「助けて」と泣きながら6時間お風呂に入る女性 強迫性障害を発信する姿に「工夫して努力してきた結果」「本当にすごい!!」

「助けて」と泣きながら6時間お風呂に入る女性 強迫性障害を発信する姿に「工夫して努力してきた結果」「本当にすごい!!」
手荒れがひどかった昔①(@chanc_227さんより提供)

「ドアに鍵をかけたかな?」などと、不安になって家に戻って確かめたということは、多くの人が経験しているのではないでしょうか。

こうした不安が過度になると、何度も何度も確認しても安心できず、生活に支障をきたす場合は「強迫性障害」という病気であることも考えられます。

今回は、強迫性障害と日々向き合っている@chanc_227さんに話を聞きました。

潔癖症から強迫性障害へ

@chanc_227さんは、もともと自分を神経質な性格だと感じていましたが、20歳でデザインの仕事に就いたころから、潔癖症(後に強迫性障害と診断)の症状が次第に強くなっていきました。

朝の通勤では、服の裾がわずかでも何かに触れることを避けるため、人を素早くよけ、狭い改札では服を折りたたむようにして身を縮めながら通っていたといいます。それでも意図せず人にぶつかられることがあり、そんな日は泣きながら一度帰宅し、服を着替えることもありました。

除菌シートは必須(@chanc_227さんより提供)

肩が触れたと感じた日はトイレに立ち寄り、除菌シートで何度も肩を拭き、びしょ濡れになるほど。会社に着くころにはすでに疲れ切っていたそうです。

普段の様子(@chanc_227さんより提供)

こうした日々のなかで「消えていなくなりたい」と思うほど追い詰められることもありました。そんなとき、先輩が亡くなったことをきっかけに、これまで怖くてためらっていた心療内科に、通勤途中で思い切って電話をかけます。強い緊張のなかで電話したことを、今でも覚えているといいます。

診断は「強迫性障害」と「非定型うつ病」。抗うつ薬と抗不安薬が処方され、薬が効いてきた段階で暴露療法を行うことになりました。ただ当時は、診断を受けても病気と深く向き合う実感はなく「薬を飲んでいれば大丈夫」という感覚だったそうです。

在宅勤務で一気に悪化した症状

その後、コロナ禍で在宅勤務となり、@chanc_227さんの症状はさらに悪化しました。

在宅勤務ではトイレが強い恐怖の対象となり「汚れたかもしれない」という思いが浮かぶと手洗いやシャワーが止まらず、仕事ができない、ミーティングに間に合わないなど、業務にも支障が出るようになります。

パソコンの前にたどり着けない日も増え、その後、休職を経て、最終的には退職に至ります。

手荒れがひどかった昔①(@chanc_227さんより提供)

実は一度目の心療内科では、薬の影響で体重が約10kg増えたことが気になり、通院をやめていた@chanc_227さん。しかし今回は、生活に明らかな支障が出ている実感と休職をきっかけに再受診し、そこから本格的に強迫性障害と向き合い始めます。

日常では「侵入思考」と呼ばれる、考えたくないことが突然頭に浮かぶ症状が頻繁に起こり、不安から手洗いや確認行為をしてしまうことも。そのため、侵入思考が出たときは、自分なりの言葉や造語、色のイメージを使って、強迫観念を受け流す工夫をしたそう。

また「怖いことを考えないようにしよう」とすると、かえって「怖い」ことに意識が向くと知り、できるだけ「楽しいこと」や「やりたいこと」を考えるようにしているとのことです。

手荒れがひどかった昔②(@chanc_227さんより提供)

少しずつ取り戻した「自分を信じる力」

症状が最も重かった時期には、水で手を洗っていても洗えている実感が持てず、いつやめればいいのかわからないなど、自分で行動をコントロールできない状態でした。

現在は薬の助けもあり「自分が本当にやりたくないことをするはずがない」と自分を信じられるようになり、受け流す力が身について、以前より楽に過ごせています。

現在の手①(@chanc_227さんより提供)

SNSでは「助けて」と泣きながら6時間近くかかっていた入浴が、1時間で終えられたことも報告していました。休職中に心理学や当事者の体験に触れ、考え方や感情との向き合い方、脳の仕組みを学び、実践してきた結果だといいます。

入浴時は、自分で作った造語や安心できる色のイメージを使い、侵入思考を受け流しながら入っていて、また、意識が不安に向かいそうになると「今」に戻ることを意識し、太ももを軽く叩くことなどの工夫もしているそうです。
「今でもお風呂には意気込みが必要」と話していました。

現在の手②(@chanc_227さんより提供)

感情に寄り添う大切さを知ってからは、怖いときに「怖かった」「嫌だった」と言葉にしたり、外出先でも同じように自分の気持ちを受け止めることで、落ち着けるようになりました。

約15年続く強迫性障害について、潔癖症もあるため完全に消えることは難しいとしつつ、症状がほとんど出ない状態を目指しています。
「今の自分も否定せず、この病気があったからこそ守れたことや得た経験、感情を財産として大切にしたい」と、今後の向き合い方を語ってくれました。

当たり前なことを怯えずにできるようになりたい

同じように強迫性障害と闘う人へ、@chanc_227さんは「絶対によくなるし変われます。毎日疲弊して1日を乗り切るだけで精一杯だと思うんですが、それでも自分に合ったやり方が絶対にあるので、それを見つけられたらいいなと思います。そして、絶対に今の自分も否定しないでほしいです。私たちすごく強いですよ!」とメッセージを送ります。

趣味であるスケボー(@chanc_227さんより提供)

今後の目標は、感情に寄り添いながら強迫行為を受け流す力を身につけ、もっと自分に自信を持てるようになることです。
「普通にトイレに行き、普通にお風呂に入り、普通にご飯を食べる。そんな本当に普通で当たり前なことを怯えずにできるようになりたいです」と語ります。

また、将来は自身の経験をもとにした絵本を制作することも、@chanc_227さんの目標のひとつです。

@chanc_227さんが、5~6時間かかっていたお風呂を1時間で終えられたときの投稿には「工夫して努力してきた結果」「本当にすごい!!」というコメントが寄せられていました。これまで一分一秒、いろいろな努力や工夫をしてきたからこそ得られた結果です。@chanc_227さんの発信は、同じ障がいや、生きづらさと闘っている人に対して改善に向けてのヒントになるのではないでしょうか。

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