京都に住むフランス人として、日本での暮らしや文化の違いについて、YouTubeやInstagramで発信しているフロリアンさん。
最近では、日本での暮らしの中で感じたことや、価値観の変化を自分の言葉でまとめた書籍『なぜフランス人の僕が、日本を「天国」と呼ぶのか ― 京都で10年暮らして見つけた「奇跡のような日常」』を出版しています。
ある夏の日、日本の街角で何気なく自動販売機のボタ🙇♀️ンを押しました。
選んだのは、缶コーヒー。
ところが、手に取った瞬間…思っていたより、ずっと冷たかった。
今回は、「京都に住むフランス人」として日本での暮らしを発信しているフロリアン さんに、“コーヒー”を通して描かれた価値観の変化を記録した投稿について伺いました。
「夏でもコーヒーは温かいもの」だった
フロリアンさんが日本に来て間もない頃。
ある夏の日、仕事の合間に立ち寄った自動販売機で、缶コーヒーを買いました。
フランスでは、コーヒーといえば温かい飲み物。
暑い日でも、その認識は変わりません。
だからこそ、冷たい缶コーヒーが出てきた瞬間、強い違和感を覚えたといいます。
「なぜ冷たいんだろう?」「機械が壊れてる?」
そう思いながら、会社に戻り、温め直して飲んだ。
このエピソードは、日本の自動販売機文化に驚いた話であると同時に、
“当たり前の前提”がまだ切り替わっていなかった頃の記録でもありました。
1か月後、ボタンの色に意味があることを知る
日本での生活が1か月ほど経つと、
フロリアンさんはあるルールに気づきます。
自動販売機のボタンには、色の違いがある。
・赤いボタン=温かい
・青いボタン=冷たい
それを理解したことで、
「温かいコーヒーを選ぶ」という行動が、自然にできるようになりました。
文化に“慣れた”というより、
仕組みを理解した段階。
この頃のフロリアンさんにとって、
アイスコーヒーはまだ「選ばない選択肢」でした。
1年後、アイスコーヒーのおいしさに目覚める
気づけば、夏の日差しの中で、
自然と冷たいコーヒーに手が伸びるようになっていました。
・喉を通るときの心地よさ
・暑さの中で、体にすっと染み込む感覚
・季節と一体になった飲み物としての存在感
フロリアンさんは、こう振り返ります。
「フランスではアイスコーヒーはあまり一般的ではありませんでした。
日本で初めて、しっかりと飲んだと思います」
最初は戸惑ったけれど、
それが暑い季節に自然に溶け込んでいる文化だと気づいたとき、
アイスコーヒーは「欠かせない夏の飲み物」になっていきました。
飲み物ひとつに表れる、日本の暮らし方
この投稿が印象的なのは、
アイスコーヒーを「珍しい文化」として終わらせていない点です。
日本では、
・季節に合わせて飲み物を変える
・暑さに無理に抗わず、工夫で乗り切る
・日常の中に快適さを組み込む
そうした考え方が、自然に生活に溶け込んでいます。
アイスコーヒーもまた、
その土地の気候と共に育ってきた文化の一つでした。
フロリアンさんは、それを頭で理解したのではなく、
暮らしの中で、体感として受け取っていったのです。
「慣れ」ではなく、「更新」
この投稿が伝えているのは、
単に「日本に慣れた」という話ではありません。
・冷たいコーヒーに驚いた1日目
・仕組みを理解した1か月目
・おいしさを感じ取れるようになった1年目
そこにあるのは、
価値観が少しずつ更新されていくプロセスです。
アイスコーヒーが当たり前になったように、
日本での暮らしもまた、フロリアンさんの中で
自然な選択肢になっていきました。
あなたが今、違和感を覚えているものも、
時間をかけて向き合えば、
いつか「なくてはならない存在」になるかもしれません。
この投稿は、そんな静かな変化を、
一杯のコーヒーを通して教えてくれます。

