東京都調布市にある深大寺。そのレトロな街並みの一角にある「いづみや」で2021年1月「Spice Stand CHAIYA」(以下CHAIYA)はオープンしました。

店長のまなべさほりさんは、丁寧に挽いたスパイスの香りに包まれながら丁寧にコトコトと煮出したチャイを作っています。

いづみや 外観(写真提供:CHAIYA)

「会社員をする傍ら、昔から場作りに興味があったので、調布市の空き家事業に参加したんです。最初は、空き家の活用方法を提案する側でした。空き家でどんなことができるかな、と考えているうちに、自分が空き家で何かを始めたらいいんじゃないかと思ったんです。その時に、そうだ私、チャイ屋さんがやりたかったんだ!って思い出したんです。現在は副業として、週1回ペースでお店を開いています」

言葉がなくても伝わったチャイの魅力

好みでスパイスの配合を変えることも出来る(写真提供:CHAIYA)

まなべさんが、チャイに興味を持ったのは中学生の時。 「生姜が入ってるし、身体冷やさなそうだからよさそうかも!」と飲んだのがきっかけだったといいます。そして、大人になってから海外の知り合いとの交流が増えてたことで、チャイの新たな魅力を再認識するように。

「海外の友達とは、作った料理を持ち寄るパーティーをする機会が多かったんです。でも私は料理が得意じゃなくて……。それなら、私はチャイを振る舞おうと思いました。その時、チャイを飲んだインドの友達が 『美味しいねー』『いい香りだねー』と表情やジェスチャーで伝えてくれたんです。お互い言葉は一切通じないんですが、いい香りってだけで分かり合えました。 チャイの本場でもあるインドの友達が、『美味しい』と伝えてくれるならきっと美味しいんだなと思って。人にチャイを振る舞ったのは、そこがスタートですね」

「温まりちゃい」「恋しちゃい」 気持ちに寄り添ったチャイを

こだわりのチャイ(税込350円)は、日によってブレンドが変わる(写真提供:CHAIYA)

CHAIYAで出されるチャイは、「温まりちゃい」「恋しちゃい」「すっきりしちゃい」などほっこりするメニュー名がならびます。

「すっきりしちゃいは、お腹がすっきりするようなスパイスも入れて作っていて、恋しちゃいは女性フェロモンを高めてくれるようなスパイスを調合しています。気持ちに合わせたチャイを提供したら面白いんじゃないかなと思い、名前ごとに独自のブレンドを作っています」

店にはさまざまな年齢層の人がやってきます。チャイの価格を350円と手ごろな価格にしているのは、1か月に1回の贅沢ではなく、気軽にチャイを楽しんで欲しいという、まなべさんの願いからです。

場所にとらわれない店をやっていきたい

この場所を拠点にしながらも、場所にとらわれない店をやっていきたい話すまなべさん。広島生まれということもあり、いずれは広島でもチャイを楽しめる場所を作りたいと願っています。

「 チャイは、ポットとコップさえあれば振舞うことができるんです。ポットひとつでどこでもいけるチャイ屋を目指していきたいですね。広島は瀬戸内レモンが美味しいので、瀬戸内レモンのお菓子などとコラボもやってみたいです」

インドではチャイを片手に、みんなが集まって色々なことを語り合う文化があるそう。コミュニケーションのツールとしてのチャイがあると話してくれました。

「いい香りってだけで集まるってハッピーだなって思うんです。そういう場所を作っていきたいですね」

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