私たちが日本で生活する中で、街にゴミが落ちていないことや、公共のトイレが綺麗であることを不思議に思うことは少ないかもしれません。
しかし、こうした日常の風景が、海外から訪れる人々には人生観が変わるほどの衝撃を与えることがあります。
今回、20代から60代の日本人50名を対象に、海外に誇りたい日本文化についてアンケートを実施しました。その結果、日本人が自覚している誇りと、海外からの評価が重なり合う興味深い導線が見えてきました。
日本人が誇りに思う文化の第2位は衛生環境と清潔さ
アンケートの結果、誇りたい日本文化の第1位に選ばれたのは、公共の場でのマナー・秩序(24.0%)でした。そして僅差で第2位となったのが、今回のテーマでもある、衛生環境・清潔さ(22.0%)です。
回答者からは、街中や公共交通機関、トイレに至るまで清潔さが保たれている点は日本ならではの強みだという声や、外出先で出たゴミを当たり前のように持ち帰る日本人の習慣を誇らしく思う意見が目立ちました。
では、日本人が誇りとして挙げたこの清潔さは、実際に日本を訪れた方の目にはどのように映っているのでしょうか。過去の取材から、2人の女性が語った驚きの体験をご紹介します。
トイレの紙が流せる驚きとどこに行ってもピカピカな環境
中国出身の大学生、リンさん(仮名)は、日本に来て間もない頃に体験したトイレの習慣に大きな衝撃を受けました。
リンさんの母国では、使用したトイレの紙は流さずにゴミ箱に捨てるのが一般的です。
そのため、どうしても室内の臭いが気になってしまうのが日常でした。
しかし、日本のトイレはどこへ行っても紙をそのまま流すことができ、常に良い香りに包まれています。
リンさんにとって、この清潔さはカルチャーショックとも言える驚きだったそうです。
さらに彼女を感動させたのは、施設の格差がないことでした。
デパートやレストランだけでなく、駅や公園の公衆トイレまでもが綺麗に保たれ、紙が備え付けられている。
我慢するという選択をしなくてよくなったことが、日本での生活の質を大きく高めてくれたと語ります。ピカピカに磨かれたトイレは、彼女にとって日本という国がきれい好きであることの何よりの証明でした。
ゴミが一つも落ちていない街並みと日本人の高い意識
バングラデシュ出身の学生、ロニさん(仮名)もまた、日本の街の美しさに到着した瞬間から心を奪われた一人です。
空港から街へ移動する際、ロニさんがまず驚いたのは、道にゴミが全く落ちていないことでした。
母国では街中にゴミが落ちている光景は珍しくありません。しかし日本では、どこを歩いても視界がクリアで、歩いているだけで気分が良くなる感覚を覚えたそうです。
ロニさんが特に感銘を受けたのは、ゴミ箱が見当たらないのに街が綺麗であるという不思議な現象です。
ゴミ箱からゴミが溢れている光景をよく見てきた彼女にとって、日本人がポイ捨てをせず、自分のゴミを適切に管理している姿は信じられないほど高い意識の表れに見えました。
お店や公共施設など、どこへ行っても清潔感にあふれている。ロニさんにとって日本は、きれいという一言に尽きる、魔法のような国でした。
海外の視点を通して再発見する日本の価値
アンケートで多くの日本人が誇りと答えた、公共のマナーや清潔さ。そして、リンさんやロニさんが体験した、トイレの快適さやゴミのない街並み。これらは、私たちが特別なことだと思わずに享受している日常の延長線上にあります。
公園のトイレに紙があることや、誰も見ていない道でゴミを捨てないこと。こうした小さな配慮の積み重ねが、海外の人々にとっては日本を好きになる決定的な理由になっています。
自分たちが当たり前だと思っている環境や行動が、誰かにとっては大きな感動や喜びを与えている。海外の方々の言葉は、私たちが守ってきた日常が、実は世界に誇れる素晴らしい価値であることを教えてくれます。次に街を歩くとき、あるいは公共の施設を利用するとき、自分たちの住む国を少しだけ誇らしく感じられるのではないでしょうか。
