文化や価値観の異なる国を訪れると、人々の振る舞いや街の空気感から、その国らしさが自然と伝わってくることがあります。
今回お話を伺ったのは、アメリカ合衆国・カリフォルニア州サンノゼ出身のアルさん。
初めて日本を訪れたアルさんは、日本社会の“静かな秩序”や人々の姿勢に、強い印象を受けたといいます。
言葉にしなくても伝わる「整った行動」に驚き
日本に来て最も驚いたことについて、アルさんはこう話します。
「日本では、たくさん言葉を交わさなくても、みんなが自然と同じ行動を取っていますよね。
その“整い方”が、とても印象的でした」
声を荒げたり、強く主張したりしなくても、場の空気が共有されている日本社会。
アルさんは、そこに日本ならではの文化や価値観が表れていると感じたそうです。
移動のしやすさを実感。公共交通のわかりやすさ
日本での生活のなかで、特に便利だと感じた点について聞くと、真っ先に挙げたのが公共交通機関でした。
「電車がとても便利です。案内表示も分かりやすくて、初めてでも迷いにくいと感じました」
ホームや路線図を見れば、次に何をすればいいのかが自然と分かる。
その“設計の親切さ”が、日本での移動を快適なものにしてくれたといいます。
買い物以上に心に残ったのは、人と人との“リスペクト”
日本で「買ってよかったもの」を尋ねると、アルさんは少し考えたあと、こんな答えを返してくれました。
「物ではなくて、人の姿勢ですね。日本の人たちが見せてくれる“敬意”が、とても印象に残っています」
たとえば、日本語で一言でも話そうとすると、その努力自体を歓迎してくれる。
「外国人でも、歩み寄ろうとする姿勢を大切にしてくれると感じました」と話します。
ICカードのトラブルも、丁寧な対応で解決
日本で困った出来事として挙げてくれたのは、つい最近の交通トラブルでした。
「電車のICカードがうまく反応しなかったんです」
困って案内窓口に相談すると、すぐに状況を確認して対応してくれたそう。
「以前の利用履歴が残っていたようで、リセットしてもらったらすぐ使えるようになりました。とてもスムーズでしたね」
外国人の視点で見えた、日本社会の“やさしい秩序”
言葉に頼らず成り立つ行動の美しさ、分かりやすく整備された交通、そして人と人との間にある敬意。
アルさんの言葉からは、日本社会に流れる“静かでやさしい秩序”が浮かび上がってきました。
海外からの視点を通して見ることで、
私たちが当たり前だと思っている日常が、実はとても洗練されたものだと気づかされます。
アルさんの体験は、
「日本という国は、人への思いやりが自然に組み込まれている場所なのかもしれない」
そんな印象を、そっと伝えてくれました。
