の何気ないやりとりの中で、さらっと言われたその一言。
女性は一瞬、何を指摘されたのか分からなかったといいます。
ショックでした…自分がマナー違反だなんて
「正直、かなりショックでした」
これまで誰かに注意されたこともなく、
むしろ“気をつけている行動”だと思っていたからこそ、驚きが大きかったそうです。
「まさか自分がマナー違反をしているなんて、思ってもいませんでした」
その場では深く聞き返すこともできず、
気まずさだけが残ったと話してくれました。
良かれと思った行動が、違う受け取られ方をすることも
食事のマナーは、家庭や環境、教わってきたことによって違いが出やすいものです。
「当たり前」だと思っていた所作が、別の場ではそう受け取られないこともあります。
女性も今回の出来事を通して、
「マナーって難しいですね」と感じたといいます。
【専門家コメント】
このようなケースについて、撫子Plus株式会社の鮎永 麻琴さんに話を聞きました。
「こぼさないように」と自然に手を添える行為は、多くの人にとって無意識で、むしろ気遣いの表れと感じられるものです。それでも一部の場面で「マナー違反」と受け取られてしまうのには、理由があります。
■ なぜ「手を添える」行為がマナー違反とされる場合があるのか
正式な食事作法では、「料理は器と食具で完結させる」という考え方が基本にあります。
手を受け皿のように使う所作は、
・料理に直接触れているように見える
・子どもっぽい、あるいは急いでいる印象を与える
と受け取られることがあり、所作として“美しく見えにくい”という理由から、改まった場では避けられてきました。
つまり、問題視されるのは「行為そのもの」よりも、周囲からどう見えるかという点にあります。
■ 正式な食事作法としての考え方
正式な場では、
・器を適切に持ち上げる
・落ちやすい料理はあらかじめ一口大にする
といった工夫によって、手を添えずに食べるのが基本とされています。
ここで大切なのは、「失敗しないこと」よりも、所作全体が落ち着いて見えるかどうか。
マナーは細かな禁止事項の集合ではなく、「同席する人が気持ちよく過ごせるか」を基準に組み立てられています。
■ 場面によって気にしすぎなくてよいケース
一方で、居酒屋やカジュアルな食事の場、親しい人との食事では、過度に神経質になる必要はありません。
料理をこぼさないよう配慮する姿勢そのものは、決して否定されるものではなく、むしろ好意的に受け取られることも多いでしょう。
大切なのは、
「これは正式な場か、日常の場か」
「相手は形式を重んじる人か、空気を重んじる人か」
といった“場と人”を見る視点です。
マナーは人を評価するための道具ではなく、場を円滑にするための共通言語です。
知らなかったことを責める必要も、自分を過度に萎縮させる必要もありません。
その場に合った振る舞いを、少しずつ“引き出し”として増やしていけば十分なのです。
知らなかっただけ。必要以上に責めなくてもいい
「知らなかっただけなんですけどね」
そう話す女性の言葉が印象的でした。
マナーは、人を裁くためのものではなく、
場を気持ちよく過ごすためのひとつの目安でもあります。
知らなかったことを知るきっかけになった、
そう受け止める余地もあるのかもしれません。
日常の何気ない仕草。
あなたにも、似たような経験はありませんか。
※本記事は、実際の体験談をもとに構成しています。
※マナーの受け取られ方は、職場や相手との関係性によって異なる場合があります。
