「周りから見たら、恵まれている方だと思います。
でも、不安がまったくないかと言われると、そうでもなくて…」
そう話すのは、30代の専業主婦。
未就学児の子どもを育てながら、現在は家庭に入っています。
パートナーの収入で生活は成り立っており、日々の暮らしに困っているわけではありません。
それでも、夜に一人で考え事をすると、「この先も同じ状態でいられるのだろうか」と、ふと立ち止まる瞬間があるといいます。
不安は、「足りなさ」よりも「変化」を前にして生まれていた
この家庭の不安は、今の生活が苦しいからではありません。
むしろ、これから先に起こりうる変化を思い描いたときに、静かに顔を出していました。
子どもの成長とともに広がる教育の選択肢。
保育、進学、習い事。
どれも「必ずこうなる」と決まっているわけではないからこそ、選べるようにしておきたいという気持ちが、不安につながっていたのです。
「備えよう」と決めて、積み重ねてきた時間
結婚してから、できる範囲でお金と向き合ってきました。
家計はお小遣い制にし、生活費と将来のためのお金を混ぜないように管理。
無理な節約はせず、「続けられる形」を大切にしてきたといいます。
派手さはなくても、日々の選択を積み重ねてきた時間が、家計の土台になっていました。
数字を見て、初めて言葉にできた気持ち
現在、貯金として確保できている金額は、1000万円以上。
一般的には「十分」と言われることも多い金額です。
それでも、この女性(男性)は、少し不安だと感じていました。
「安心できない自分は、欲張りなのかなと思ったこともあります」
でも、その違和感は、足りないからではなく、これから守りたいものが増えたから生まれたものでした。
お金を「増やすもの」と「守るもの」に分けた理由
不安と向き合う中で、貯金と投資を分けて考えるようになりました。
生活を支えるお金は貯金として確保し、それとは別に、配当金のある株への投資を行う。
「どちらも同じ箱に入れていた頃より、気持ちが静かになった気がします」
増やすことに期待しすぎず、守るお金には手をつけない。
その線引きが、暮らしの安心感につながっていました。
不安が消えたわけではない
今も、不安がゼロになったわけではありません。
それでも以前より、「不安に飲み込まれる」ことは減ったといいます。
「ちゃんと考えて、備えてきた、と思えるようになりました」
未来はまだ決まっていません。
それでも、これまで積み重ねてきた選択がある。
そう思えることが、日々を落ち着いて過ごす支えになっていました。
安心とは、「不安がない状態」ではないのかもしれない
貯金額が多いか少ないかで、安心が決まるわけではありません。
不安を感じながらも、自分なりに考え、選び、備えてきたという実感。
それがあるだけで、未来を過度に怖がらずにいられることもあります。
お金の不安は、今を大切に生きようとしている証なのかもしれません。
読み終えたあと、「自分はどうだろう」と、静かに考える時間が残る。
そんな余韻を、この話はそっと残してくれます。
