「同年代の平均よりは貯金があるし、きっと大丈夫」
そう思っていたのに、退職をきっかけに通帳の残高が少しずつ減っていく。
そんな経験をしたという20代女性の体験談です。
「貯金があるから問題ない」と思っていた
今回話を聞いたのは、20代の女性事務員。
当時は別の会社に勤め、忙しい毎日を送っていました。
「同い年の人たちよりは貯金できていると思っていたので、お金の面では特に心配していませんでした」
給与から税金や社会保険料が天引きされる生活が当たり前。
自分で税金を納める経験はほとんどなく、お金の仕組みについて深く考える機会もなかったといいます。
退職後に届いた納付書
状況が変わったのは、会社を退職してからでした。
自宅に届いたのは、国民年金や住民税の納付書。
それまで会社が手続きをしてくれていた支払いを、自分で行う必要があると初めて知ったのです。
「退職したら、こんなに自分で払うものがあるなんて思っていませんでした」
支払いを重ねるたびに、貯金は確実に減っていきます。
窓口や支払い方法にも慣れておらず、手続きは想像以上に大変だったそうです。
「毎日へとへとで、お金も減っていく。気持ちの余裕がなくなっていきました」
「何かしてしまったのでは」と不安に
さらに不安を強めたのは、次々と届く通知でした。
「自分宛てにハガキが届くこと自体ほとんどなかったので、何か悪いことをしたのではないかと焦りました」
インターネットで調べても、本当に正しい情報なのか確信が持てません。
最終的に、職場で事務を担当している母親に相談することにしました。
「すらすらと答えてくれる母を見て、こんなことも知らなかったのかと落ち込みました」
知らなかった自分を責める気持ちもあったと振り返ります。
「悪いことではない」と伝えたい
いま同じ状況にいる人にかけたい言葉を尋ねると、こう答えてくれました。
「悪いことをしたわけではないから大丈夫だよ、と伝えたいです」
市のホームページや公的機関の情報は、きちんと確認すれば信頼できる内容が掲載されていることが多いといいます。
もちろん、身近に詳しい人がいれば相談するのも一つの方法ですが、まずは落ち着いて内容を確認することが大切だと感じたそうです。
知っているだけで気持ちは違った
振り返ると、「心構え」があれば受け止め方は違ったかもしれないといいます。
「貯金が減ると分かっていれば、そこまで動揺しなかったと思います」
現在は事務員として働きながら、税金やお金の流れについて学べる本を探している最中。
ただ、関連書籍は多く、何から読めばいいのか迷っているそうです。
「詳しい人が、最初に何を勉強したのか知りたいです」
【専門家のコメント】退職後に発生する税金・社会保険の注意ポイント
会社員として働いている間は、税金や社会保険料が給与から天引きされるため、個別の支払いを意識する機会は多くありません。退職後は、これらを自分で手続き・納付する必要があるため、戸惑うケースも少なくありません。
住民税は「前年の所得」をもとに計算されるため、退職後であっても前年度に一定の収入があれば納付が発生します。通知が届くタイミングや金額に驚くこともありますが、制度上は通常の手続きです。
また、退職後は厚生年金から国民年金への切り替えや、健康保険の手続き(国民健康保険への加入、任意継続など)が必要になります。収入状況によっては、減免制度や分割納付の相談が可能な場合もあります。
不明点がある場合は、通知書に記載された窓口や自治体に問い合わせることで、具体的な対応方法を案内してもらえます。インターネット上の情報を参考にすることも有効ですが、個々の状況によって異なる場合があるため、最終的には公的機関へ確認することが大切です。
退職や転職は環境の変化が大きい時期でもあります。事前に税金や社会保険の流れを確認しておくことで、手続きへの不安を軽減しやすくなります。
よりよい未来のために
会社員として働いていると、税金や社会保険料は意識しづらいものです。
しかし、働き方が変わると、自分で理解し手続きする場面が出てきます。
知らなかっただけで、特別なことをしてしまったわけではない。
そうした実体験は、これから退職や転職を考える人にとって、一つの気づきになるかもしれません。
【監修者】大貫宏一郎 株式会社ユーザーライフサイエンス会長
※本記事は、個人の体験談および専門家の見解をもとに構成しています。
