食べ放題のレストランなど、多くのお皿が並ぶお店で「店員さんが通りかかったから、ついでにこれも持っていってもらおう」と、お皿を差し出したことはありませんか?その何気ない気遣いが、実は現場のスタッフを大ピンチに陥らせているかもしれません。
今回お話を伺ったのは、かつて食べ放題のお店で働いていた20代の女性会社員。
「親切心」でお皿を渡してくれるお客様に対し、プロが必死にこらえていた叫びと、現場のリアルな本音を語っていただきました。
「腕は2本しかないんです!」限界を超えて差し出されるお皿に悲鳴
食べ放題のお店は、下げなければならない食器の数が膨大です。スタッフが両手にいっぱいのお皿を持ってキッチンへ戻ろうとしているとき、事件は起こります。
「両手が完全に塞がっている状態なのに、『これも下げて』とお皿を手渡されたり、すでに持っているお皿の束の上に、さらに重ねて置かれたりすることがよくありました。お客様は親切心でやってくださっているのはわかるのですが、心の中では『腕は2本しかないんです!勝手に置かないで!』と叫んでいました」
特に、スタッフが計算して作った「安定したバランス」を無視して無造作に重ねられると、その場は一瞬にして緊張感に包まれるのだそうです。
「一度に無理」が招く最悪の事態……二度手間どころか事故の原因に
お客様の善意を断りきれず、無理にお皿を受け取ってしまうことで、現場ではさらに大きな問題が発生していました。
「せっかくの気遣いでも、持てない分を無理に乗せられると、一度キッチンに戻ってからまた同じテーブルへ下げに行き直さなければなりません。最悪なのは、無理に持とうとしてバランスを崩し、お皿を床に落としてしまったときです。掃除や片付けで、かえって多大な手間をかけることになってしまいます」
一度置いたものを持ち直したり、割れた食器を片付けたり……。効率を考えてくださったお客様の行動が、結果として現場を混乱させてしまうという皮肉な結果を招いていました。
「少しの観察」が、店員さんへの最高のご褒美
この経験から、ご自身が客の立場になったときは、ある「タイミング」を一番に意識していると言います。
「店員さんが忙しそうに走り回っていたり、すでに手に何か持っていたりするときは、絶対に皿下げをお願いしません。お皿を下げるのにも、プロなりの順序やバランスがあるんです」
最後に、当時は口に出せなかった切実な本音を明かしてくれました。
「店員も人間なので、無限にお皿を持てるわけではありません。ほんの少しだけ、私たちの手元を見て気を遣っていただけると、それだけで本当に救われます!」
「ついでの親切」が、ときとして相手を追い詰めてしまう。店員さんが空手(手ぶら)のときや、お皿を下げるために回ってきたタイミングを見計らうことこそが、食べ放題のお店でのスマートな優しさと言えそうです。
